『present 4』




「これ、どうしよう…」

クリスマスイブの夜

ブルーのリボンがかかった箱を抱きしめベッドに仰向けに倒れこんだわたしは、天井を見つめてため息をついた

「わたしのバカ」

クリスマスは彼に会えないってわかっていたのに

もしかしたら

そんな淡い期待を抱いて用意したプレゼントは、やっぱりどう考えても今夜は渡せそうになくて

「やっぱりあの日、ケーキと一緒に持って行けば良かった」

そんな独り言をこぼしながら体を起こすと

「何を…持って行くの?」

「えっ!?」

リビングでお友達と誕生日会をしているはずの弟が部屋の入り口で立ち尽くしていた

「い、いつからそこにいたの?」

「何度もノックしたんだけど、返事がないから心配になって」

「えっと、パーティは終わったの?」

「とっくにみんな帰ったよ。それって、もしかしてお兄ちゃんにあげるプレゼント?」

わたしが抱えている箱を見た弟の表情は、心なしかひきつっている

「うん、でも今夜は会えないから渡せないの」

「なんでもいいけど、これ以上僕の仕事を増やさないでよね」

「え?」

やれやれ、と言った風に首をすくめながら弟がわたしに差し出した紙袋には

「これって?」

ピンクのリボンがかかった、かなり重みがある箱が入っている

「ちゃんと渡したからね、おやすみなさい」

「待って、いったいなんなの?」

質問に答えることなく部屋から出て行った弟に戸惑いながら、恐る恐るリボンを解いて箱を開けると

「きれい…」

雪が舞う球体の中に、金色に光るツリーと雪だるまが並んでいるスノードームがついた『オルゴール』が入っていた

そして 

「あっ!」

赤と緑のクリスマスカラーに縁取られたメッセージカードには


『メリークリスマス』


見覚えのある筆跡でたった一言、そう記されていた




continue(次回に続きます)↓