うらみわびの【この本がおもしろい!

第23回。

 

 

鴨志田一 『青春ブタ野郎はシスコンアイドルの夢を見ない』 KADOKAWA 2015

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勝手に評価表

ストーリー

☆☆☆☆

アクション

☆☆☆☆

感動

☆☆☆☆☆

 

 どんな話?

 

思春期症候群

それは若者がなる摩訶不思議な現象だ。

 

ある日突然、自らの姿が他者から認識されなくなったり、同じ日を何度も繰り返したり、ドッペルゲンガーが現われたり……。

 

数々の思春期症候群を乗り越えた青年 梓川咲太は晴れて人気絶頂の国民的アイドル 桜島麻衣とお付き合いをすることができた。

 

そんな矢先……

 

学校を欠席した麻衣を心配して家を訪ねた咲太であったが、彼を出迎えた麻衣はどこかおかしい

 

 

「あんた誰?」

 

 

そして麻衣の横には見慣れない金髪の女の子は言った。

 

 

「私とこの子で体が入れ替わってるのよ」

 

 

それは麻衣とは腹違いの妹、豊浜のどか だった。

 

 

「またか」

と咲太は思った。

 

 

 【登場人物】

 

梓川咲太 :本シリーズの主人公。湘南の海沿いに通う高校2年生。ひょんなことから国民的アイドル桜島麻衣と知り合い、お付き合いをすることに。

 

 

 

桜島麻衣 :国内でその名を知らぬ人がいないほどの国民的アイドル。シリーズ第1作では自身が思春期症候群に見舞われる。

 

 

 

 

梓川かえで :咲太の妹。中学生の時のいじめがきっかけで不登校に。その分、兄の咲太に対する愛情は数倍増しに!

 

 

 

 

豊浜のどか :突如として咲太の前に現れた麻衣の腹違いの妹。アイドルユニット「スイート・バレット」所属。すきなものは「桜島麻衣」。

 

 

 

 

古賀朋絵 :咲太と同じ高校に通う高校1年生。咲太と共に思春期症候群に巻き込まれる。咲太とは「尻を蹴り合う」仲。

 

 

 

 

双葉理央 :咲太と同じ高校に通う2年生。自身も思春期症候群にかかる。昼休みには理科実験室でコーヒーを飲むミステリアスな女の子。

 

 

 

 

 

 【目次】

第1章 シスターパニック

第2章 冷たい戦争はじめます

第3章 シスコンではありません

第4章 コンプレックスこんぐらっちゅれーしょん

終章 秋が連れてきた




芸能活動を止めるな!

 

 

 

 

 体が入れ替わる

 

もはや何が起こっても驚かないぞ! という咲太。彼のタフさは『涼宮ハルヒ』シリーズのキョンのそれを彷彿とさせます。

 

今回の思春期症候群は、体の入れ替わり。

 

ある日突然、自分の体が他者と入れ替わっちゃったら困りますよね。

逆に困りごとから解放されて喜んでたりして・・・。

 

でも、他者になりきるのって不可能に近い気がする。

自分の家族でも無理だな。

 

というのも、自分以外の誰かのことって、分かってるようでも全然わかっていないんだろうと思う。

だから、突然その人になりきれ、っていわれてもできない。

 

そして他者の立場になってはじめて分かる辛さとかもあるのかもね。

このことで思い出されるのが、アニメ『ナルト』シリーズで、タイトルは忘れちゃったけど、作中でナルトが敵に分身するんだけど、その敵が末期のガンだかなんだかを発症していて、あまりの身体の苦痛に耐えかねて分身を解除しちゃう。

 

そこでナルトは気づく。「このおっちゃん。こんな体で俺と闘ってるのか」って。相手の苦しみなんて本当は本人にしか分からないんだろうな、って思った。

 

 

さて、今回の話では、国民的アイドルの桜島麻衣と同じくアイドルをしている豊島まどか の身体が入れ替わっちゃう。でも、お互いに芸能活動は止められないから、お互いがお互いのフリをしながら生活していく

 

そしてそのなかでも気づいてしまうんだよね。お互いの大変さを。

ここがこのストーリーの肝になるところだと思う。

 

 

 

 嫉妬

 

これは兄弟・姉妹のある人じゃないと分からないかもしれないけど、家族間の嫉妬ってかなり大きなものがあると思う。

筆者は一人っ子ですが、従妹が姉妹なので、その争いを目の当たりにしていると感じます。嫉妬。特に年が近いと強いかもね。人間、手が届きそうなところにあるものが取れないのが一番辛い

 

 

 強いられた競争

 

 兄弟・姉妹間の嫉妬を掻き立てるのが競争だと思う。ただでさえ何かしら秀でているところがあると人は嫉妬心を持つものなのに、例えばそれを親から「○○ちゃんはこんなにできるんだから、あなたも見習って頑張りなさい!」なんて言われたら大変だよ。

 私ね、子供は比べて育てない方がいい、と思ってる。特に幼児期はどんどん自由に、褒めて育てたほうが幸せになると確信している。なぜなら、褒められて育った子どもは自分を大切にできるから。ただでさえ学校教育では競争が発生しているから家庭内で無理に煽る必要はない。

 

 でも、ここには落とし穴があることも事実。大人は子どもの幸せを思うがあまり、子供に成長を強要してしまうことがある。

 少し話は逸れるけど、これは私にもある。私はメダカを育てているけど、メダカがちゃんと大きくなっているかは素人の目ではよく分からない。もしかしたらこのままだと冬を越せないかもしれない、って心配になることもしばしば。

 ここに至るには、つまり今やっていることが客観的に成功しているかどうか自分の目で確かめることができないから不安になるんだよね。

 そもそも、人の成長なんて学校の成績のようないくつかの指標なんかで測れるものじゃないのに、「あの学校に入れなかったらダメだ」みたいな感じで、学校の成績が子どもの人生を左右してしまう、ように強く感じちゃう。

 そこで、学校の成績という指標があたかも客観的なデータであるように思ってしまう。だから子どもにより良い成績を取らせないといけない、と焦ってしまう。

 

 

 失敗を恐れない

 

 子どもの幸せを願うのは親として必須かつ立派な心がまえだと思う。

 でも、同時に子どもに失敗することを恐れない、ということも伝えていけたら、と考える。

 

 子どもは親の恐怖心を肌で感じる。失敗の恐怖に駆られる親の子どもほど親の期待に応えるように頑張っちゃうんじゃないかな。

 それだと悲しいよね。なぜなら、その子が歩んできた人生はその子のためのものじゃなくて親のためのものだから。

 だから自分で決めてほしい。子どもに選択肢を与えるのが親の役割であって、子どもに道を示すのとは少し違う、と私は思うのです。

 子どもの失敗・挫折を家族が共に受け止めて、前に進む。そんな停滞期、後退期も大切だと思う。そしてそれは真の意味においては決して後退などしておらず、将来への大きな一歩になるはずだから。

 

 

 本作は、そんな家族や周りの視線に翻弄されながら多感な時期を過ごす女の子たちの葛藤を描いた作品となっています。

 特にラストにかけての展開が感動ものでした!あのシーンはアニメで見たときも泣いた。と同時に胸が締め付けられました。なんだか過去の自分を見ているような気がして。

 

 

 

 百聞は一読に如かず

 

 

 

【シリーズ第1作

 

 

 

 

【アニメ】

 

 

 

 

【本作のキーアイテム!?】

 

 

 

 

 

 

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 今日の一曲♪

 

『snowdrop』(2013)

(歌:春奈るな 作詞:meg rock 作詞:田中秀和)

 

 

 

 

 

 

 

【収録曲】

  1. Prologue ~Candy Lips~
  2. 君色シグナル
  3. みんな絶対君が好き
  4. Startear
  5. DESSERT
  6. 恋の機嫌は3年、愛の期限は何年?
  7. 乙女の願い事
  8. さよならモラトリアム
  9. SU・KI・DA・YO
  10. るなティックワード
  11. snowdrop -春奈るなver.-
  12. 夜の虹を超えて
  13. Beautiful World

 

 

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