二人が村を放れ、夏が去り、秋が訪れようとしていた。
新しい季節のイベントに村が賑わっていた頃、俺は青金剛石の呪いにかかり、不自由な思いをしていた。
名の知れた一人の忍に助けられて、漸く自由を再度手にいれることができた。
そして、ちょうどその直後に、一匹の妖怪が現れた。
俺は名残惜しくも金稼ぎの石を手放し、村の外れに建つあばら家へ帰った。
すると、突然背後で子供の声がした。
「ほぇ~此処がお前の家かぁ~?」
人の気配は全くない。
とっさに振り向けば、人の背に一匹の妖怪が背負われていた。
「なっ!?てめぇっ!いつから人の背に乗ってやがる!?」
重さは感じないが、姿を見た今ではその小さな手に掴まれている感触がある。
俺は背中に手を伸ばし、餓鬼を掴みあげようとした。
だが、ひょいっと身軽に跳ね上げ、逃げ回る。
「このやろぉ、てめぇ、人をおちょくるのも大概にしろよ。」
「ひゃ~あ、怖い怖い♪にっしっしっ。捕まえれるもんなら捕まえてみ~♪」
そう言って、すばしっこく逃げ回る餓鬼と、追い掛け、時に刀を振り回した俺のせいで、家の中は滅茶苦茶に破壊された。
この時ばかりは、蘭華が留守にしていたことに感謝をした。