特別ひいきの役者はいないのだが、それでもいい役者、下手な役者ぐらいは判別できるつもりである

そういう意味では主演がムロツヨシである時点でもう見たい気になるのでそういう意味では彼は十分ひいきな役者なのかもしれない

 

観た映画は「身代わり忠臣蔵」

観劇日は2月16日㈮

人は封切から1週間経っているからかそれなりだった

 

身代わり忠臣蔵を知ったのは劇場での宣伝だった気がする

しかし日本というのは本当に忠臣蔵というストーリーが好きだなと思った

 

アメリカ人の自分が初めて忠臣蔵を知ったのはいつどこで何の作品だったのかは覚えていないが、おそらく年末恒例だった忠臣蔵のドラマをハワイの日系人向けのローカルテレビだったような気がする

 

なにせ紅白歌合戦がハワイ時間の1月1日の夕方には字幕付きで放送されるぐらいだ、NHK大河ドラマだって放送してたし、暴れん坊将軍なんて何回放送してたのかさっぱりなぐらい放送してた

 

時代劇以外にも刑事ものも多種多様揃えていたように思う

はぐれ刑事純情派、おみやさん、科捜研の女とかもやっていたっけな?

 

まあ、ハワイのドラマ事情はこの辺にしておこう

 

いったい何時の誰が主演の忠臣蔵かは思い出せないし(調べてもいないが)オーソドックスな内容だったような記憶がある

大石内蔵助が吉良邸に討ち入りするまでは昼行燈演じてたし、竹光の下りもあったし、赤穂浪士の苦難にもスポットライトを当てていたように記憶している

 

それほど数を見た訳ではないが、大体の忠臣蔵の上記の通り大石内蔵助を中心に基本赤穂浪士を中心に描くものだろう

だが今回観た「身代わり忠臣蔵」はどちらかというと吉良側がメインのストーリーだった

なにせ主演のムロツヨシがなんと吉良側の人間であり、しかも肝心の上野介が討ち入り前に死んでしまったがために身代わりになるという大胆なストーリーである

 

実際物語はほぼ吉良側の目線であり、見どころであるはずの討ち入りは受けて立つ側という常識と前例からは考えられない、というより忠臣蔵というもはや説明が不要なレベルで知られている物語であることを逆手に取ったような構造だった

 

かといって歴史を改変するわけでも赤穂浪士返り討ちにするわけではない

主人公でありムロツヨシが演じる吉良孝証がこれまた現代人の価値観に近い善性の持ち主であり、身内であり庇うべき対象であり兄である吉良上野介の悪行をちゃんと非難し、自身も狙われる立場なのに赤穂側に対して兄の非を前面に認めているというめっちゃくちゃ損な性格の人間である

 

そんな訳で、どうにか最小限の被害(吉良家、赤穂どっちも)に留めるためにひょんなことから仲良くなってしまった大石内蔵助と共謀するというのがこの映画のお話であり見どころだった

 

いや~孝証が善人過ぎる…のだがそこはムロツヨシ…なのかは不明だがこの人が出る以上は何かしらコメディを差し込まなければならない決まりがあるのかは分からないが字だけだと悲壮感漂う物語とギャグの塩梅がとてもよく、程よい感じで観れたのが本当に良かった

 

個人的には今作のマドンナである吉良家につかえる女中である桔梗に対して葛藤する一人芝居が笑えた

ムロツヨシのああいった一人芝居や独り言のコメディシーンは本当に面白いし好きなので今作でもそれが観れて大変よかった

 

勿論、ムロツヨシだけが活躍したわけではない

大石内蔵助のはじめ沢山の共演者の演技もとてもよかったように思う

ザンネンながら芸能人に明るくないし、テレビドラマもほとんど見ないので初めて名前を知った役者さんばかりだったがそれでもムロツヨシに負けない、役どころによればムロツヨシを活かす演技をする人もいて決してムロツヨシ単体の映画ではない印象だった

 

最後のクライマックスシーンまでコメディ描写だったのは個人的には嬉しかった

一応、主人公である孝証が首を切られる心配はないと思っていたが、まさか序盤で死んだ上野介が塩漬けにされ、赤穂がその首を手に入れるまではなんとなく予想していたがその後にその首を取り返さんと吉良家と取り合いになるとは思わなかった

 

しかも方法がまんまラグビーである(笑)

吉良の首でラグビーのようにパス回しをする(進行方向に向かって前にパスだったのでラグビーだったら反則だが)、地面に落ちた首を吉良と赤穂がスクラムして首を足蹴にしながらオウンボールするといういくら悪役とはいえめっちゃ不謹慎なやり取りしてて思わず大爆笑してしまった

 

そのくせして最後は史実通りのなんとも切ない終わり方するので、全体で観れば時代劇としては大分マイルドながら、肩ひじ張らなくても見れるなんとも優しい映画だったように思う

 

冒頭でも書いたがやっぱりムロツヨシは良い役者だなとは思うし、気楽に観れる映画には欠かせない存在だなと改めて感じた