無職になって2ヶ月目。

 

 

転職活動はしていたものの、

ほぼ家に居たタクヤ。

 

タクヤは仕事の職種や条件を

選んでばかりいた。

 

日雇いバイトくらい行って、

少しでも稼いで、身重の嫁を、

支えようと思わないのかな。

 

 

変な見栄張ってないで、

とにかく働けよって思うと

やはり日々私はイライラしていたし、

呆れてもいた。

 

 

 

そんな中でこのサプライズ。

 

タクヤなりに

何も思っていないわけではなかったのか。

そう考えると私も単純ではあるが

少し怒りが収まってしまった。

 

 

ケーキを食べ終わる頃

タクヤは寝室から

大きな袋を持ってきた。

 

 

 

 

タクヤ

「お誕生日おめでとう。これ

 ブランド品とかじゃないけど。

 安物だけど…」

 

 

 

 

ミキ

「え。もしかして…。

 プレゼント…?プレゼントなの!?

 お金ないのに!?プレゼント!?」

 

 

 

 

驚きのあまり

ひっくり返りそうになった。

 

 

 

 

タクヤ

「うん、お金はない…。

 本当にない…。

 本当にそれもごめん。

 これが精一杯だったんだ…。」

 

 

 

包装をとくと、

小さめのハンドバッグが出てきた。

 

 

 

 

タクヤ

「これだったらさ

 妊婦検診にも持って行けるだろうし

 子供が産まれたら、

 ちょっとその辺に

 買い物に行くにも、、

 ちょうどいいかなって。

 

 ハイブランドとかじゃないけど…。」

 

 

当時のタクヤはこうやって

まだ私のことを思いやる気持ちがあった。

 

束縛も、愛情からゆえだと思うと

ひどすぎるのも困るが、

許せることもできた。

 

 

 

ミキ

「そんなこと考えてくれてたんだ。

 ありがとう!!

 

 ハイブランドとかじゃなくていい!

 気持ちが嬉しいよ!!」

 

 

 

タクヤが色々悩んで、いっぱい歩いて

限りあるお金の中で

ないなりの工夫を精一杯やってくれた。

 

食事の準備も、

かなり仕込んでからじゃないと

出来ないような、

手の込んだものだった。

 

 

この時はこうやって、

節約したり

工夫したりしてくれていたよね。

 

 

 

私はそれで、良かったんだよ。

 

高い店に連れてって欲しいとか

高いプレゼント買って欲しいとか

 

 

そんな事言ったこともなかったでしょ。

思ってもなかったよ。

 

 

だってなんならそんなことは

自分で出来たから。

 

 

私があなたに望んだのは、

あまりあるお金じゃなかったのに。

 

 

 

 

 

 

 

そうして私は、産休に入った。

 

 

産休に入り

出産予定日まで1ヶ月を切った私は

里帰り出産のために実家に帰った。

 

仕事をしていなかったタクヤは

その間、自分の実家に帰っていた。

 

 

里帰り中私たちは

毎日連絡をとっていた。

 

 

というか。

 

 

里帰り中に限らず、

結婚してからも

私たちの連絡の取り方は

かなり多かったと思う。

 

 

(そりゃあ、未読999になるほど

 連絡してくる奴だし

 そうなるよね。)

 

 

それからタクヤは毎日

私の体調を聞いてきたり、

まだお腹の中にいる

チビミキの様子を気にしていて

 

この時はちゃんと

父親になる気持ちの準備を

しているようにも思えて

離れていたせいもあって

私の気持ちは穏やかだった。

 

 

私たちは、

その日どう過ごしたかを

互いに報告し合っていた。

 

 

こんな時に無職なんてあり得ないし、

最悪の最低だけど

 

無職だったからこそタクヤは、

予定日より10日ほど早く

私の実家に来て

出産に備えることが出来た。

 

 

私の実家にやってきたタクヤ。

この時はちゃんと両親に

手土産を持ってやってきて

 

普通のことだけど、

タクヤにとっては凄いことだ。

 

 

私の実家にいた時のタクヤは、

車の運転や、

たまにご飯を作ったり

実家の家事を手伝い

それなりに頑張っていた。

 

 

 

 

そして迎えた出産日当日。

 

 

 

タクヤの希望で、

立ち合い出産となった。