今月にはバレンタインデーがありますね!
大好きな人に気持ちを伝える大切な日。
こういう日はあっていいと思う。
 
そんな恋の季節に熱い恋の物語を。
 
私、あまりマンガは読まないのですが、
本作はおもしろくて思わず買ってしまいました!
アニメ化もされて、第2期をつくってほしい、と強く願っている作品の一つです!
 
 
うらみわびのこの本がおもしろい!
第35回
 
 
金田陽介 著『寄宿学校のジュリエット』
講談社(2015) 全16巻
 
 
 
 

勝手に評価表

ストーリー

☆☆☆☆☆

アクション

☆☆☆☆

感動

☆☆☆☆☆

 
 
 

 どんな話?

 
舞台はダリア島にある寄宿学校ダリア学園。
ここには東和国、ウエスト公国の生徒が在籍している。
 
しかし両国は停戦状態にあり、学校内でも両国間の生徒同士の争いごとが絶えなかった。
 
東和国の黒犬寮(ブラックドギー・ハウス)
ウエスト国の白猫寮(ホワイトキャッツ・ハウス)
 
二つの寮の間には壁があり、教室にもバリケードがある始末。
 
そんな学園内で人知れず恋をしている二人がいた。
 
 
黒犬高等部1年リーダー 犬塚露壬雄
(ろみお)
白猫高等部1年リーダー ジュリエット・ペルシア
 
 
二人は敵対する寮のリーダー同士。
許されぬ秘密の恋。
果たしてこの恋は成就するのか!?
 
 
 
 

 主な登場人物

 
ジュリエット・ペルシア
 
 
白猫高等部1年のリーダー。
貴族の令嬢で寮生からの信頼も厚い。
犬塚露壬雄の告白により秘密の恋仲となった。
 
 
犬塚露壬雄
 
 
黒犬高等部1年のリーダー。
その腕っぷしの強さから敵対する白猫との闘いの陣頭指揮をとる。
しかし彼はひそかに白猫のジュリエット・ペルシアに恋心をよせている。
 
 
狛井蓮季
 
 
黒犬の副官であり、アイドル的存在。
露壬雄とは幼馴染。
そんな彼女は露壬雄にひそかな恋心を抱いている。
 
 
シャルトリュー・ウェスティア
 
 
ウエスト公国の王女であり、ダリア学園の生徒。
その横暴な性格から暴姫(タイラント・プリンセス)の異名をもつ。
なぜか露壬雄にしつこくつきまとう。
 
 
丸流(まる)
 
 
黒犬では露壬雄と並ぶ腕っぷしの強さ。
他者とつるむことを嫌う彼は寮内では孤高の存在。
白猫を強く憎んでいる。
 
 
スコット
 

 

 
ペルシアを想い慕う白猫の一年生
だがその想いが強すぎていつも空回り。
よく言えば一途。
悪く言えばストーカー。
 
 
それぞれのキャラクターが犬・猫に由来したネーミングになっているも注目ポイント!
私は本作を読んで、犬・猫の動画を結構見るようになりました。
 
 
 

世界がこの恋を否定するなら

こんな世界、

俺が変えてやる

 

 

 副題に込められた意味

 
『寄宿学校のジュリエット』の副題は
"To Love, or not to Love"(愛するべきか愛さぬべきか)
この言葉をきいて連想されるのが、シェイクスピアの戯曲『ハムレット』の一説、
"To be, or not to be"(生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ)。
この言葉から予想される展開はやはり悲劇なのか
シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の結末は悲しい悲劇。
二人のによって幕を閉じる結末を予感させる副題がこの物語に大きな影を落とします。
露壬雄とジュリエット、ふたりの恋の結末は……
 
 

 ただのラブコメじゃない!

 
 この『寄宿学校のジュリエット』のすごいところは、ただのラブコメじゃない! ところ。そこには恋愛、同性愛、兄弟の確執、世代間格差、人種差別、貴族社会、国家間の隔絶、戦争…… 様々なテーマがちりばめられている
 例えば露壬雄は東和国の大臣を輩出してきた議員の名家の次男。その名家の恥とならないよう厳しく育てられ、常に兄と比較される、という苦しい経験をしてきている。彼は己の人生に半ばあきらめながらも一人の想い人の為に大成を誓う。
 一方のペルシアは伯爵号をもつ領主の令嬢。しかし男性優位の貴族社会において女性は家督を継ぐことができない。父親想いの彼女は一家の誇りを胸に貴族社会を変えるため、「誰にも負けない強さ」を求めているのである。
 この物語はそれぞれの登場人物の成長の物語でもある。
 
 先ほどのシェイクスピアのハムレットの一説"to be or not to be"にはもう一つの訳があります。それが
 
 
「このままでいいのか、いけないのか」(小田島雄志 訳 1972年)
 
 
これは自らだけでなく、この不条理な社会に対して投げかけられた言葉ともとれる。
つまり、深読みすれば、この現代版『ロミオとジュリエット』を通して作者は、社会によって分断された恋を引き金に様々な社会の不条理に対して疑問を突き付けているのようにも感じるのである。
 
 
 
哲学的なテーマあり、
 
 
 
バトルあり、
 
 
もちろん恋愛あり
 
 
それが
『寄宿学校のジュリエット』!
 

 

 私が選ぶストーリー ベスト3

 
見どころ満載の全16巻寄宿学校のジュリエット』。
今回はそのなかから私が選んだ胸キュンストーリーを3つ紹介します!
 
 
3位
 
第10幕「体育祭とジュリエット」(第2巻)、
第11幕「露壬雄と体育祭」(第3巻)
 
 
たかが体育祭、されど体育祭。
それは学内の大イベント。
しかしダリア学園の体育祭は東和国・ウエスト国の威信をかけた、いわば代理戦争。
その大舞台でジュリエットがまさかの失態をしてしまう。
”戦犯”の烙印を押されようとしているジュリエットに対して露壬雄が神対応!?
 
なかなか爽快な展開でした。
「そこまでやるか」っていう感じでした。
ただラストがね……
 
 
2位
 
第75幕「露壬雄と記憶喪失Ⅰ」(第11巻)~第78幕「露壬雄と記憶喪失Ⅳ」(第12巻)
 
 
ひょんなことから記憶喪失になってしまった露壬雄。
何も思い出せない彼は蓮季を彼女だと思い込み……
 
この話も好きですね。
コメディ要素がありながら、影で奮闘するペルシアにも感動する
特に第1幕の展開を覚えていると泣けてくる話です。
 
 
1位
 
第15幕「露壬雄とジュリエットと誕生日Ⅰ」(第3巻)~
第18幕「露壬雄とジュリエットと誕生日Ⅳ」(第4巻)
 
 
きたる7月1日はジュリエットの誕生日
恋人として迎える初の彼女の誕生日をなんとしても祝いたい露壬雄に立ちはだかる監督生(プリフェクト)の壁。
果たして露壬雄は無事にジュリエットの誕生日を祝うことができるのか
 
アニメでは最終回にもってきた話ですね。
はじめはコミカルで、誕生日祝うだけで
 
 
なんでこんなに苦労するの~!!
 
 
って笑ってしまったんですが、
徐々に展開がシリアスになっていって、結末に涙
思いました。やっぱり『ロミオとジュリエット』だな、って。
 
 
ネタバレの度合いが高い話は紹介できませんでしたが、この物語は最後になるにつれてどんどん面白くなる!
特に第13巻は筆者が練りに練った内容だけあっておもしろかった。
 
 

 蓮季と献身

ジュリエットだけじゃない!
『寄宿学校のジュリエット』はたくさんの個性的かつ魅力的な女性キャラが登場します。
 
FF7では「誰が真のヒロインか」という論争がありますね。ちなみに私はエアリス派です。
この物語でも人によって好きなキャラが異なるのではないでしょうか。
 
なかでも私が好きなキャラが蓮季です。
 
 
彼女はとても微妙な役回り。
露壬雄のことを尊敬しているし、彼に恋している。
だけど尊敬しているからこそ告白できずにいる。
そして彼女は露壬雄とジュリエットの秘密の関係に翻弄されていく。
とっても辛い立場。
 
思うに蓮季は優しい性格。いや、優しすぎる、聖母のような性格
あざとい」という印象を持つかもしれないけれど、優しいから、誰も傷つけたくないから、想いを言い出せずに損な役回りになっちゃうんだと思う。
 
それでいて、自分が傷ついていることに目を向けずに皆の為に頑張っちゃう。
ちょっとそこが心配なところ。
 

彼女こそ幸せになってほしい。
 
 
 
 
 
 
 
 

 今日の一曲♪

 
恋せよ女の子』(2005)
 
(歌:田村ゆかり 作詞:羽月美久 作曲:小松一也)
 
 

 
 
 
 

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

 

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