『あっ!』

バックから飛び出した綺麗な小袋

慌てて拾おうとする智くんより早く取り上げた。

『あ……』

「これ、大事なものなの?」

『……うん。』

「見ても良い❓️」

『ダメ………』


ダメと言われたが……中身をちょっと覗くと、小さなリボンがかかってる。

「プレゼント?」

『そう』

「ふーん。……誰の?」

『誰のって………』

ちょっと困ってるから、意地悪したくなったんだ。

「決まってないなら、開けても良い?」

『いいよ。』

マジかよ。

冗談のつもりだったのに、後に引けなくなって、とうとう箱を開けてみた。

中央に、ダイアモンドがついた凄く素敵なブローチだった。

しまった!これは、開けちゃいけないやつだ‼️


「スゴいもの開けちゃった。智くんが、ジュエリーなんて……」

しかし、こんな高級なのは……

まさか、自分のご褒美?

もしかして、彼女でも出来たのか?

だったら、絶対に開けさせないよな。


『いや、母ちゃんたちに……』

意外な返事が返ってきた

「えっ!お母さんのだったの?ゴメンゴメン❗」

慌てて包装を元に戻そうとしたら

『いいんだ。それは、翔くんのだから』

「えっ?」

一瞬頭がスパークした。


「オレの?」

『そう。』

「いま、母ちゃんたちって……」

意味がわからない。

なぜ?オレのに着地するんだ?

もっと、分かりやすく話してくれ。


『相葉ちゃんに……』

「また相葉か!」

それじゃなくても、一緒にNYに行ったのが悔しいのに。

『翔くん!最後まで聞いて。』

智くんは、真剣だった。

『一緒に、お土産屋さんに付き合ってと言われてJewelryshopに行ったんだ。オレは買うものなんか無いから、待ちながらショーケースを見ていたら、素敵な指輪を見つけて……翔くんにあげたくなった。』

「えっ……」

『でも、さすがに指輪って……重いんじゃないか?って、』

「指輪でも良かった!いや、指輪が良かった」


『(指輪を渡す)自信がなかったんだ。』

「そんな……」

『その、ブローチも結局相葉ちゃんに、聞かれてさ。母ちゃんたちに……ってついでに真珠の安いのを選んで』

お母さんたちは、ついでなんだ。

「でも、この石はダイアモンドだよね?高かったでしょ?」

『うん。でも、小さいし。それが気に入っちゃったから。ちゃんと渡そうと思ったのに……失敗しちゃった』


「サトシくん!」

思わず彼を抱き締めた。

石が小さくても、ちょっと、立ち寄りなんか許さないぞ❗とばかりの怖そうな門番(ドアボーイというより、まさに門番)が、入り口に立ってるほど、有名なブランドだ。

妥協しなかったところも、嬉しかった

それなのに、オレは相葉のことをまだ気にして

渡すタイミングを台無しにしたらしい。

「ゴメン。本当に、バカだったよ……」

『本当だよ。気持ちよく渡したかったのに。』

そう言って、拗ねた口もとが可愛かった

チュッ

「サトシ……ありがとう」

『今度疑ったら返して貰うからね。』

チュッ 

「ゴメン。指輪は、私が智くんにプレゼントさせていただきます。」


『本当❓️』

抱き締められたサトシが、オレの胸の中で嬉しそうに叫んだ。

「え?はめてくれるの?」

『うん』

ニコニコしてる

可愛いなぁ

「そっか、してくれるんだ。」

嬉しさが込み上がる

『ちょっと柄にもないけど。』

「いやいや、あなたの指とても綺麗だから、リングも似合うと思う。」


リングを上げることが、どんなことだか

……智くん。解ってるよね?