先日、アメトーークにてカズレーザーさんが紹介されていた『ヤギより上、猿より』を読み終えました。


この物語、4作収録されているんです。
この本の題名であるヤギより上、猿より下は4作目でした。

初めて平山夢明さんの著者を読んだのですが、度肝を抜かれました。
 

読み手の受け取り方次第だと思いますが、要するに「ブラックジョーク」なるものに分類されるのではないでしょうか。



ここから先はネタバレを含みます!!

1作目、題名は、「パンちゃんとサンダル」です。
一見、メルヘンチックな題名ですよね。(笑)

まあ、この話が何と胸糞が悪いことか。


もし将来私に子供が産まれたら、中学1年〜2年の間に絶対に読ませようと思いました。
多感な時期にこの作品を読むと、どう感じるのか。
そのくらい後味の悪さは群を抜いています。

私の話はこれくらいにして、作品に戻りましょう。




ざっくり作品を説明すると、
母親が父親から虐待を受けており、それに怯える息子目線で物語は進んでいきます。

隣の部屋に住む外国人、アレキサンダル
「お前を助けてやる、その代わり金が必要だ」とカタコトの日本語で息子に説明します。

身も心も疲れきった息子は助かりたい、
この場所なら抜け出したい一心で
母親の宝石を盗み、アレキサンダルに渡し
助けてほしいと懇願するのです。

アレキサンダルは、次自分の身が危なくなったら助けを呼んでくれと、その息子に
言い聞かせます。

しばらく経ったある日、父親が手もつけられないほど暴れ、息子や娘にも手を上げ始めます。
息子は耐えられなくなり、必死の思いで
アレキサンダルに助けを求めに行くのです。

そこで、マンションの管理人が一言。
「隣に住んでいた外人さんなら引っ越したよ」
息子には事態が理解できません。
そして、メモを手渡されます。
そこには、たどたどしい字で
「ヒトニタヨルナ」とありました。
彼はようやく自分が騙されていたことに気づいたのです。
その時、彼の中のなにかが音を大きく立てて破裂した。


と、まぁこういった感じです。

なんて後味が悪い物語なのでしょうか。
息子は世の中の現実を突きつけられ絶望に打ちひしがれる、という...。



でも不思議な中毒性があるんです。
こんな終わり方、気味が悪い、後味が悪くて好みではない。と思いながら
惹かれてしまう自分がいるんです。
つい物語を読み進めてしまいます。

それがこの物語の、平山夢明さんの魅力と言っても過言ではないです。


心地のいい後味の悪さ、とでもいいましょうか。
この作品に出会えたことに感謝しています。

世の中には自分の知らない世界が数多あることを思い知らされました。



読み終えた後、得体の知れない幸福感に包まれてしまいました。




平山夢明さんの前作、
デブを捨てに』が気になって仕方がありません!!

その他三作の感想はまた後ほどということで....


ご愛読ありがとうございました!