目を醒ましては眠り、また目を醒ましては眠り、
繰り返し繰り返し、同じ夢を見ていた。
目が醒めると同時に夢だったことに気付いて、
その瞬間に手のひらに注いだ水が零れ落ちていくように、形を作ることなくすべてが消えていく。
空っぽの世界を無意識の中でただ感じているだけなのに、目を醒ました先の現実で、本当の心と頭の中にはひどく虚しい、その感情だけが残される。
もう何時間、同じことを繰り返しているだろう。身体がずっしりと重い。このままじゃきっと頭も痛くなる。だけどまだ、もう少しまだ、現実に戻さないで…
夢は所詮夢だから、手に入れたいのに手に入らない現実を、私の潜在意識が私に与えてくれようとする世界。それはやっぱり終始支離滅裂で、かと思えば思いもかけない方向転換があったり、こんな日常が現実に起きていたらすっごく疲れる。
潜在意識だから、現実で願っても起こらないことは夢の中でも起こらない、こうあってほしい、でもきっとそれは違う、そう思ってることは、そのとおりの結果にしかならない。
一番に肝心なところは夢でも現実でも変わらないんだって、そう分かった瞬間に、落胆と同時に、なんだかとても笑ってしまいそうになった。
夢だって分かっていても、手に入るわけじゃない世界だとしても、それでも、やっぱりもう一度、あともう一度だけ、触れることのできないその腕につかまって、聞けることのないその声をすぐ側で聞きたい、きっと肌の温もりさえも感じていられる。
夢でもいい、あなたに会いたい。話したい。
ただそれだけだから。それだけで幸せだから。
もう一度。夢の続きをもう一度。
もう何度目だろう。
目を醒ますと毎回、私は泣いていた。
