「がんワクチン」の臨床研究に参加するには
臨床研究に参加する条件
がんワクチンはまだ承認されていません。
受けるには臨床研究に参加するという方法がありますが、さまざまな条件があります。また、誰にでも効果が認められているというわけではありません。
【臨床研究 参加の条件】
・がんの種類
・進行度
・白血球の型・数
・リンパ球の数
・治療歴
・期間・人数
臨床研究が行われている病院の問い合わせ先
久留米大学病院「がんワクチン外来」
2009年4月に「がんワクチン外来」を設けて以来、手術や抗がん剤、放射線などで効果がなく、
もう治療法がないと言われた患者を中心に年間300人近くが受診しています。
外来と言ってもがんワクチンはまだ承認されていないため、
ワクチン投与を希望する患者は臨床研究に参加するという形になり、ワクチン代の一部を負担することになります。
また、主治医からの紹介状が必要で、抗がん剤や放射線など標準治療で効果がある方はその治療を優先し、がんワクチンは補助的に併用するよう勧めています。
ここの特徴は、31種類のペプチドのうち、効果が高いと考えられるペプチドを最高4種類同時に投与することで、どのペプチドにするかは、血液検査で患者の状況を調べて決めます。
そのため『テーラーメイドペプチドワクチン』と呼ばれています。
なお、悪性脳腫瘍については現在厚生労働省の科学研究費で研究が進められているため、条件の合う方はワクチン代の負担はありません。
また、前立腺がん(ホルモン療法が効かなくなり、内臓機能低下で抗がん剤が使えない場合など)については高度医療に認められており、公的医療保険との併用が可能です。
がんワクチンは再発の予防にも
がんワクチンは、もう治療法がないと言われた末期のがんだけでなく、手術後の再発予防にも効果があると考えられ研究が進んでいます。
それは「がん細胞」とそれを攻撃する「キラーT細胞」の数の問題です。
手術直後、がん細胞が少ない時にがんワクチンを打ち、あらかじめキラーT細胞にがんの目印『ペプチド』を覚えさせておけば、再発を防げるのではないかと考えています。
がんワクチンの実用化
薬は、大学などによる「臨床研究」、製薬会社が患者に投与し効果や安全性を調べる「治験」、国が審査をして「承認」という道を経て実用化されます。
現在、日本国内で実用化に向けて動き出したがんワクチンを表にまとめました。
もっとも進んでいるものは、治験の第3段階を終了しており、早ければ今年か来年には日本初のがんワクチンが実用化される見込みです。
日本人の2人に1人が患う病、
“がん”。主な治療法は「外科手術」「放射線」「抗ガン剤」
今、新たな治療法として注目されているのが『がんワクチン』
ワクチンを注射して、自分の免疫機能を高め、がん細胞を攻撃する。
副作用が少なく、月に数回の通院で済むことから、長年“夢の治療薬”と呼ばれてきた。
ところが一昨年、延命効果があるとして、アメリカで「前立腺がんワクチン」が承認。
これを契機に、新薬がもたらす経済効果を狙い、世界は開発競争に突入している。
日本も、がん細胞だけが持つ特有の「ペプチド(アミノ酸の結合物)」を目印にがんを攻撃する「ペプチドワクチン」を独自に開発、
現在、治験の最終段階に入った“すい臓がん”を筆頭に、15のワクチン開発が進む。
「がんワクチン」とは?
ワクチンというと、インフルエンザやBCG、最近では子宮頸(けい)がんなど病気を“予防”するものが知られていますが、“治療”するワクチン。自分の持つ免疫能力を活性化させ、がん細胞を攻撃します。副作用が少なく、延命効果が認められるのが特徴です。
このワクチンの中に入っているのは、『ペプチド』と言われるタンパク質の断片。『ペプチド』はがん細胞の表面に角のように出ているもので、これが治療に大きく役立っています。
そもそも私たちの体は、ウィルスなどの異物が侵入すると・・・
監視役として働く「樹状細胞」が異変を察知、その特徴を記憶
↓
攻撃役として働く「キラーT細胞」に異物の特徴を伝達
↓
「キラーT細胞」がウィルスに侵された細胞を攻撃
この一連の流れが、私たちの体を守るいわゆる“免疫”です。
では、私たちの体ががんに侵されると・・・
がん細胞も異物ですが、非常に早いスピードで際限なく広がるため、「キラーT細胞」の数が足らず攻撃しきれません。
そこで『ペプチド』が大量に入った「がんワクチン」を投与すると・・・
「樹状細胞」はペプチドが大量に入ってきたことを異常事態だととらえ
↓
「キラーT細胞」に警告
↓
「キラーT細胞」も異常事態に反応、自ら数を増やしパワーアップしてがん細胞を攻撃
【臨床研究・治験進捗状況】
久留米大学病院 がんワクチン外来
東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター
岩手医科大学付属病院
千葉徳洲会病院