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22歳。匿名で行きます。

第1 設問1
1 EのFに対する甲株式の譲渡が甲社に対する関係で効力を生じるか。
 甲社は非公開会社であるから、会社の承諾が無い限り株式の譲渡は会社との関係で効力を生じないのが原則である。もっとも、Eは譲渡承認請求書を提出し、それから2週間が経過しているから、承認擬制が生じている(条文)。このため、EのFに対する甲株式の譲渡が甲社に対する関係で効力を生じているといえる。
2 では、甲社が平成25年総会においてFを株主として取り扱ったことは正当か。
 たしかに、Fは名義書き換えを行っていないため、株主たる地位を会社に対抗出来ない(条文)。もっとも、名義書き換えが対抗要件とされた趣旨は、会社の事務処理場の便宜にあるから、会社の側から会社の危険において名義書き換え未了の譲受人を株主として扱う事は妨げられない。したがって、甲社が平成25年総会においてFを株主として取り扱ったことは正当である。
3 なお、AはEからの譲渡承認請求が合った旨を他の取締役につたえていないが、この点はAの任務懈怠責任として処理すれば足り、上記結論に影響を与えない。
第2 設問2
1 小問(1)
 Bは、株主総会決議取消しの訴え(条文)を提起することが考えられる。
(1) Bは甲社の「株主」であるから、決議の日から6ヶ月以内であれば上記訴えを適法に提起出来る。
(2) では、取消事由があるか。本問では、Aが、Qが有していた甲社株式についてのBによる議決権行使に関しては、その株主について権利行使者の指定につきAの同意が無いから無効として扱う事としており、これが「決議の方法の法令違反」(条文)にあたるのではないかが問題となる。
ア まず、前提として、株式を相続人が共同相続した場合、株式は議決権等の会社支配権を含む点で単なる金銭債権とは異なるため、当然に分割されるのではなく、共同相続人間の共有状態(会社法106条)となると考える。そして、「権利行使者の指定」(106条)が共有物の「変更」(民法条文)にあたるのであれば、共有者全員の同意が必要であるから、Aの同意が無い本問では権利行使者の指定は無効であり、Aの本件措置は何ら「法令に違反」するものではないことになる。
 しかし、権利行使者の指定に共有者全員の同意を要するとすれば、一人でも同意しない場合に共有株式の議決権が一切会社経営に反映されないことになり、むしろ会社経営の適正を歪める事になってしまい妥当でない。そこで、「権利行使者の指定」は「共有物の管理」として、共有者の過半数の同意により決することができると考える。
イ そうだとしても、①Aが自己の持分に相当する40株については自己の指示に従って議決権を行使するようにBに請求でき、②かつ会社がこれに応じる義務があるのであれば、賛成票は480個にAの持分に相当する40個を加えた520個、反対は400個にBとCの持分に相当する80個を加えた480個なり、結局結論はかわらないので、裁量棄却されることになると考えられる。
 ①については、106条が権利行使者の指定を要求した趣旨は会社の事務処理場の便宜のために過ぎないし、共有者にもリスクに応じた会社支配権を認めるべきであるから、議決権行使方法の指定は共有物の「使用」の一環として認められると考える。②については、313条3項は「他人のために株式を所持する者」による議決権の不統一行使に会社が応じる義務があるとしているところ、共有株式の権利行使者は「他人のために株式を所持する者」と類似の関係にあるから、会社は権利行使者による不統一行使に応じる義務を負うと考える。
 よって、裁量棄却される(マジかおい笑)
2 小問(2)
 仮に裁量棄却がされないとして、甲社は不当利得に基づきA、D、Gに対して支払済の報酬の全部又は一部の返還を請求出来るか。
(1) 株主総会決議の取消判決には遡及効があるから(条文)、取消しにより遡及的に報酬額を決める株主総会決議は存在しなかった事になる。取締役の報酬は、株主総会決議(361条)により始めて発生する。したがって、取消しにより取締役の報酬請求権は発生していなかったことになり、取締役は報酬を受け取るにつき「法律上の原因」がないことになる。また、各取締役は報酬を受け取るという「利益」を得、会社はこれを支払うという「損失」をうけ、両者の間に因果関係が認められる。したがって、甲社はA、D、Gに対して報酬の返還を請求出来る。
(2) では、いかなる限度で返還請求をなし得るか。
 Aは自ら取消事由のある決議を成立させており、「悪意」といえるから、Aに対しては受け取った報酬全額につき返還請求をする事ができる。これに対してDとGは決議に参加しておらず、「善意」といえるから、DとGに対しては現存利益についてのみ返還請求をすることができる。
第3 設問3
1 小問①について
 本件発行はAが甲社における自己の支配権を確立する目的で行ったものであるから「著しく不公正な方法」(条文)によるものであり、Bは議決権の低下という「不利益を受ける恐れ」がある。このため210条1項により本件発行を差止めることができる。
2 小問②について
 Bは新株発行無効の訴えを提起することが考えられる。
(1) Bは甲社の「株主」であるから、1年以内であれば上記訴えを適法に提起出来る。
(2) では、無効事由があるか。
ア 無効事由につき明文規定は無いが、一度なされた新株発行が事後的に無効とされると、利害関係人の法的地位が害されるおそれがあるため、無効事由となるのは取引安全を擬制にしてでもなお無効とすべき重大な事由に限られると考える。
イ まず、本件では、株主総会決議ではなく、取締役会決議により新株発行がなされている。たしかに、非公開会社においては、株主総会の特別決議により募集事項を定めなければならないのが原則であるが、甲社においては定款で株主割当の場合取締役会決議により募集事項を定める事を認めているから、取締役会で募集事項を決定する事ができる(202条3項2号)。このため、上記の点はなんら違法なものではない。
ウ そうだとして、本件発行が不公正発行である点が無効事由となるのではないか。
 甲社のような非公開会社においては、株主の変動がそれほどひんぱんに生じるとは考えにくく、取引安全保護の要請はそれほど高くない。
 これに対し、非公開会社においては、一度持ち株比率が下がった後市場で株式を買い足すことでこれを回復することは困難であるから、取締役の損害賠償責任も役に立たない。また、たしかに株主には事前の差し止めの機会があったといえるが、必ずしも株主に適切な差止請求権の行使を期待することはできないし、甲社は定款8条で監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定しているから、監査役による差止めも不可能である(条文)。
 したがって、不公正発行である点は取引安全を擬制にしてでもなお無効とすべき事由といえ、無効事由が認められる。
(3) 以上より上記請求は認められる。