#556 ガレキとドロ出し。~GW牡鹿半島ボランティアレポート④ | ダイビング&バイシクル!
今までのレポートはコチラ。


2011.5.11 #285 準備~GW牡鹿半島ボランティアレポート③

2011.5.10 #284 きつかった畳運び~GW牡鹿半島ボランティアレポート②

2011.5.9 #283 GW牡鹿半島ボランティアレポート①







牡鹿半島2日目。


5/7(土)は、朝のうち山が霧に隠されていたが、時間が経つにつれて良い天気になった。


だけど、風が強くて...(>_<)


午後には立っていても時々カラダがよろけるくらいの強風が吹いた。


ま、肉体労働にはこれくらいの風のほうが汗が飛んでちょうど良いかも。




この日はまず旧牡鹿町小渕浜のSサン宅のガレキ撤去。


大きな地図で見る
小渕浜(こぶちはま)集落。
ぜひclickして良く見てほしい。白く見える部分はすべて津波にやられている。


集落の状況を地元紙がレポートしている。

2011.4.18 河北新報 「石巻市小渕浜集落(宮城)/隣近所付き合い 礎に」

都市部ではないため、避難所になるべき公共施設もない。

そのため、みな無事だった民家に避難して生活している。


$ダイビング&バイシクル!-suda1 Sサンのお宅。
$ダイビング&バイシクル!-suda2



電気は数日前に復旧し、水道も復旧したのだが、水道の元栓がガレキの下(>_<)


なので、この写真で重機がある場所のガレキ、ドロの撤去を行った。


重機があるから人力はいらないのかと思ってはいけません。


この写真は人力撤去が終わった後の光景。


ガレキとドロは人の手で行うのがキホン。


だって、捨てちゃいけないモノが中から出てくるかもしれないし。




考えてみればアタリマエのことだが、ここにあるドロやガレキはほとんど他から流れてきたものだという。


確かに網戸のサッシの色はこの家のものではなかった。


このあたりにも、今回の津波が及ぼす影響の重大さがわかった。


他の家から流れてきたものも、この家の人たちが片づけなければならなかったワケだ。







作業の最初に、濡れた畳の移動。


これがまた重い。


1枚の畳を4人がかりでどかしていく。


ドロ出しは普通土のうに入れて運ぶが、ここ牡鹿半島ではそんなモノは見たことがなかった。


魚介類を運ぶためのカゴがあったので、それに入れて手で運んだり、一輪車で運んだり。


もう重いわ、臭いわ...。






でもここにお住まいになるご家族が水道を使えるようになると思うと、なんとか力を入る。


なんとか3時間ほど(やはり休憩こみ)で重機の登場となった。


あんなに重かった畳を重機は軽々と持ち上げて行く。


日頃道路工事で大きな音を出している重機を見ると、


「うぜぇーなー。」


とか思ってしまったりしていたが、こういった場所では、とっても頼もしく見えた。



重機は畳やガレキをダンプカーに落としていく。



いっぱいになった段階でダンプは近くのがれき置き場に運んでいくのだが、ここは昔ながらの漁師まち。


道幅は4mほどしかない。


しかも道の左右は見通しの悪い立派なブロック塀。


ブロック塀はちゃんと鉄筋が入っていて、地震や津波にも動じていない。


動じていないということは狭くて見通しが悪いまま。


ダンプは敷地から出るのに四苦八苦。


ダンプが帰ってこなければせっかくの重機も役に立たない。


帰ってくるまでの間、我々はまた息を切らしながらドロを運んでいく。


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作業終了後。一見きれいになったが、実は土の中に無数のガラス片が残っている。


ひとつひとつ拾っていたが、際限が無く、途中であきらめざるを得なかった。






作業の途中で、Sサンのおかあさんから、あの日のお話しを伺う。


幸い、この家庭では亡くなられた方はおられなかった。


でも避難した裏山で一晩過ごしたという。




この集落では180軒のうち、30軒ほどしか残らなかった。

新築したばかりの隣家の瓦が落ちたので、あわてて裏山に逃げた。

津波にやられた消防車のサイレンがずっと鳴り続けていた。

津波に巻き込まれた女性の、「助けて!」の叫び声が今も耳から離れない。

以前研修に来ていた中国人からお見舞いの電話があったと聞いたときはうれしかった。



$ダイビング&バイシクル!-syoubo
小さく写っている赤い色がその消防車


涙ながらに話すおかあさんを見ていて、思わずこちらももらい泣きしてしまった。


もうかける言葉もない。


ただ話しをお聞きして、うなづくばかり。






この家は集落でも古い家で、そのためか立地も標高25mほどとのこと。


でも、1Fはもう完全に水につかってしまったという。


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よく見ると縁側の窓の上の方まで水が来たことがわかる。




おとうさんには裏山の愛宕神社を案内していただいた。


「海神様」といったもののよう。


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御霊はどこかに移されていたが、ボランティア活動の無事をお参りさせていただいた。



実はこの山全体がSサンの土地。


山の杉の木を使って、30年ごとにお宮を建て直すのだそうだ。



改めて庄屋・網元階級の文化的・物質的豊かさには目を見張らされる。


このお宅の仕事をさせていただいて、お話しもお聞きできて、とっても良かった。


やはり感謝されることは何よりも疲れが吹き飛ぶ。




さて今日はもう終わりかなと思ったとき、お隣の家から依頼が。



みそ蔵に使っていたコンクリート製の倉庫の中のドロを出してほしいと。


このハナシはまた次回。