浦富海岸に行きたくなる
時間さえあればいつでも。
なくても嫌なことがあったとき、嫌な思いをしたときはいつも、そこへ逃げたくなる。
浦富海岸へ行ってずっと海を眺めていたい。
ずーっと、ぼーっとして、眺めていたい。
現実をすべて忘れて、心を無にして
ただぼーっと。
海が好き。泳ぐよりも見る方。プールよりも海。
穏やかじゃなくて豪快な。明るい青じゃなくて深い青。
にぎやかじゃなくて閑かな。
海には感情がない。冷たい。
迫力のある白い波を何回も何回もたてる。
どこにも移動せずにずーっとそこにいる。
迫力ある波を自慢しないし、横柄な態度で威張りもしない。
人間には感情がある。
いろんな感情があって、それが交錯して、それでまた感情が生まれて。
だから温かい、暑い、暑苦しい。
そんななかにしばらくいると、冷たい海を求めるのだろう。
海に行って日常の現実をすべて忘れたい。
ストレス社会から目をそらしたい。
前向きな感情、後ろ向きな感情、真っすぐな考え、曲がった考え、喜び、悲しみ、怒り、ひがみ、愚痴、争い。
降りかかり、積もり、ストレス 逃げたい この世界から目をそらしたい 海へ行きたい。
無感情世界の海、感情世界の人間社会。
私もまた人間で、感情世界に生きるから、無感情世界には、引っ越しも、旅行もできない。
抜け出せない。ただ眺めるだけ。でも人間社会の生ぐささは忘れられる。
最高に心地良い。
早朝に散歩するおばあさん、犬の散歩をするおじさん、海の様子を見るお父さん。
この人たちも感情社会を忘れているのだろうか。
