『last christmas 6』
たしかに
体の芯まで冷え切っているわたしに抱きつかれた彼もきっとすごく寒かったよね
あれっ?
思いがけずクリスマスに彼に会えた嬉しさと余計な心配をさせてしまった申し訳なさとで感情が忙しくて冷静に事態を把握できてなかったけど
良く考えたら、この展開って
「泊まってもいいの?」
「今さら帰るなんて言うんじゃないだろうな」
眉間にしわを寄せてそう言った彼を見て、ようやく肩の力が抜け
「帰っちゃおうかなぁ」
冗談を言う余裕が出てきたわたしに、すかさず彼が反撃してきた
「なんなら、一緒に入るか?風呂」
「えっ!それは、ちょっと…」
さすがに恥ずかし過ぎて絶対に無理
動揺しているわたしをからかって満足したのか、彼はふっと優しい笑顔になった
「結婚してからの楽しみにとっとくよ」
「へっ?」
「いいから、早く風呂に入って来い」
自分で言って照れてしまったのか、赤くなって横を向いた彼のフェイスラインは一昨日見送った時よりもずっとシャープになっていて
「お疲れ様、おかえりなさい」
そう言って再び抱きついてしまったわたしの頭にコツンと何かが当たった感触がした
「やるよ、大したもんじゃねーけど」
それはクリスマスカラーのリボンがかけられた薄くて軽い箱で
「メリークリスマス」
「どうしよう…わたし、プレゼントは家に置いて来ちゃった」
だって、今夜は会えないって思ってたから
「べつにいいよ、そんなことより」
「なぁに?」
「頼むからさっさと風呂に入ってくれ」
continue(次回に続きます)↓