勾留期限が過ぎた。


でも私の元には一切情報は入ってこなかった。


もちろん旦那から連絡はない。


どうなったんだろう・・・。


何日か経った頃、旦那の実家から連絡があった。


再逮捕されたと。


容疑は・・・被害者の髪の毛を切った・・・。


何罪なんだろう・・・。


正直、子供の遊びかと思うような容疑だった。


勿論、やってはいけないこと。


現実に刑事告訴されている。


容疑は何であれ、この事件で旦那の悪事が表ざたになった。


私はある意味、被害者に感謝した。


あのまま騙され続けていなくて良かった。


きっとどこかでバレたと思うがこれ以上長く騙されなくて良かった。


やっと接見禁止が溶けたと聞き、一目散で勾留先の警察に向かった。


片道2時間。


会えるのは20分。


移動中に何を喋ろうかシナリオを書いた。


上手く言葉に出来ないと思って、箇条書きのメモまで用意した。


何て言おう。


泣いてしまって話しにならないかもしれない。


それでも会いたかった。


何もなくてもドキドキする警察。


手続きを済ませ、面会室に入る。


テレビで見るような光景。


何という社会科見学だろう。


しばらくすると旦那が入ってきた。


アクリル板越しの愛する人。


どれだけの人がこんな経験をしたことがあるのだろうか。


旦那は何故かお茶目な表情をして入ってきた。


そんな旦那を見てつい微笑んでしまった。


逮捕されてるのに馬鹿なヤツ・・・。


顔を見たら泣いて沈黙してしまうと思っていた。


が、意外にも言葉は溢れ出て来た。


メモなど必要なかった。


私が喋りだすにつれ旦那が泣いた。


何を喋ったのかあまり覚えていないが、諭していたように思う。


騙すのは人としてやってはいけない。


他人をむやみに傷つけてはいけない。


悪さは巡り巡って自分や自分の愛する人に返ってくる。


母親にでもなった感覚だった。


だって当たり前のことだから。


後になって分かることだけど、人は諭されても変わらない。


自分自身以外、変えられないのだ。


この時の私にはそれが分からなかった。


きっと旦那は変わってくれると信じていた。


あの涙に偽りは無いと・・・。