うらみわびの【息抜き】
第94回。
松尾芭蕉『奥の細道』を旅するシリーズ
第10回。
武隈の松へ
旅の醍醐味の一つは自然ですよね。
今回は芭蕉が道中でどうしても見たかったという武隈の松の項を旅してみたいと思います。
この武隈の松、宮城県の岩沼市の二木の松史跡公園という場所に現在もあります。
なんと国の文化財に指定されているんですね。(参考資料1)
芭蕉もさっそくこの松にお目にかかります。
「武隈の松にこそ目さむる心地はすれ」松尾芭蕉『奥の細道』「武隈の松」
と驚嘆の念をみせる芭蕉。
この武隈の松、根本から二木に分かれているのが特徴のようで、その姿は今も昔も変わっていないなあ、と懐かしさにふける芭蕉。
というのも武隈の松は歴史ある有名な松の木で、かつて平安時代には歌に詠まれているほど。
本書で登場するのが能因法師の言葉。
みちのくの再び下りて、後のたび、武隈の松もはべらざりければ読みはべりける。武隈の松はこのたび跡もなし千年を経てや我は来つらむ後拾遺集、雑・袖中抄
この歌を受けてのことでしょう。
芭蕉も応えます。
代々、あるは伐り、あるいは植え継ぎなどせしと聞くに、今はた千歳の形ととのひて、めでたき松の気色になんはべりし。松尾芭蕉『奥の細道』「武隈の松」
そして歌を詠む。
桜より松は二木を三月越し
これは、芭蕉は蕉門俳人の挙白から頂いた句を念頭に置いたもの。
武隈の松見せ申せ遅桜
つまり、今はすでに桜の季節ではないが、そんな桜よりも武隈の松はすごいぜ、という芭蕉からの返答の歌となっている。
以前の信夫の里ではしのぶもぢ摺り石が残念な形になっていたので、今回はその分、言い伝え通りの荘厳な松を拝むことができて満足、といったところでしょう。
この先も芭蕉の旅は続きます。
楽しみですね。
最後にグーグル・ストリートビューで武隈の松をみてみましょう。
目の前にあるのが例の二木の松かな。
確かに二手に分かれていてかわいい。
次回は「宮城野」を訪れます。
参考資料
1
今日の一曲♪
『あのときの歌』(2017)
(歌:三月のパンタシア 作詞:40mP 作曲:40mP)
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