俳優イ・ジュンギは、2008年を代表するドラマの一つ、『一枝梅』に主演し、そのカリスマ性と存在感を大いに発揮。アイドル的な存在を脱し、俳優として飛躍を遂げた。

 CS放送のアジアドラマチックTV★So-netで放送中の『一枝梅』はいよいよ最終回を迎え、6月にはDVDも発売される。そんな『一枝梅』をイ・ジュンギが今、あらためてどう思っているのか、話を聞いた。


-『一枝梅』では、どんな演技、キャラクター作りをしたのでしょうか。


 「第一にはイルジメという英雄を描くためには、僕が庶民を代表して民衆を一つにするというカリスマになること、そして一方では多様な庶民的なヨンの姿を見せること。それによってヨンがイルジメになった時にどれだけ大きなことを見せられるかに重点を置きました。あまりにも近寄りがたい英雄ではなく、本当に自分たちの身近にいて、一緒に暮らすことで、民衆の痛みがすべて分かって感じて、重ね合わせることができるキャラクターになったら、と思いました。それで、重い英雄になるよりも、情が移っていくような…」


- ヨンの陽気でお調子ものの姿から、イルジメのシビアな姿まで同じ人とは思えないような演技でしたが大変だった点は。


 「コミカルなものは思いっきりコミカルに、ヒーローとしての姿では、カリスマがあって、素敵にカッコよく。ちょっと重みあるシーンでは特に努力が必要でしたし、他の作品よりは悩みも苦労も多かったです。その分、見せられるところも多かったと思います。おかげで、撮影は身体的にも精神的にも大変でしたが、終わった時、初めて俳優として胸がいっぱい、という思いに駆られました」




- ヨンが記憶を取り戻した時、お姉さんが死んだ時、セドルが死んだ時などはあまりにも感情移入してしまって、ヨン以上に泣いてしまうほど、迫力の演技でした。


 「ありがとうございます(笑)。そういうシーンの撮影日が近付いてくると、その人との関係、本当にそんなことがあったら…と考えて、いろいろな表現を考えて見ます。5、6パターンの演技を考えて、最終的に監督さんたちが選んでくれました。そう言われると、いろいろ悩んで、考えた成果が出たようでうれしいです」


- 家族を殺されたこと対する復讐(ふくしゅう), 記憶喪失など前作ドラマ 『犬とオオカミの時間』と似ているモチーフということは気にならなかったですか。


 「結果としてそうなりましたが、それは始まってからわかったんです。シナリオを見れば初めからわかってたはずなんですが、自分としては作品全般的には違った作品だったので、そのようには全然考えなかったんですね。背景とかトラウマがあるとか似ている点があるということより、キャラクターに惹かれたというのが決め手だったので。確かに、似ている設定でないことが俳優としての多様性を見せるという面でも理想でしょうが、それよりもこのキャラクターの魅力が勝ったということです」


- 義理のお父さん役のイ・ムンシクさんとのとてもいいシーンが多く心に残っています。過去の映画での共演もあって息が合っていたのでしょうか。


 「親しくさせていただいています。演技をしていてとても楽でした。僕には挑戦しなければならない部分が多かったので、一人でやり遂げるのは難しかったと思います。いろいろとサポートしてくださって、助言を言ってくださって、僕が自信ありげに演技するのを、能動的に柔軟に受けてくださいました。やっぱり、ただの先輩ではないですね。先輩が、僕の演技を受けて、僕に表現をしてくださらなければ、自分があれほどの演技ができただろうか、と今でもすごく感謝しています」




東京=野崎友子通信員


イ・ジュンギ「譲れないのは脚本の出来。露出はいつか…」



-ドラマでは、衣装も可愛かったのですが、ご自身の意見は入っているのですか。

 「基本的には衣装チームにおまかせしましたが、ヨンの時とイルジメの時の雰囲気は大きく変えたい、たとえばヨンの時にはブルー系のわんぱくな感じの色合いで、そしてイルジメが最初に登場する時と、完璧なイルジメになった時とは姿を変えたい、と希望しました。そういった衣装での変化は、演技を極大化する助けにもなりますから」


- いろいろな扮装もありましたが、気にいったものはありましたか。


 「扮装はどれも楽しかったですが、牛を殺す白丁役が面白かったです。ほかの扮装もそうですが、血を付けた姿や変わった姿は写真もたくさん撮ってあります(笑)。面白かったし、普段やらない姿というのは思い出になりました」


- 露出シーンはほとんどなかったですが、お嫌いなのでしょうか。


 「その人物を描くのに必要がなければ、あえて脱ぎたくないです。特にイルジメでは、そういうシーンは逆効果な気がしました。監督は、“女性が喜ぶから”と脱がせたかったようですが、そういう作品ではないだろう、と言いました。また、特にお見せするような完璧な体でもないですし(笑)。今後、作品としてそういうシーンが必要な時があれば、いつかは(そのような姿が)見られるのではないでしょうか」




- イ・ジュンギさんの作品を選ぶ時に「これだけは譲れない」ものは何でしょうか。


 「脚本の完成度です。脚本については、おもしろいと思えなければ、修正をお願いします。自分が楽しめなければ、ドラマが最後までよくなるという保証ができません。そのことだけは僕をキャスティングする人はわかってないとだめですね(笑)。自分たちが楽しく、共感して演じられなければ、いくら編集でどうやったとしても、視聴者にわかってしまう。だから脚本だけは譲れないんです」


- オフには何をしていますか。最近ハマッていることはありますか。


 「このごろは、公演をたくさん見ています。演劇からコンサートまでいろいろ。演技以外にもさまざまな表現に刺激を受けています。演技の延長としていろいろ感じて、アイデアがわいて勉強になります」


 次回作のオファーが引きも切らない中、うわさされていた作品への出演を断るなど、選択に慎重を期しているのは、気にいった脚本に出会っていないからだろうか。しかし、多くの公演を見てインスパイアされた「何か」とともにファンに元気な姿を見せてくれる日は目前だ。


 イ・ジュンギは4月18日にソウルで大規模ファンイベント「エピソード2」を行う。コンサート形式で行われるイベントで、現在は歌・ダンスのレッスンに余念がないという。ドラマやスクリーンとは違った姿を見せたい、と意気込みと同時にワクワクした気持ちを隠さなかったイ・ジュンギの「エピソード2」が実に楽しみだ。


 同時に、新作を待ち焦がれる声も高まる一方だ。韓国人男性としての義務を果たす日も取りざたされているイ・ジュンギにとって、非常に意味深いものとなるだろう次回作も期待せずにはいられない。


東京=野崎友子通信員

朝鮮日報日本語版

次回作が気になるわ・・・。ジュンギ君は時代劇でも合うから何でもOKよね・・・。