インドの寓話からご紹介です
ひび割れた壺
彼は二つの壺を棒の両端に下げ
主人の家に水を運ぶ。
川で水を汲んだ帰りの道中、
完璧な壺は、水を一滴もこぼさないが、
ひび割れ壺の水は、半分まで減る。
完璧な壺は、本来の目的をいつも
達成する自分を誇りに思っていた。
ひび割れ壺は、いつも半分しか
達成できない自分を恥じていた。
すっかり自信を失っていたひび割れ壺は、
ある日、水汲み人足に話しかけた。
「私は自分が恥ずかしい。そして
あなたにすまないと思っている」
人足は答えた。
「なぜそう思うの?何を恥じているの?」
「私は家まで水を半分しか運べない。
水が漏れてしまいあなたがどんなに
努力してもその努力が報われない。
私はそれがつらい」
と壺は言った。
人足は、ひび割れ壺に言った。
「ご主人様の家に帰る途中、
道に咲く綺麗な花を見てごらん」
ひび割れ壺は美しく咲き誇る、
道ばたの花に気がついた。
人足は言った。
「花が、君の通る側にしか
咲いていない事に気づいたかい?
僕は君からこぼれ落ちる水に気づいて、
君が通る側に、花の種をまいたんだ。
そして、君は毎日、水をまいてくれた。
僕はご主人様の食卓に花を欠かしたことがない。
君が君らしくあるがままの君じゃなかったら、
美しい花でご主人様の家を飾ることは
できなかったんだよ」