●AD/HDと自閉症の類似点について
1.患者集団と診断法の類似点
両者は共通して男の子に多いことがわかっています。二つの姿を、たとえばチェックリストで比較するとよく似ていると言います。他の子と上手く遊べない、パニックを起こすなどが似ている点です。
2.ぶきっちょなところ
動きがぎごちない、目を閉じて片足立ちするのに問題がある、字を書くのが下手など、運動機能に問題が見られます。
3.感覚反応の奇妙さ
触覚、嗅覚、聴覚、視覚など感覚反応に、過敏と鈍感が目立ちます。こういう姿が両者には共通します。
4.共存症の類似点
睡眠障害、読みに関する障害、躁うつ病、気分および不安障害、うつ病、学習障害、反抗挑戦性障害、強迫性障害などが両者に共通して見られます。
5.実行機能など障害の類似点
実行機能とは、適切に注意を働かせ、得られた情報をもとにいくつかの考えを比較検討し、より適応的な行動を選択・判断し、それを実行できる力と言えます。この実行機能に問題があれば「不注意で気が散りやすく、衝動的という特徴」が現れると本書には書かれ、両方に共通した姿とされます。
6.言っている意味がわからない
両者にはコミュニケーション障害があるものの、両者の大きな違いは「あり様ではなくその程度にある」と述べられています。まったく異質なものではなく、わからなさの度合いに差があると考えられています。
7.みんなのように遊べない
AD/HDは社会性という点で、アスペルガー症候群などの自閉性障害とは違うと思われています。ただ実際には、幼い時にはあまり人見知りせず、また人の気持ちがわかりにくいなど似たところがあります。順番を守れないなど、社会的なルールを学ぶことも苦手な点も、両者に共通します。
8.行動の類似点
両者にしばしば見られるのが、かんしゃく行動やパニックです。自分の思いどおりにならないと大騒ぎにつながりやすいのです。感情がすぐに発火点までに達し、爆発してしまいます。終わった後にケロリとするのも共通しています。気分を変えることが苦手で、一旦とらわれてしまうと、その感情からなかなか抜け出られないとも言えます。
9.同一性の保持など
この稿ではこれまで何度か述べてきましたが、AD/HDの場合、同じことを繰り返し考える傾向が見られます。注意が移りやすい一方で、何かの考えにとらわれると、そればかりを考えてしまいます。このことがベースにあるためか、強迫的な姿が見られることもあります。同じような行動が、自閉の青年に見られることがあり、両者は似たところを持つと言えます。
●類似点と対応法
AD/HDと、アスペルガー症候群などの自閉症圏内の子どもは、基本的に違うと見られてきました。ただ実際には、ひとりの子どもの中にSくんのような姿が見られます。二つの病気が併存していると考える立場もありえます。実は根っこの発達障害はひとつであり、現れ方が違うだけと理解するのがこの本の立場です。どちらが正しいかは、これから先の研究が明らかにしてくれるでしょう。
本書は、まわりの大人が子どもを決めつけないことの大切さを教えてくれます。自閉症だから環境の構造化、AD/HDだから行動の枠組みをはっきりさせるべきと単純には言えません。まずは大人のほうが自閉的になったり、強迫的にならないように気をつけたいものです。一人ひとりの子どもの姿をもとに、対応は柔軟に考えるべきと思います。
図式バージョン、
