夢野さんの作品はデビュー作から昭和20年代の単行本であればだいたい所有しているとおもいます。夢野さんの『火星人襲来』のシリーズが気に入ってるので、集めているところもありますが、昭和20年代前半のものは特に『火星人襲来』のようなヘンテコなSF作品以外にも、探偵ものも多数あって、これがまた結構いい感じです。夢野さん以外にも、昭和20年代前半は、SFや探偵ものの作品を発表していて、後に作風が変わるという漫画さんって結構います。ただ残念なことに、昭和20年代前半の作品ってレアなので、まったくそういう事実が知られていないといこともあります。
夢野さんは昭和20年代後半は、動物ものや、明朗な時代漫画が中心となっていきます。そういう中でもこの『いが丸西遊記』はいいですね。
東宝漫画出版っていうと、牛尾走児なんかも描いていますが、普通、東宝漫画出版の本は、表紙がB6本の厚紙で、見返しもなく、本体よりも表紙が大きくて、その為、表紙とか裏表紙の端とかが切れてたりとか傷んでいるものが多く、まあいわゆる赤本漫画フォーマットが多いのですが、この『いが丸西遊記』は、B6版よりは小型の文庫版サイズ、表紙はソフトカバーで、表紙と中身の大きさが同じ装丁のものですね。牛尾さんの東宝からの本も同じ装丁ですね。背表紙が黄色というのもまたいいですね。
この『いが丸西遊記』は、結構、緻密に描かれてるところがいいです。同時期の東浦みつおや金曾升太郎と通底するところがありますね。