もうひとつのひとり立ち Ⅱ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

暑い中も毎日次々と咲いてくれるホテイソウの花たち

 

 

 

 

初めて魔女家を訪れた《たぬさん》の子供たち

食後、小さなきょうだいはそれは嬉しそうに庭で遊んでいた

自由に身体を動かすことの、走ることの喜び

 

それまではずっと、どこかの場所にただじっとして動かず暮らしていたのだろう

子どもたちはほんとうに楽しそうだった

 

翌夜の決められた時間

小さな子どもたちが先頭に立ち、両親を従えてやって来た

そうしてちょっと怯えながらも懸命にご飯を食べ、嬉々として庭で遊んだ

 

この時間を楽しみにしていたのだろう

食後はきょうだいで声を出してじゃれ合っていた

 

それからも子どもたちが先頭でやってきた

 

そして5日後

親子で来て食事を終え

子どもたちがいつものように庭で母親に甘えようとした

 

その時、母親は子どもたちを嫌がり、突き放して唸った

子どもたちは戸惑いながらも必死で母親に体を摺り寄せる

 

母親は低い声で唸り、さらに子どもたちを拒絶した

きょうだいの悲しい泣き声が辺りに響く

 

この夜、母親は子どもを連れて帰らなかった

 

 

翌日

時間通りにやって来たのはきょうだいだけで、親の姿はどこにもなかった

 

そのせいか、子どもたちは用心深くした

低い体勢でご飯のところまで来て、少し咥えては庭に持って行って食べる

それを繰り返して食事をしていた

 

それから3時間ほど経った頃、父親と母親がやって来て食事を始めた

喜んで駆け寄る子供たちに母親は酷く唸った

 

立ち竦む子供たち

母親に向かって上がりかけた階段を、戸惑いを隠せない様子で降りてゆく

 

 

翌日、いつもの時間に西側からやって来た子供たち

同時に母親も東側から姿を現わした

 

母親の姿を見て草の中に隠れる子どもたち

 

 

この辺りから両者は親と子ではなく他者になり

小さな子どもたちは自立を余儀なくされた

 

 

約束の時間

1㎏にも満たない幼いきょうだいが駆け寄って来る

すぐ傍までは来ないが、食事だけを楽しみにして

 

 

 

 

近所に住む元生徒のまいこちゃんがこれまでに1,2度庭で《たぬさん》を見たという

まいこちゃん一家と魔女家とは生きものに対する想いを同じうする仲

互いに見守ろう、ということになって

 

毎夕刻には

まいこちゃんの子供たちが工夫を凝らしたご飯の差し入れを手に魔女家のチャイムを押す

 

 

 

住宅密集地で暮らす動物

そこで生まれてしまった動物

 

そんなみんなを

広い自然の中に連れ戻してやりたい

 

その昔は

昼も夜も自由に歩き、走り、楽しくはしゃぎまわることのできる世界が彼らの前にあったはずなのに

 

 

この住宅地にたった一ヶ所になってしまった2区画分の空き地があって

のらさんや昆虫たちのたまり場だったのが

数か月前にそこが売られて5,6軒の家が建ち、先日あっという間に完売した

 

あそこで暮らしていたのらさんたち・・ どこに行ったのかな

《らっか》もそこにいたのね、きっと

 

ひっそり暮らしていた場所も追われ

嫌だ、も 止めて、も言えない者たちは

いつだって人間の中の金の亡者の犠牲になる

 

経済も利便性も極め

美しい地球を破壊して

人はいったいどこに向かっているのだろう

 

 

 

・・・・・・

 

 

暦では今日は盆の入り

 

この暑さで7月には殆どの蕾が萎えてしまい、『今日ちゃんのお花』は1輪しか咲きませんでした

酷暑のせいで今年は、15年前に 『今日ちゃんのお花』 がやって来て以来初めて花の咲かないお盆を迎えました

 

淋しい思いで 『今日ちゃんのお花』 を見詰めていた先日

小さな蕾を見つけ、よく見たらそこには14この蕾がありました

 

ひとつの葉に2つ付いているのもいくつかあるので、それは片方がダメになる確率が高く

天候の問題もあり、実際は何輪の花が咲いてくれるのかは定かではありませんが

 

この花たちが咲いてくれた日を

魔女家ではお盆と致します

 

遅れてやって来るお盆

それでもきっと、賑やかになるでしょうね

 

《にぃ》、《おにいちゃん》

少し延びるけどもう少しニャバーランドで待っててね

必ず迎え火を焚いてみんなで迎えるからね

その時は帰るところのない仲間たちを全員連れて来てください