???「そらさん、はしゃぎすぎです」

また男の人が部屋に入ってきたかと思うと、私からそらさんを引き離した。

(あ……この人は犯人を取り押さえた人だ)

???「困った時にポカンと人の顔見上げるのは、ガキの頃から変わんねーな」

私「え? ガキの頃からって……」

???「なんだ、オレのこと覚えてねーのかよ。薄情だな」

私「覚えてないって……会ったことありましたっけ……?」

???「秋月海司。ガキの頃、よく一緒に遊んで昼寝したろ」

私「あきづきかいじ…海司……。え!? 海司って、あの海司!?」

海司「オレ以外に、海司っつー知り合いいんのか?」

私「いないけど……。海司が警察のSPになってるなんて……」

(そういえば、子供の頃から柔道が得意だったけど……)

海司「引っ越す時に、あんだけ泣いて別れたくせに……」

私「だ、だって、海司がSPになってるなんて、想像もしなくって……」

そら「海司―、○○ちゃん独り占めするなよなー。オレだって、○○ちゃんと積もる話が……」

海司「出会って一時間も経ってないのに、積もる話なんてあるワケないじゃないっスか」

そら「オレは○○ちゃんのプロフィールを知った時から……」

昴「うるさい奴らだな。休憩時間じゃないんだぞ」

そら「はいはい。スーパーエリートの昴さん、すみませんでした」

私「スーパーエリート?」

そら「昴さんはハーバード大学を卒業され、警察学校を首席で出られたスーパーエリートなの」

私「ハーバード……」

昴さんが警察に入ってからの輝かしい経歴が、そらさんの口から語られる。

(驚くほどカッコイイだけじゃなくて、スーパーエリートなんて凄すぎる……)

こうやってSPの皆さんが並ぶと、系統が違えどイケメン揃いなことに気がついた。

(SPっていうより、アイドルグループみたい……)

海司「どうした? ぼーっとオレたちの方を見て」

私「う、ううん……」

そら「もっと、いろいろお話して、交流を深めたいんだよね?」

私「え、えと……」

瑞貴「そらさん、がっつくと怖がられますよ?」

そら「誰ががっついてるんだよ」

瑞貴「最近、合コンに行けてないからって……」

そら「こら!○○ちゃんの前で、何言っちゃってんの!」

桂木「お前ら!」

ドアが開き、桂木さんが戻ってくる。

そら「げっ! 班長!」

桂木「げ、じゃないだろ!」

私「桂木さん……」

桂木さんは部屋に入りながら、SPの皆さんを順番にペシペシっと叩いた。

桂木「お待たせしてしまい、すみませんでした。部下が騒がしくて、申し訳ありません」

私「いえ。皆さんには危ないところを助けていただいて、ありがとうございました」

桂木「騒がしいヤツらですが、コイツらは皆、優秀なSPたちです。それは私が保証します」

私「はい」

桂木「●●さんには、私たちの中から、一人の専属SPを選んでいただきます」

私「せ、専属ですか?」

桂木「安全が保証されるまで」

桂木「●●さんのことは24時間付きっきりで警護させていただきます」

桂木「ご不便を感じることもあるでしょうが」

桂木「○○さんの身を守るためですので、ご了承ください」

(24時間、付きっきりの警護なんて……)

桂木「●●さんの警護には、誰が付きましょうか?」

私「えと……ど、どうしよう……」

(この中で、私が警護をお願いしたい人……。誰にしたらいいんだろう……)

桂木「お返事をいただくのは明日で構いません。今日はお疲れでしょうから、ご自宅までお送りいたします」

私「は、はい……」

桂木「明日、またお迎えにあがりますので」

私「はい」

そら「じゃあ、今日は俺が家まで送ってあげるね!」

私「ありがとうございます」

(……専属SPを決めるなんて……どうしよう)

戸惑いを隠せないまま、私は自宅へ向かう車に乗った。





翌日。予定通り迎えにきた桂木さんと一緒に、私は官邸を訪れた。

桂木「早速ですが、●●さん。SPを誰にするか決めていただけましたか?」
私「はい」
私は桂木さんに向かって軽く頷いた。
私「私が警護をお願いしたいのは……」


一柳昴を選択



私「昴さんに警護をお願いします」
桂木「わかりました。では、本日より昴を警護につけますので、よろしくお願いします」
私「はい。昴さん、よろしくお願いします」
昴「ああ」
超エリートと云われる昴さんにお願いした、24時間の専属警護。
(私の生活、これからどうなっちゃうんだろう……?)
行き先の見えぬ不安を抱えたまま、警護される日々が始まった。



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はぁ、長かった疲れ





まだプロローグですよ。

それがまさか更新5回分にもなるとは……

さて、これから俺様スーパーエリートの昴さんとの警護生活が始まります。

なんで昴さんかと言われても、一番最初に名前があったからだけなんですけどね

まぁ、きっといい人なんでしょう

私はゲストルームらしき広い部屋へと案内された。

桂木「すぐにSPたちが戻ってくると思います。私はこれからの警護スケジュールをお持ちしますので」

桂木「しばらくこちらの部屋でお待ちください」

私「わかりました。いろいろお手数をお掛けしてしまって、すいません」

桂木さんが部屋を出ていって、ソファの上で所在なくしていると部屋のドアが開いた。

昴「お、もう、きてたのか」

私「あ……」

(私をヘリに乗せてくれた人……SPだったんだ……)

???「○○さん、おかえりなさい」

私「先程はありがとうございました」

???「そういえば、まだ自己紹介もまだだったね。僕は藤咲瑞貴。こっちは……」

昴「一柳昴だ」

私「藤崎さんに一柳さん……」

瑞貴「瑞貴でいいよ。僕らのチームはみんな、名前で呼ぶ派なんだ」

瑞貴「だから、他の人もね」

昴「勝手に決めるな。なにが名前で呼ぶ派だ」

瑞貴「昴さんは、○○さんに名字で呼ばれたいんですか?」

昴「……面倒だから、昴でいい」

瑞貴「ね?」

私「は、はい……」

(昴さんに、瑞貴さん……。名前で呼ぶなんて、なかなか慣れそうにないな……)

???「○○ちゃん! 無事についたんだね」

私「え?」

昴さんと瑞貴さんの後ろから、少し小柄な男の人が顔を見せた。

私「あの……貴方は……」

???「あれ? わからない? じゃあ……」

???「『○○―! 待った―?』」

私「あ……! 最初に声をかけてきた女の人……!」

(もしかして、女装してたの……?)

???「そう。俺は広末そら」

???「よろしくね」

私「そらさん……」

そら「ほらほら、表情硬いよ?」

そら「ここは安全なんだから、笑顔♪笑顔♪」

そらさんは私の頬を軽くつつく。



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やばい、顔と名前が……(・_・;)


さあ、そろそろ概要教えてもらえませんかね


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着替えを済ませると、私は奥の部屋へと案内された。

桂木「こちらで、お待ちください」

秘書官「面会時間は5分です。積もる話もあると思いますが、それは後日」

私「え……面会って……」

(誰に会うの?)

私が問いかける間もなく、部屋のドアが開いた。

???「○○、いきなり驚かせてしまって、すまない」

(こ、この人……)

私「ひ、平泉総理!」

私の前に現れたのは、いつもテレビのニュースで目にしている日本の総理大臣、平泉龍一郎だった。

平泉「はは、娘にそう言われるのは照れ臭いものだな」

私「む、娘!?」

平泉「ずっと、○○を探していたんだ」

平泉「○○、お前は私の娘なんだよ」

私「わ、私が平泉総理の娘!? そんなことあるわけ……」

平泉「母から、父親のことはどう聞いている?」

平泉総理の表情が和らいだかと思うと、優しく問いかけてきた。

私「……お父さんのことは……訳あって一緒に暮らせないけど、素晴らしい人だって……」

そう、お父さんのことを放していたお母さんは私が子供の頃に亡くなってしまった。

(それから、お祖母ちゃんに引き取られて……お父さんのことは、あまり聞かなくなったけど……)

平泉「お母さんは私の立場を考え、○○を一人で産み、育てる決心をしてしまった」

平泉「私のもとを去ってな……」 ←えっ、不倫だったの!?

平泉「だが、私はずっと、○○とお母さんの行方を捜していたんだよ」

私「そんな……」

秘書官「総理、お時間がありません」

平泉「ああ、わかっている」

平泉「○○、信じられないかもしれないが、○○は私の娘だ」

平泉「まだ整理がつかないと思うが、ゆっくり家族になっていこう」

私「は、はあ……」

(私のお父さんが平泉総理?そんなこと……信じられないけど……)

平泉総理……お父さんの目を見ると、その目は真剣で嘘は感じられなかった。

桂木「もう一つ、●●さんにお伝えしておかなければいけないことがあります

私「はい」


桂木「遊園地の一軒でお察しされているかもしれませんが、●●さんは命を狙われています」

私「え……っ」

平泉「それは、キミが私の娘だからだ」

桂木「じつは、3日前、総理の車が盗聴されてるのがわかったんです」

桂木「最新の盗聴器で、我々が発見するのに時間がかかってしまい……」

平泉「それで、相手に○○の存在を……」 ←相手は3日でわかったのに、お父さんはずっと見つけられなかったの?

私「私の存在って……それに、その相手って……」

桂木「貴方の安全のためにも、それは言えません。ただ……脅迫文が送られてきた」

桂木「ある要求をのまないと、娘の命はないと」

私「どうして私が……」

桂木「平泉総理は、正義のためなら命さえ惜しまない人です」

桂木「ただ、唯一の肉親である●●さん……貴方が唯一の弱点なんです」

(私が、唯一の弱点……) ←不倫じゃなかったのね、よかった

桂木「不安なことと思いますが、我々SPチームが、全力で貴方の警護にあたらせていただきます」

平泉「信頼できるSPチームだ。必ず○○を守ってくれるよ」

秘書官「総理、お時間です」

平泉「○○、困ったことがあったら、すぐに私に相談してくれ」

私「はい……」

お父さんは私の肩に軽く触れると、執務室を出ていく。

桂木「●●さん、こちらへ……」

(私が総理の娘?……しかも、命を狙われてるって……)

話を呑み込みきれないまま、私は桂木さんのあとをついていった。