三日後。
その日はやはり母に同席をお願いして、病院へ向かった。
いつものように受付を行い、いつものような長い待ち時間。
その間、気持ちは覚悟を決めていた。
“そう”言われても、自分を見失わず、しっかりと話を聞こう。
名前が呼ばれた。
診察室へ入る。
先生は「こんにちは」とだけ言い、カルテにさっと目を通す。
「再度、血液検査、CT、エコー、病理検査をしてもらいましたが、98%の確率で甲状腺乳頭がんと判断して良いと思います。」
やはり。
そうだったか。
私は我を失うことはなく、冷静に淡々と話を聞き続けた。
この前はあんなに泣いたのに、なぜか不思議と冷静だった。
「ただ、ひとつ。
病理検査では1、2、3、4、5とあるうちの2と出ていて、これは1、2は良性、3は不明、4、5は悪性という基準の中での2という数字なので、問題がないようにも感じられます。
ただ、採取した液体から100%正確な情報が取れるわけではなく、がんの組織細胞が液体の中に入っている状態なので、採った部分に細胞が入っていれば、はっきりとしたことが言えるのですが、入っていないと、2という数字を出すことがるんです。」
病理検査はグレーだった。
「この後、私の上司にあたる部長より診断があるので、少し待合室でお待ち頂けますか?1時間程度で案内できると思います。」
待合室に戻った私と母。
しばらく無言だった。
母が気丈だったのは隣にいる空気から感じ取れた。
母も覚悟はしていたのだろう。
しばらくそのまま待合室で待ち続けた。