「若い読者のための世界史」  エルンスト・H・ゴンブリッチ




今回は世界史を身につけるためのアプローチについて書きすすめたいと思います。

高校生の時に「世界史」を勉強した人なら誰でもお分かりのように、「世界史」の教科書は、「日本史」のように時代が一直線に進む形式とはなっておらず、時代と地域が行ったり来たりする構成になっているためにとても分かりにくいです。また事実関係だけがみっちりと記載されているために味気なく感じた方も多いのではないでしょうか。

そんな世界史の扉を再び開けるときにお薦めなのが今回ご紹介する「若い読者のための世界史」です。

本書は、後年美術史家として名をはせるエルンスト・ゴンブリッチ氏が、1935年、25歳の時に書かれたものです。

子供に世界の歴史に関する物語を語るように書かれた本書はとても読みやすく、なにより、物語風に語られることで、ある時代のある地域を彩るイメージ感覚を養うことができることが特筆すべき点だと思います。

例えば、私の好きなアレクサンドロス大王(マケドニア)は教科書では、古代ギリシアが没落し、ローマ帝国が勃興する谷間に登場し、一大帝国を築くものの、彼の死後すぐに分裂、といった時代のあだ花のような不当な扱いを受けていますが、本書では、若き日にアリストテレスを家庭教師として育ち、19歳で王位につき、当時最強の国家であったペルシャ帝国を破り、さらにはエジプト、インドまで遠征し、一大帝国を築くまでの様子がビビッドに描かれています。残念ながらアレクサンドロス大王は33歳の若さで死去しますが、彼の東方遠征によってペルシアやインドにもたらされたヘレニズム文化(ギリシア的なもの)は、その後数百年のときを経て、中国へと伝えられ、皆さんご存じのように日本の法隆寺のエンタシス方式に影響を与えたと言われています。

さて、本書で世界史を捉える時代イメージが涵養できたら、次は、WH・マグニールの「世界史(上・下)」に進むとよいでしょう。大部ですが、世界史を学ぶ大学生にとってはグローバルな“定番”となっている世界史本です。

そして、全体感を養うことに成功したら、あとは興味に応じて各論を攻めるのがよいと思います。中でも、私のおススメは、中公新書の物語の歴史シリーズです。「物語 ドイツの歴史」、「物語 スイスの歴史」といった具合に、各国の歴史に通じた専門家が書き下ろしているので理解がグイグイと進みます。

鳥瞰的な視点で世界史のダイナミズムを味わいたい方には、「大国の興亡」(ポール・ケネディ)、「文明の衝突」(サミュエル・ハンチントン)、「21世紀の歴史」(ジャック・アタリ)などがよいでしょう。独自の観点からの洞察がお好みであれば「銃・病原菌・鉄」(ジャレド・ダイヤモンド)がおススメです。

最後に一点捕捉を。

ここに紹介した本の多くは世界史というよりも西洋史とでも呼ぶべき内容です。日本にいたっては19世紀になってようやく西洋によって“発見”され、世界史の表舞台に初登場したかのような印象です。アジアの世紀にふさわしい世界史観を持った書籍がベストセラーとなる日を望みます。

「To Sell is Human」 Daniel Pink


dolphinのBookLOG 目からウロコが落ちました。


私が最も尊敬するビジネス書作家の一人ダニエル・ピンクの最新刊です。


ダニエル・ピンク氏は、心理学や社会科学、脳科学などの最新の研究成果を駆使してビジネス分野を学際的に分析し、目からウロコの提言を世界中のビジネス・パーソンに向けて発信し続けている方です。彼の著作「A Whole New Mind」、「Drive」は世界的なベストセラーとなっています。

そんなダニエル・ピンク氏が今回のテーマに選んだのは「営業」です。

著者は、冒頭で、いまやあらゆる人は営業をしている(Were all in sales now)、と述べています。

インターネット等のテクノロジーの進化により営業職は絶滅する、というようなことが言われていましたが、大方の予想に反して、先進国において統計上“営業職”に分類されている人たちは相変わらず沢山いるそうです。例えば、アメリカでは9人に1人、EUでは全体の13%、オーストラリアでは全職種の10%、日本では8人に1人といった比率で“営業職”が存在しています。

そして、注目すべきは、この“営業職”に加えて、いまや仕事をするかなりの多くの人が「“営業職”ではない営業」(Non-Sales Selling)に携わっている、とダニエル・ピンク氏は指摘します。

つまり、彼は、現代のビジネス環境においては、“他人の心を動かす(Moving others)”ことに携わっている人は営業をしている人である、と営業の意味を再定義する必要があることを提案しているのです。


Moving Othersという定義において)営業の時代になっていることを、ダニエル・ピンクはEntrepreneurshipElasticityEd-Medの3つのキーワードを使って説明しています。

インターネット時代に生まれたアントレプレナーの世界は営業そのものである、という一点目はさておき、二点目はユニークです。そこそこの規模の企業においても部門間の壁がなくなって全員が営業マンという企業が出てきているようです。例えばAtlassianというERPEnterprise Software)の会社(年間売上100億規模)は一人のセールスマンも抱えていないといいます(その秘密は本書をご覧ください)。三点目のEd-Medは、アメリカにおいて過去10年間に最も成長した産業セクターである教育(Education)とヘルスケア(Medical)はその本質が営業(Moving Others)であるという意味です。例えば、いい教育は生徒が持つ時間(営業の場合はお金)というリソースを先生が教えるテーマと交換している、という意味でMoving Othersというわけです。

また情報の非対称性に基づいた売り手優位の環境がインターネットの登場により崩れ、買い手優位の世界が立ちあがってきているというビジネス環境においては、調子よくまくし立てて、商品やサービスを押し売る、という従来の営業方法は通用しなくなりつつあると指摘しています。

こうして手短に要約すると何やらトリッキーな説明に聞こえるかもしれませんが、実際に読めば、Moving Othersの技術が現代のビジネス環境においてとてつもなく重要になっている、ということは十分納得できると思います。



多くの人は、外交的な人が営業に向いている、と考えているかもしれませんが、実際に実証してみると、一番営業ができる人は、外交的な人でも内向的な人でもなく、その間の普通の人であることが分かっています。

クライアントとの打ち合わせを自分がどれだけ賢いかをアピールする場だと勘違いしている人がいますが、優れた営業(Moving Others)マンは、相手の課題をListenすることを基本戦略としています。


本書には、その他にも、カメレオンの術、ポジティブとネガティブの黄金比率は2.9013、正しい問題の見つけ方、質問する力、ピクサー・ピッチ(エレベータ・ピッチに代わるもの)、Yes and法、一瞬で相手の心をつかむメッセージの法則、など最新の研究成果に基づいた明日からでも使えるアイディアやテクニックが満載されています。



そして、これらのテクニックはすべておばあちゃんが膝をうつような説得力と明快さをもって述べられており、私の経験に照らし合わせても、これは皆さんに知ってもらいたいと思うものばかりです。

「海賊とよばれた男(上・下)」  百田尚樹 講談社


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「もしも国岡商店がつぶれるようなことがあれば-」

鐡造は言った。

「ぼくは店員たちとともに乞食をする」


国岡商店とは出光商店、のちの出光興産、国岡鐡造とは、丁稚奉公から仕事を始め、石油業界に君臨する出光興産を一代で築き上げた不世出の経営者、出光佐三(いでみつ・さぞう)氏のことです。


「永遠のゼロ」が大ベストセラーとなり、一躍脚光を浴びている小説家百田尚樹氏の最新作です。ほぼノンフィクションの自伝的小説といっていいでしょう。「歴史経済小説の最高傑作」(西川義文・元三井住友銀行頭取、元日本郵政社長)、「「宮本武蔵」「竜馬がゆく」・・・「歴史小説の新たな“古典”」(末國善己・文芸評論家)」など各界の著名人からも絶賛の声が寄せられています。


出光興産と言えば、かつてはサントリー、竹中工務店などと並んで株式を上場していない大企業として有名でした。(2006年上場)非上場(つまりEPSや株価に振り回されない経営)、そして、馘首(クビ)なし、タイムカードなし、定年なし、出勤簿なしという、絶対的「人間尊重」の経営理念の元になっている創業者出光佐三氏の波乱万丈の人生が壮大なスケールで描かれています。


出光氏のもう一つの特徴が、日本の発展と国民の生活を強く思う気持ちです。

この思いの発露が、本書のクライマックスを構成する「日章丸事件」です。詳細は本書に譲りますが、この歴史的大偉業を小説の題材として発掘し、日本全体が自信を失っているこのタイミングで、小再びスポットライトを当てることに成功した、百田氏の時代センスは素晴らしいと思います。


日本の復興のためにひたすら己が信じた道を突き進む出光氏の周りは敵だらけです。戦前、戦中、戦後と続いた石油統制に対する国家との闘いや、国内石油業界との闘い、そしてセブンシスターズというあまりにも巨大で強大な敵との闘い。



そして、そうした闘いと見事なコントラストをなすのが出光氏と社員との家族同然の固いきずなや出光氏を支援する様々な人たちです。


あの安部総理も愛読しているとのことなので、皆さんも是非。読めば熱い仕事がしたくなります。

「水滸伝(一~十九)」   北方謙三 集英社文庫


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「人には、志というものがあると知ったのだ。それは、体を流れる血ではなく、心を流れる血だとな」

「俺は、まだ立っている。男は、決して倒れたりはしないのだ」

「女ひとり救えなくて、なんの志か。なんの夢か」


ずっと避けていた本です。ハマるのが怖かったからです。

全十九巻の大部で、しかも、北方氏の大水滸シリーズは、その後も「楊令伝」(十五巻)、「岳飛伝」(現在、三巻まで発売中)と果てしなく続きます。こんなのに掴まったら他の本がまったく読めなくなってしまします。


でも、昨年の秋ごろ、なんとなく最初の一冊を手にとってしまいました。


暴走しないように、一回に買うのは一巻ずつと心に固く誓って、それでも自制心が抑えきれず、あっという間に読了です。



はっきり言って、おもしろすぎ。


実際の「水滸伝」は、明代の中国で書かれた小説で、宋の時代に起こった反乱を題材にした様々な講談を集大成して創作されたもので、四大奇書の一つと言われています。


北方謙三氏の「水滸伝」は、基本的には、実際の「水滸伝」の登場人物やテーマなどを題材にしながらも、ほとんど全て彼の頭の中で再構築しなおした、まったく別のエンターテイメント小説となっています。


人は、いかに生き、そして死ぬべきか。

「水滸伝」は十九巻全部がこのたった一つのテーマで貫かれています。(ちなみに、北方謙三という人は、常にそうです)


宋を倒すために、替天行道を旗印に、梁山泊に集う百八人の漢たち。

これだけ好漢がいれば、あなたの心を捉えて離さない登場人物が必ず見つかります。北方氏は、キューバのクーデター(革命家フィデル・カストロやチェ・ゲバラなど)を頭に置いて、水滸伝を書いたそうです。明治維新も薩長によるクーデターですが、革命とは志が必要なもののようです。


久しぶりに長編小説を読みましたが、やはり超長編の終盤は、それまでの物語の積み重ね量が尋常ではないので、自分の中でも異様に興奮しました。


かなりの時間的な投資が必要ですが、ちまちまと小説を二十冊読むなら、この大作にチャレンジして、たるんだ精神に一本太い柱を突き刺してみてはいかがでしょうか。

「金持ち脳」  苫米地英人 徳間書店


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金持ちとは、自分が必要なものを買うために必要なお金にいつも困らない人、である、と苫米地氏は定義します。別の言い方をすれば、買いたいものがない人は、10万円しか持っていなくても、金持ちということです。


つまり、金持ちを資産の有無で定義することは本来的には不可能で、金持ちであるかどうかは、極めて主観的なものである、というわけです。


広告代理店をはじめとしたメディアに洗脳されて、お金持ちにならなければ、という強迫観念にとらわれている人にとっては、脱洗脳本とも言えますが、テレビやインターネット、雑誌や街歩き、を絶たなければ、この境地には辿りつけそうにありません。


そんな中、「やりたい仕事をすれば、金持ちになれる」、という提案は納得です。


「やりたくない仕事をしている人は、最も貧乏脳になる危険がある。というより、すでに貧乏脳であり、このままずっと貧乏脳のまま生きていく可能性がきわめて高い。これは、収入が月20万円だろうと、月1000万円だろうと関係ない。ここでも収入の多寡は大した問題ではなく、重要なのは、自分がその仕事を好きかどうかなのである。なぜかといえば、これも非常に単純な話だ。やりたくない仕事をしている人は、仕事の外に満足を求めようとするため、どうしても支出が多くなりがちだからである。」


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・国家予算には一般会計と特別会計がある。問題の消費税は一般会計にある。一般会計で一番多くを占めるのは公務員の給与である。つまり、増税分は、役人の給料確保と理解してもいいだろう。

・「3S政策」というアメリカ政府が行った愚民政策がある。スポーツ(Sports),セックス(Sex)、スクリーン(Screen・映画・テレビ)に国民を熱狂させる政策で、3つの頭文字をとって「3S政策」という。当時国民が抱いていた生活上の不安や政治への不信をハリウッドを育て、プロ野球、アメリカンフットボールを育て、スクリーンを通してそれらに向けさせ、うまく熱狂させていったのである。

・「金儲けの神様」といわれ、先ごろ亡くなったきゅう永漢氏は、生前、いちばんの金儲けの方法は、天職を持つことである、と話していたという。まさに「好きなこと」を仕事にすることが、何より確実な金持ちへの近道であるということだ。

「外資系の流儀」  佐藤智恵 新潮新書


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著者の佐藤氏は、NHKのディレクターを経て、2001年米コロンビア大学でMBAを取得した後、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)、外資系テレビ局等に勤務した後、独立されたお方です。


「「心技体」がそろっているスーパー人間でないと、グローバル企業のトップはつとまらないということが分かる。「日本人は、真面目に実績をあげるのは得意なのですが、社内政治や自己アピールでどうしても負ける。ずっと「いい人」として使われがちなんです」」


BCGは2年で卒業し、外資系テレビ局で8年、の“外資系”経験なので、本格的な外資系論ではありませんが、外資系特有の“カルチャー”や会社の“雰囲気”については、取材を通じてよく掴んでいるのではないかと思います。


海外勤務に憧れを抱く若者であれば、むしろグローバル化している日本企業に就職した方が、そのチャンスは大きい、ということなどの指摘は、外資系企業に勤務した経験がない人ではなかなか気づきにくいポイントです。


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・「2010年外資系企業動向調査」によると、日本における外資系企業数は、全産業で3000社。親会社の国籍別では、アメリカが最も多く約900社(30%)、次いでドイツ、中国(香港含む)、オランダ、フランスと続く。

・従業員数で見てみると、外資系企業の常時従業者数はおよそ51万人(正社員37万5000人)。総務省統計局の「労働力調査」によれば、日本国内の雇用者数は、5140万人(正社員3334万人)だから、日本で外資系企業で働いている人は、従業員数全体の1%しかいないことになる。

・「外資系企業総覧2011年度版」(東洋経済新報社)によれば、会社別の売上高、従業員数ランキングで、圧倒的にトップなのは日産自動車(約8兆7700億円・約2万8000人)。「日産」が「外資系」なのは皮肉だが、経済産業省の定義で外資系企業の売上高ランキングをつくると、上位は外資に買われた日本企業がランクインする。

・これを外資比率100%の日本法人に限定すると、売上高トップはエクソンモービル(約1兆5700億円)、二位が日本IBM(約9400億円)、三位が日本サムスン(約6000億円)、四位意向は、シェルケミカルズジャパン、インテル、日本マイクロソフト、ノバルティスファーマ、ボッシュ、グラクソ・スミスクライン、ジョンソン・エンド・ジョンソンと続く。

・従業員数ランキングでは、上位はジブラルタ生命保険(約8600人)などの生命保険会社が多くを占める。その他、ボッシュ(約5900人)、ファイザー(約5900人)、日本ヒューレット・パッカード(約5400人)、アクセンチュア(約4300人)などがランクインしている。近年成長めざましい日本マイクロソフトの従業員数は約2000人だ。

・受付からCEOになったヒューレット・パッカードの元CEO、カーリー・フィオリーナの話は有名だが、グロバール企業の女性エグゼクティブの中には、キャリアのスタートは秘書、派遣という人が結構いる。

・「韓国の人によれば、外国語の能力というのは周りの人に「示しやすい」能力なんだそうです。能力があるかないかがすぐ分かりますよね。私が勤めていた会社では、朝から日本語の教師が来て、管理職にマンツーマンで教えていましたね」

・外国人は、ヒマに見られることを極端に恐れる。経営コンサルティング業界では、プロジェクトを割り振ってもらえない人のことを「ビーチ」と呼ぶ。海岸で寝ているヒマな人をイメージした言葉だ。コンサルタントは同僚から「ビーチ」に見られないように、スケジュール表に無理矢理にでも多くの予定を入れる。アメリカ人にミーティングをリクエストすると、ヒマな人に限って「Crazy Busy(めちゃくちゃ忙しい)」と返信してくる。スケジュールはガラあきのはずなのに、「二週間後まで時間がとれない」という。ヒマな芸能人が忙しがるのに似ている。

グローバル企業のトップの特徴

・恐ろしく弁が立つ(コミュニケーションの技)

・社内政治に長けている(コミュニケーションの技)

・弱みを絶対見せず、プレッシャーに強い(精神力)

・異常に長時間働く(体力)

・十分お金持ちなのに戦うことをやめない(体力・精神力)

・外資系企業の日本支社から海外本社への転勤は、実は至難の業なのである。多くの外資系企業の日本法人の採用は、日本企業でいう地方支店の地方採用と同じ。ずっと地方で働くことを前提として採用しえいるのである。本社に転勤させて育てようなんていう気はさらさらない。海外本社で働きたかったら、自分で求人を見つけて面接に行って、本社に「転職」するしかないのだ。

「頼れない国でどう生きようか」  加藤嘉一・古市憲寿 PHP新書


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中国でもっとも有名な日本人加藤氏と「絶望の国の幸福な若者たち」がベストセラーとなった古市氏による対談本です。


加藤:僕は、自動詞が大嫌いなんです、他動詞でこの世を駆け抜ける人間でありたい。汗が出る、じゃない。汗を出す。決まる、じゃなくて、決める。他力本願ではなく、クリティカルに社会を見ながら能動的に行きたいんですよ、これ、僕の基本的な欲望です。

古市:僕は汗はあまり流したくない・・・(笑)

加藤:汗を流さない。それも立派な他動詞。いいです。構わない(笑)。

ホットな加藤氏とクールな古市氏のコントラストが面白い。


表現方法は対照的なお二人ですが、実は、二人とも想像を絶する努力家であるという一点でぴったりと一致しています。(ただしクールな古市氏は、それをあまり表に出したがらないという美学の持ち主のようです。。。)


「2003年のころは、まだまだいい大学に入って、しっかり就職してっていうのを絶対としていました。ところが、今はもう学歴じゃない、学歴だけあっても意味がないって言っている。欲しいのは、技能だって。学歴社会から技能社会に変わったんです、たった8年ほどでね。」

日本は、好むと好まざるに関わらず、次第に、いわゆるグローバリゼーションの波にのまれていきます。一足先に、自立して考え、行動している二人の姿が、後に続く若者のいいロールモデルになることを期待します。


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・そもそも中国はフリーエージェント社会だから、組織に対する帰属意識を持っている人が少ない。

・やっぱり日本には、大きな国内市場がある。日本の人口は世界で第10位。イギリスやイタリアの二倍もの人口を抱えています。格差が開きつつあるとはいえ、まだ多くの人が中流。アジアの基準でいえば富裕層です。「これからはアジアの富裕層を狙え」なんて騒いでいる人がいます。新興国における富裕層の定義は、だいたい世帯年間可処分所得が35000ドルを超える層。年収300万円弱ですね。そういった「富裕層」は日本には約9000万人いますが、日本をのぞくアジア全体ではわずか6000万人しかいない。今の日本はマーケットとして非常に魅力的なことがわかると思います。

・今の東京は本当に暮らしやすい街だと思います。何も考えなくても楽しめる。油断しっぱなしでも生きていける。お金をかけなくても、友達がいればそこそこ楽しい。ただ、それは期間限定の話ですよね。東京に限らず、日本の30年後を考えると、結構絶望的です。納税者である現役人口は減っていくのに、高齢者は増えていくから社会保障費がどんどん膨らんでいく。今の日本の社会保障制度は高度成長期にベースが作られました。当時は今と違って若者がとても多かった時代。つまり今の制度は、若者に頼りすぎの仕組みなんです。こんな仕組みが持続可能なはずはない。だけど、すぐに仕組みを変えられるほど、この国に小回りは利かない。そうこうしている間に、企業はどんどん日本を離れていく。これからは日本も中国のように、拝金主義と相互不信の跋扈する社会になる可能性は大いにあります。そして階級というのも、ぐっと前景化してくるでしょうね。じわじわとそうなっていくと思います。

・アメリカの政治学者イアン・ブレマーのいう「国家資本主義」が台頭してくる可能性もあります。まさに中国がそうですが、政府の管理下にある企業が世界経済の中で活躍している。こうした国家主導の資本主義という形で政治の重要性が一時的には認識されるのかもしれません。

・経済的に恵まれた家の子供たちは国内に留まるのではなく、中国から出ていく、って現象も起きています。(中略)統計によれば、資産を1000万元以上持っている人の6割以上が、すでに移民したか、移民を考えているとのことです。彼ら・彼女らが移民するのは、国内がカオス化するのを恐れているからです。

「世界では、日本は「こんな」ふうに言われていますよ!」  菊池健彦 大和書房


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7年間のひきこもりの間、英語学習をひたすら続け、海外経験ゼロにも関わらず、現在TOEICで34回990点を継続更新中のイングリッシュ・モンスターこと菊池健彦氏による本です。


菊池氏は、英語の勉強にひたすら没頭していたひきこもり時代に、タイム、エコノミストなどに、疑問を感じた記事について投書で噛みつきまくったという孤独な闘いの歴史を持っています。


本書は、そんな菊池氏が、英文雑誌相手にひたすら一人ツッコミをしてきた過程で蓄積された見解が注ぎ込まれています。


私は、歪みのある人が苦手なので、英語をしゃべるときは右翼、日本語をしゃべるときは左翼、という菊池氏のスタンスが理解できませんし、英語が学びたければ素直に海外に行けばいいと思うので、ひきこもって英語の勉強を続け、海外に行かずにTOEIC満点という逸話にも違和感を感じてしまいます。


ただし、このくらいやらないと(あるいは、このくらいやっても)英語はモノにならない、ということを知る上では貴重な人物ではないかと思います。


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・実は、ボクが英米メディアによる日本関連記事のなかでいつも気になる3つのキーワードがある。自分の部屋にひきこもって1人で外国の雑誌を読んでいた当時からずっと気になっている言葉であり、日本を批判的に紹介する文脈で頻繁に出てくる言葉でもある。それは、homogeneityinsularityconformityだ(形容詞はそれぞれhomogeniousinsularconformist)。

・「ONE CHILD」(邦題:シーラという子)。アメリカ社会の一番底辺にいる女の子の話。

・34回990点を継続更新中。そんなボクを、人はイングリッシュ・モンスターと呼ぶ。

・ザイムショーやガイムショー、そしてボーエーショーのお代官様たちは、自分たちが日本政府という破産した団体の職員だということを理解できないみたいだ。

「君は、世界を迎え撃つ準備ができているか」  田村耕太郎 中経出版


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世界を知る男、田村耕太郎氏が、ベストセラー、君ワク(「君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?」に続いて発表したのが本書、「君は、世界を迎え撃つ準備ができているか」です。


「私たちの人生はより長くなり、より自立して、自分で責任を持って決断して行動を起こしていかざるを得ないものになると思う。これは特に国、企業、地域社会というムラに守られてきた日本人にはキツい。しかし、裏を返せば個々人がムラから出て個々人が自由になれる。もちろん、自由の代償は大きく、想像以上に厳しい状況をつくりだすだろう。ただ、もうムラが力を失っていく以上、ムラに守ってもらえるような後戻りはできないと思う。」


「これからの先が見えない時代においては、「準備」がいまだかつてないほど人々の運命を変えていくだろう。」


そして日本人は、その「準備」がとても苦手であると田村氏は喝破している。


なぜか。


その理由は、準備の鉄則が、最悪を想定することから始まるからです。そして、日本人は、最悪を想定することイコール、ネガティブ思考と受け取りがちで、最悪の状況を言葉として口に出すことも言霊信仰として忌み嫌われるケースが多々あります。

しかし、田村氏が主張しているように、最悪を想定することこそがポジティブ思考の原点である、ということに私も同意します。


英語に、Hope for the best, but expect the worstという表現があります。最悪を想定しながら、最善を求めよ、というような意味です。現実を直視しない楽観主義でも、悲嘆に暮れる悲観主義でもなく、現実を見据えつつ、しかるべき準備を行う、これこそが大人の態度というものでしょう。


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・最悪の想定は悲観主義とは違う。まず最悪を想定するときに、悲観とか楽観といった感情も排除する。次にあらゆる準備をするとことが違う。準備した後に楽観的になって行動を起こすところがさらに全然違う。この本では、最悪の事態を想定しながら準備することを何度も強調していきたい。

・太平洋戦争の「戦死者」約230万人のほぼ半分が餓死だったということは意外と知られていない。太平洋戦争の失敗は甘い想定から来る、補給を無視した人海戦術にあった。つまり、ここでも日本人は最悪を想定することを怠っていたことがわかる。

・日本は最悪を想定すべき事情をこれだけたくさん持っている。

財政の破たん

人口の減少と高齢化

企業の空洞化

隣国との領土問題の悪化

日米同盟の変化

次なる大地震

円安反転と中東情勢悪化によるエネルギー価格上昇

・中国やインドの1人当たりの豊かさはそれほどでもなかった。啓蒙思想もルネッサンスの三大発明もそのネタ元は宋にあったとの見方が定着している中国だが、技術、文明で世界をリードしていたのに、中国の1人当たりGDPは14世紀にはヨーロッパに抜き去られている。明治維新が起こる前の19世紀の前半には、日本は1人当たり所得で中国を追い越していた。中国は20世紀に入るまでの過去1000年、ほとんど経済成長がなかったのだ。その中国とインドの経済力を欧州経済が抜き去る基盤になったのが、産業革命。産業革命が起こるまで、欧州でも経済成長はほぼなった。ローマ帝国やオランダ・ポルトガルの台頭はあっても、その間、ヨーロッパの個人所得は増えなかった。1000年から1800年までの西欧諸国の1人当たりGDP年平均成長率はわずか0.1%台だった。この本格的な上昇は産業革命が浸透した19世紀を過ぎるまで待たなければならなかった。とはいえ、その上昇率は1820年以降でようやく1%を超えた程度だった。以上をまとめると、紀元前から産業革命前まで世界はほとんど豊かになっていなかったということだ。これは驚きだ。逆に言えば、産業革命が与えたインパクトは世界経済史上最大のものだということだ。

・高齢化が進む日本では、東京の将来像が地方になる。未来は先に高齢化していく地方にあるのだ。そこから学ぶことも多い。

・これからはパソコンを使いこなすというより、「コンピューターで繋がった世界でいかに自己プレゼン能力を高めていくか?」がより重要になる。

・日本人として最も深刻なのは日本の財政破たんだ。国債が国内で消化されている限りは破たんしないとの反論が日本でよくされるが、ケネス・ロゴフ ハーバード大教授の「世界の財政破たん史」によれば、国債が国内消化されている場合でも破たんした国はある。

・ローマ、イタリアと中国のものが多いが、やはり他の地域より圧倒的に血を血で洗う戦争を繰り返してきたローマ、イタリアおよび中国の古典は、時代を超えて学ぶべきものが多い。戦争とは人間の極限状態である。その中で、生や死や幸せなどについて、深い洞察が繰り返されてきている。

「僕たちはガンダムのジムである」  常見陽平 ヴィレッジブックス


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「君は生き延びることができるのか?」

僕は意思を持ってこう答えたい。

「ああ、生き延びてやるさ。徹底的にな」と。

「これからはグローバルエリートの時代だ」

「すごい人になれ!」

ITが僕たちの仕事を奪っていく」

そんなプレッシャーが今日も僕たちを襲う。もちろん僕たちの上司だって生き残れるかどうか、不安に思っている。

「君は生き延びることができるか?」

本当はこんな問いを意識したくもないのだけれど、いつも心のどこかに引っかかっている。


本書は「機動戦士ガンダム」の量産型モビルスーツ・ジムをモデルにして、普通のサラリーマンのこれからの働き方について考える本です。


本書のメッセージは下記のパラグラフに集約されています。


「世の中はガンダムだけで動いているわけではない。世の中はジムで動いている。量産型で、そこそこ高性能なジムがいるからこそ、ガンダムは安心して戦えるわけである。ジムが世界を支えている。その実感がわかないだけだ。パワーアップしたジムがいる会社は、社会は、最強だ。」


「世の中はジムで動いている」を「世の中は事務で動いている」と解釈すればより分かりやすいかもしれません。具体的には、ジムタイプのサラリーマンは、、「まずは、期待されていること、できることで仕事をする。そこから始めるので十分ではないだろうか。期待されていること、できることというのは、まさにあなたにお金を払ってでもやってもらいたいと周りの人が思っていることなのである。」というあたりから始めるのが実践的ではないかと思います。


スーパースター(ガンダム)だけで、世の中は成り立っているわけではありません。逆に、ジムだからと言って、人生は終わったわけではありません。世の中は普通の人で動いているのですから、ジムのように、1本のビーム・スプレーガンと、1本のビーム・サーベルを持って、堂々と前に進みたいものです。


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・当時、フロム・エーの編集長だった道下裕史氏によるフリーターの定義は「既成概念を打ち破る新自由人種。敷かれたレールの上をそのまま走ることを拒否し、いつまでも夢を持ち続け、社会を遊泳する究極の仕事人だった」

・元々COMPANYというのは、ラテン語でパンを一緒に食べる人という意味であり、同じ釜の飯を食うことを表現したものなのだ。