従兄妹達が家を出て、叔父が亡くなってからは
1人には大きすぎる家で暮らす叔母。
庭では小さな畑に野菜を育て、花を育て
リビングやダイニングには娘や孫たち、叔父の写真を沢山飾り
ひとりでも楽しく快適な生活だと叔母は言う。
叔母の家に行くと いつも
空気が洗われるような美しいクラシックギターが聞こえてくる。
アルハンブラの想い出。アランフェス。鳥の歌。
どれも美しくて優しくて悲しい旋律。
叔父は若い頃クラシックギターのプロを目指していたそう。
子供の頃は確かに叔父がクラシックギターを奏でるのを見ていて
普段は子供好きで明るくて、タケちゃんマンみたいなおじちゃん。と思ってたのに
ギターを弾き始めると別人になるのも見ていた。
プロのギタリストという夢を諦めて、安定した幸せな家庭を築いた叔父。
休みの日には部屋に籠り、食事も摂らずクラシックギターを何時間も引き続ける叔父を
“パパは変人よ。”と 叔母が言っていた。
子供の頃、私が遊びに行くと
日曜の朝はTVで“題名の無い音楽会”を見て、
その後は優雅で力強いクラシックのレコードを聴かせてくれた。
叔父の持っていたオーディオセットは音質が凄く良いと子供ながらに思っていた。
叔父が亡くなっても 叔母の家に行くといつも
クラシックギターの心が洗われるような音色で迎えてくれる。
そうかな。だからバンブーの音に??
音と想い出。
音と記憶。