自己のモチベーションを保つため、
かつて作成したネタをアメブロで復刻させます。
今回は2011年作成の
【ストリートストリッパー】
を御一読くださいませ。
昔から何故か露出狂のネタが作りやすいんですよね。
そういう願望は一切ないんですけど。
(チャッチャカチャッチャ、チャッチャッチャ、チャッチャカチャッチャ、チャッチャッチャ、)
牧原:あの男だな、通報にあった『加藤茶のテーマで踊りながら脱いでる』ヤツは。
いかん、既に9割方露出してる!
(プワァーーーーーー、プワァプワァプワァプワァプワァープワァプワァプワァー)
桃崎:いよいよ最後ね・・・。
ちょっとだけよ・・・。
(プチッ)
桃崎:・・・誰だ、勝手に曲を止めるのは!
牧原:すまんね、警察の者だ。
桃崎:すいませんで済んだら警察は要らないんですよ!
牧原:その警察を目の前にその台詞が吐けるとは、いい度胸だ。
ちょっと2,3質問させて欲しいんだがね。
桃崎:あのう、話、長くなりますか?
牧原:事と次第によってはな。
桃崎:それじゃ、先に一つお願いさせて頂いても宜しいでしょうか?
牧原:とりあえず、言うだけ言ってみたらいい。
出来ることかどうかは私が判断するから。
桃崎:踊ってる時は、動いているせいかあまり感じないんですが、
さすがにパンスト一丁でじっとするのは寒さ的に厳しいんで、
上だけでも羽織らせてくれませんか?
牧原:先に下に羽織れ。
さもないと、有無を言わせずここ以上に寒々しい所に連行してやる。
桃崎:分かりました、じゃあ早めに終わらせましょう。
牧原:君は自分の置かれている立場が分かっているのか?
君に現場確認の進行の主導権は無いんだよ、いいね?
桃崎:・・・はあ。
牧原:ではまず名前と年齢から聞かせてもらおうか。
桃崎:桃崎修一、31歳です。
牧原:えーと、現在の時刻は・・・午前0時21分か。
君は一体、こんな夜中にこんな所で何をしているんだ。
桃崎:ご覧の通り、ストリップですよ。
今回は女性の持つ艶めかしさから、男性の持つ雄雄しさへと変貌する、
といったテーマでの表現に挑戦してみようかと。
牧原:挑戦云々の前に、これね、猥褻物陳列罪だよ。
桃崎:ちょっと待ってください!まだチン列してません!
牧原:そういきりたつな。
桃崎:いきりたつどころかそそりたつ段階にも至ってません!確認しますか!?
牧原:自分に不利になる発言は控えておけ。
まあ良かったじゃないか、パンストを脱ぐ前に止めてもらって。
桃崎:それにしても、パンストって意外と暖かいんですね。
女性が愛用する気持ちも分かります。
牧原:ん、パンストを穿くのは初めてか?
桃崎:初めてですよ。人を女装癖があるみたいに言わないで下さい。
牧原:じゃあ聞くが、何故女装した上でその衣装を脱ぎ始めたんだ?
桃崎:だから、最初に答えたじゃないですか。
今回のストリップのテーマは『女性を演じる男性の美しさ』なんですよ。
牧原:テーマ以前の問題だぞ、どうして男性のアンタがストリップをするんだ。
桃崎:あなたも既成概念に捉われる方ですか。
いいですか、男女平等が叫ばれて久しい昨今、
ストリッパーが女性だけという間違った先入観は、おかしいと思いませんか?
牧原:三十路男のメタボ気味な全裸じゃ金は取れんだろ、そっち系の方が対象でもない限り。
桃崎:あなたは何もご存じない。かつては日本にも数多くいたんですよ、
インディーズとして野外活動をしていた男性ストリッパー達が!
牧原:ほう、何か言いたそうだな。
桃崎:人々は、彼らが持つ、羞恥心を捨て去った鋼の精神と猛々しい肉体美に、
尊敬の念をこめて『王』の称号を与えました!そう、それこそがッ!
牧原:ストリーキングだろ?やっぱり犯罪じゃねえか。
桃崎:ストリートダンサーの一種として考えて下さいよ!
牧原:法改正が必要になるようなことを、私の一存で考えることは出来んよ。
大体、ストリッパーが路上で活動しようとするな。
ていうか、二度とそんな活動しようと思うな。
桃崎:ケツも出せないような人は黙ってて下さい!
牧原:ケツを出さないから、こうやって口出しできる身分にいるんだよ。
桃崎:どうしてあなたにそこまで言われなければいけないんですか!?
そしてどうして、芸術を追究しているだけの僕が、責められなければいけないんですか!?
牧原:そんなこと言われても、私は警察官の立場として・・・。
桃崎:そうやって既得権益に固執して、芸術を迫害するような真似は止めて下さい!
中世ヨーロッパのルネサンス時代を知らないんですか!?
牧原:お前さんのヌードがミロのヴィーナスに匹敵するとはとても思えんけどな。
そうやって自己を正当化するのは、署の方でゆっくりやってくれ。
桃崎:それにですね!僕は既存のストリップの概念を壊すべく、
『3スト』を手法に取り入れているんです!
牧原:やけに壮大な戯言になりそうだな。
桃崎:まず第一にッ!『”スト”リート系』!
時代の最先端を走るナウなヤングのギザギザハートにど真ん中”スト”ライク!
牧原:お前さんの台詞自体に最先端さを感じんな。
桃崎:そして第二にッ!『”スト”リップ』!
これは勿論テーマから外せません!外すわけにはいかないッ!
ボールはインコースを目一杯ギリギリについているッ!
牧原:むしろアウトコースに大きく逸れる敬遠球だと思うぞ。
そこをテーマから外せば、世間的には問題ないのに。
桃崎:そしてラストにッ!『”スト”ッキング』!
ストッキングは全人類のロマン!
牧原:言い切っちゃうのか。
桃崎:男にとってストッキングは脱がせるべきもの、
そして女にとっては穿き、かつ脱がせられるべきものッ!
しかし敢えて女の方から脱ぎ出す、これもロマン!
そして時には男が穿く事もある、それもまたロマンッ!
まさに欲望という名のミットへ向けてジャストミートオォォォッ!
牧原:ちょっと興奮気味に語っているようだが、
で、これもストライクだと、お前さんは言いたい訳だな。
桃崎:勿論です!
牧原:そうか、それじゃストライクが3つでアウトだな。
午前0時24分、現行犯逮捕だ。
