吉川幸次郎の『中国文学入門』を読んだ。中国は古来より神の観念が希薄で、人間中心的な考え方が文学にも反映されている。こうした人間信頼から孔子の説く聖人の考えも出発している。ホイットマンやエマソンの人間信頼と共通するものを孔子も持っているとパウンドは感じたのではないか。加えて言えば孔子は古代世界にはそういう立派な人がいたんだと考える点でもヒューセルウィンモーバリーなどに見られるようなパウンドの古代賛美と共通している。また人間は社会的存在であるべきだと考える中国文学は政治への関心が強く、杜甫は官吏として自分の理想の政治を実現したいという思いを抱きながら、理想と現実のギャップに悩まされていた。中後期のパウンドが政治の世界にのめりこんでいったように、彼はこの点でも中国文学に共鳴していたのではないかと思った。
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