ケンチの告別式はどうするん?
自宅で密葬、無宗教やろ~
ケンチの友人である多国籍の訪問とルシアの為にも自由形を決めていた私
各々に心を込めて御霊を慰めて頂ければ、それで良かった
ケンチが自宅に戻り、通夜はその日の夜に決まった。と同時に…
ブラジル人が来た
友人たちはベットを分解し、ソファーを動かし、在宅療養に使っていたフローリングの部屋があっと言う間に式場になる
棺桶 遺影 献花台
それ以外は生活していたままにテレビや本棚、電話機にパソコン、そして壁にはサッカーチームのユニフォームが数着吊るされ写真や自分で描いた絵がそのまんま
通夜に訪れた人々は、それを見てケンチを偲び思い出を口々に語り合い部屋から離れなかった
テレビからはマラドーナのゲーム中継、DVDプレーヤーからは骨髄移植者フットボール大会の動画、BGMはケンチが使っていて聴いていたまんまのモーツァルトが流れる
告別式後の火葬場にも続々と友人が集骨に訪れ、みんなでケンチを自宅に連れて帰る
そこで皆さんご帰宅かと思いきや、ギターを片手に弾き語りが始まる…そして遺骨を囲みつつ、友人たちはソファーやテーブルをセッティング
用意していたお留守番さん用の食糧はあっと言う間に消えて早くも買い足しに走りまくる
その間も集まった多国籍の友人たちは賑やかにケンチとルシアを囲む
独り残るルシアは
私たちに任せて
心配いらないよ
そう感じさせるかのように
哀しみつつも皆で集い賑やかに過ごす温かさに、京都の家族さえも安心して帰宅させてくれた
何なんやろ~ケンチが愛したこの人たちは
こんな時に畏まった挨拶も要らない、ただ最初にルシアと抱き合い涙し、棺のケンチに意を込める
遺されたルシアを囲み
慰め弔いの宴を延々に
終りを感じさせない自然な方法
形式にとらわれないナチュラルなスタイルに憧れを持つケンチの気持ちを
少し理解できた気がした