劇団ヴァージニティーPRESENTS 【FORTUNE OF PARANOIR】

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・30万円から500万円を目指す『劇団再興への道』
・よつばレコーズでの出来事
・新作コメディ発表の場
をメインにお送り致します。

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自己のモチベーションを保つため、

かつて作成したネタをアメブロで復刻させます。

今回は2011年作成の

 

【ストリートストリッパー】

 

を御一読くださいませ。

 

昔から何故か露出狂のネタが作りやすいんですよね。

そういう願望は一切ないんですけど。

 

 

 


(チャッチャカチャッチャ、チャッチャッチャ、チャッチャカチャッチャ、チャッチャッチャ、)



牧原:あの男だな、通報にあった『加藤茶のテーマで踊りながら脱いでる』ヤツは。
   いかん、既に9割方露出してる!



(プワァーーーーーー、プワァプワァプワァプワァプワァープワァプワァプワァー)



桃崎:いよいよ最後ね・・・。
   ちょっとだけよ・・・。
   
(プチッ)

桃崎:・・・誰だ、勝手に曲を止めるのは!

牧原:すまんね、警察の者だ。

桃崎:すいませんで済んだら警察は要らないんですよ!

牧原:その警察を目の前にその台詞が吐けるとは、いい度胸だ。
   ちょっと2,3質問させて欲しいんだがね。

桃崎:あのう、話、長くなりますか?

牧原:事と次第によってはな。

桃崎:それじゃ、先に一つお願いさせて頂いても宜しいでしょうか?

牧原:とりあえず、言うだけ言ってみたらいい。
   出来ることかどうかは私が判断するから。

桃崎:踊ってる時は、動いているせいかあまり感じないんですが、
   さすがにパンスト一丁でじっとするのは寒さ的に厳しいんで、
   上だけでも羽織らせてくれませんか?

牧原:先に下に羽織れ。
   さもないと、有無を言わせずここ以上に寒々しい所に連行してやる。

桃崎:分かりました、じゃあ早めに終わらせましょう。

牧原:君は自分の置かれている立場が分かっているのか?
   君に現場確認の進行の主導権は無いんだよ、いいね?

桃崎:・・・はあ。

牧原:ではまず名前と年齢から聞かせてもらおうか。

桃崎:桃崎修一、31歳です。

牧原:えーと、現在の時刻は・・・午前0時21分か。
   君は一体、こんな夜中にこんな所で何をしているんだ。

桃崎:ご覧の通り、ストリップですよ。
   今回は女性の持つ艶めかしさから、男性の持つ雄雄しさへと変貌する、
   といったテーマでの表現に挑戦してみようかと。

牧原:挑戦云々の前に、これね、猥褻物陳列罪だよ。

桃崎:ちょっと待ってください!まだチン列してません!

牧原:そういきりたつな。

桃崎:いきりたつどころかそそりたつ段階にも至ってません!確認しますか!?

牧原:自分に不利になる発言は控えておけ。
   まあ良かったじゃないか、パンストを脱ぐ前に止めてもらって。

桃崎:それにしても、パンストって意外と暖かいんですね。
   女性が愛用する気持ちも分かります。

牧原:ん、パンストを穿くのは初めてか?

桃崎:初めてですよ。人を女装癖があるみたいに言わないで下さい。

牧原:じゃあ聞くが、何故女装した上でその衣装を脱ぎ始めたんだ?

桃崎:だから、最初に答えたじゃないですか。
   今回のストリップのテーマは『女性を演じる男性の美しさ』なんですよ。

牧原:テーマ以前の問題だぞ、どうして男性のアンタがストリップをするんだ。

桃崎:あなたも既成概念に捉われる方ですか。
   いいですか、男女平等が叫ばれて久しい昨今、
   ストリッパーが女性だけという間違った先入観は、おかしいと思いませんか?

牧原:三十路男のメタボ気味な全裸じゃ金は取れんだろ、そっち系の方が対象でもない限り。

桃崎:あなたは何もご存じない。かつては日本にも数多くいたんですよ、
   インディーズとして野外活動をしていた男性ストリッパー達が!

牧原:ほう、何か言いたそうだな。

桃崎:人々は、彼らが持つ、羞恥心を捨て去った鋼の精神と猛々しい肉体美に、
   尊敬の念をこめて『王』の称号を与えました!そう、それこそがッ!

牧原:ストリーキングだろ?やっぱり犯罪じゃねえか。

桃崎:ストリートダンサーの一種として考えて下さいよ!

牧原:法改正が必要になるようなことを、私の一存で考えることは出来んよ。
   大体、ストリッパーが路上で活動しようとするな。
   ていうか、二度とそんな活動しようと思うな。

桃崎:ケツも出せないような人は黙ってて下さい!

牧原:ケツを出さないから、こうやって口出しできる身分にいるんだよ。

桃崎:どうしてあなたにそこまで言われなければいけないんですか!?
   そしてどうして、芸術を追究しているだけの僕が、責められなければいけないんですか!?

牧原:そんなこと言われても、私は警察官の立場として・・・。

桃崎:そうやって既得権益に固執して、芸術を迫害するような真似は止めて下さい!
   中世ヨーロッパのルネサンス時代を知らないんですか!?

牧原:お前さんのヌードがミロのヴィーナスに匹敵するとはとても思えんけどな。
   そうやって自己を正当化するのは、署の方でゆっくりやってくれ。

桃崎:それにですね!僕は既存のストリップの概念を壊すべく、
   『3スト』を手法に取り入れているんです!

牧原:やけに壮大な戯言になりそうだな。

桃崎:まず第一にッ!『”スト”リート系』!
   時代の最先端を走るナウなヤングのギザギザハートにど真ん中”スト”ライク!

牧原:お前さんの台詞自体に最先端さを感じんな。

桃崎:そして第二にッ!『”スト”リップ』!
   これは勿論テーマから外せません!外すわけにはいかないッ!
   ボールはインコースを目一杯ギリギリについているッ!

牧原:むしろアウトコースに大きく逸れる敬遠球だと思うぞ。
   そこをテーマから外せば、世間的には問題ないのに。

桃崎:そしてラストにッ!『”スト”ッキング』!
   ストッキングは全人類のロマン!

牧原:言い切っちゃうのか。

桃崎:男にとってストッキングは脱がせるべきもの、
   そして女にとっては穿き、かつ脱がせられるべきものッ!
   しかし敢えて女の方から脱ぎ出す、これもロマン!
   そして時には男が穿く事もある、それもまたロマンッ!
   まさに欲望という名のミットへ向けてジャストミートオォォォッ!

牧原:ちょっと興奮気味に語っているようだが、
   で、これもストライクだと、お前さんは言いたい訳だな。

桃崎:勿論です!

牧原:そうか、それじゃストライクが3つでアウトだな。
   午前0時24分、現行犯逮捕だ。