――――数年前――――

ソレは、青金剛石から誕生した。
青碧の双眸と銀糸の髪を持ち、
狐の耳と尻尾を生やした狐童子の姿をして。

狐童子は、盗みにより村を騒がせて後、
紅蓮の炎に包まれ、海に還った。
亡骸は何もなく、物言わぬ人形だけが其処に在った。

時を重ね、残されたヒトの想いは人形に魂を吹き込んだ。
物言わぬ人形は、狐童子となり、浮き世に蘇った。