俺が妖怪村に来て、此処での生活にもなれた頃、突然、あいつが失踪した。
その頃の俺は、ちょうど俺と時期を同じくして村に現れた弦月の姉、瑞麗と付き合い始めた頃だった。
瑞麗は古風な喋り方をする医者だった。
始めは単なる暇潰し。
俺の知らない村人、友人に囲まれて穏やかな生活を送る蘭華。
そんなのを見ていても、面白くない。
俺は、飽く迄遊びの付き合いを求めていたんだ。
それに、瑞麗は自分は落ちないと返した。
だから、試した。
だが、案外簡単に手の中に転がり込んで来た。
まあ、弱っているところに漬け込んだ俺の策略勝ちってやつか。
酒場で起こったひとつの事件を切っ掛けに、俺達は公認の仲ってやつになった。
蘭華が此処に骨を埋めるのなら、それに付き合ってやろうと思った。
