前の記事で書いたと言っていた妄想です。
アニメはハイキュー。
知らない方もいらっしゃるかも知れないので一応簡単に説明。
ハイキュー!!は高校男子バレー部のお話。
たくさんの高校バレー部が出てくるのですが、今回書いたのは花子の好きなうっちーの声で、好きなキャラの月島くんのお話です。
なので簡単に月島くんの説明。
月島 蛍(つきしま けい)
烏野高校 1年4組
4組は進学クラスなので頭いい。
烏野高校排球部
ボジションはMB(ミドルブロッカー)
身長は190㎝超(入学当時から伸びてるのでアバウトに190㎝と書いておきます)
頭良くて意地悪で真向コミュニケーションが苦手でそういうのくると戸惑って、たぶんそれが女子ならテレるタイプかと。
いわゆるツンデレ。
そして黒縁メガネくん。
つまりは背高のっぽのツンデレメガネ←ここにうっちーの声ってもうたまらんのですよ
まあ、それほど深い内容ではないのでこれくらいの説明でいいかと。
そして妄想の中では付き合ってる設定です。
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「やだやだやだやだやだぁぁぁーーーーー………」
『駄々っ子』そう言葉が返ってくること覚悟で最後の反発をした。
『ホントに○○、高校生なの?』って言われる覚悟も。
だから”手足はバタバタさせてない”なんて反撃の言葉まで考えていたのに。
「………………」
まさかの無言。
痛い。
沈黙は痛い。
いや、冷たい視線も痛いんですけど。
_____15分ほど前のこと。
「どうぞ」
「おじゃまします」
促されて一歩部屋に足を踏み入れる。
そして大きく深呼吸するように空気を吸い込んだ。
(あー蛍の部屋の匂い)
「久しぶりだね。こうして蛍の部屋におじゃまするの」
「そうだね。練習やら大会で忙しかったからね」
ここ最近は部活が忙しく、ゆっくりと二人で会える時間がなかった。
そして今日、ようやくゆっくりと過ごせる時間が取れたのだ。
でもマネージャーの私はいいとして、蛍は選手であって、たぶんどこかへ出かけるなんて疲れるだろうと思い『お家デートがしたい』と提案したのだ。
「突っ立ってないで座りなよ」
「あ、うん」
私はいつものようにベッドを背もたれに腰を下ろした。
蛍はというと『ああ、そうだ……』と言って何やらカバンの中を探っている。
「映画でも観る?」
「うん」
蛍が一緒に観ようなんて言ってくれる映画ってどんなのだろう
まさかベタな恋愛ものとか?
いや、それはないにしてもアクションとかかな?
なんて
……期待した私がバカだった。
私の目の前に差し出されたのは『いかにも』という感じのホラー映画のDVD。
(そうだった……蛍に限ってそんなことあるワケないじゃん)
「い、いや……無理」
「なんで?」
なんでと聞かれても無理なものは無理なのだ。
世の中の女子高生が苦手とする大体のことは平気な私だけれど、どうしてもホラー映画というものだけは受け付けられない、苦手なのだ。
けれども蛍が簡単に引いてくれるワケもなく冒頭に至る。
暫く無言の時間が続き
「……ハァ」
蛍の口から洩れたため息。
「そんなにホラー映画嫌なの?」
少し呆れたような、でも優しい声で尋ねられる。
「……ヤだ」
「じゃあ『お家デート』諦めて帰る?」
「そ、それも絶対にヤだ」
「じゃあ、どうするの?」
さっきまでの優しい声とは違って、いつもの意地悪な時の蛍の声。
「う……っ」
(蛍、絶対私が折れるってわかってて言ってる)
まあ、いつも蛍のことが好き過ぎて、折れてる私も私なんだけど。
今回のホラー映画だけは簡単に折れるコトもできず、でも蛍と一緒にゆっくりと過ごす時間も絶対なワケで。
「う~ん……あっ!そうだ。こうすればいいじゃん!」
私は『何を思いついたの』と言う蛍の後ろに回り込み座った。
テレビに向かって座っている蛍、その蛍の背中にピタリとくっつくかたちで座る私。
「ほら、これなら蛍の背中で画面見えないし!」
『音は聞こえるデショ』なんて言われたけれど気にしない。
蛍は身長190㎝超だし、バレーをやってるから細身に見えても肩幅だって結構ある。
「ほら、大丈夫っぽいよ。蛍の背中大きいから、これは背中じゃなくてある意味”壁”だよ」
「あくまで視界だけでしょ。言っておくけど、僕の背中は防音じゃないからね」
そう言って蛍が再生ボタンを押し、映画が始まった。
映画が始まり1時間ほど過ぎた時。
「うわぁぁぁぁぁぁ…………っ!!!やだやだ。もう止めようよ」
「○○うるさい。少しは静かにできないの?」
「無理無理無理っ!!」
なんて会話が何度か続き、暫くすると私は叫ぶ気力さえ無くなっていた。
怖い。でも、もう喉痛いから叫べない。
だから”ああ、来るな”って音の時には蛍の背中にぎゅっとしがみつくしかできない。
「ちょっ……力強すぎ。そんなにくっつかなくても画面見えてないでしょ」
「画面は見えてないんだけど……お、音がです……ね」
「だから僕、言ったよね?僕の背中は防音じゃないって」
「う、ん」
言った。
確かに言ってました。
(でも聞こえるんだもん)
正直音だけでこれだけ怖いとは思ってなかったから。
「ハァ……」
本日既にもう何度目かすら分からない蛍のため息がまたひとつ。
「ご、ごめんね?」
「……何で疑問形なの」
「何となく?だって蛍、この映画観たかったんじゃないの?」
「別に。それほど観たかったわけじゃない。でも、もう少しで終わるから……ここ」
ぽんぽんと手で示された蛍の隣。
そんなとこ座ったら、視界も音も入って来放題じゃん、なんて思いつつテレビを見ないようにそろっと腰を下ろす。
でもテレビは真正面、音も聞こえる。
だから少しだけでも、と思い蛍の左腕にぎゅっと自分の両腕を回ししがみ付いた。
「そんなに怖がんなくてもさぁ……こうすれば後ろにいるよりかはマシでしょ」
声と同時に蛍の手によって塞がれた左耳。
一瞬ドキッとして目を開けようとした時に落ちてくる影。
そして、自分の唇に触れる柔らかくて暖かい何か。
その何かがわかり目を開けると蛍の整った顔がすぐ側にあった。
「僕の背中ばっか見てないでさ。こうしてれば○○は映画のことなんて気にしないで僕のことだけ意識するデショ」
いつも意地悪で素直じゃない蛍。
だけど今の言葉の意味はたぶん……
キミの頭の中をいっぱいにするのは
ホラー映画じゃなくて僕だけでいい