「ねぇ、お姉ちゃん大丈夫?」
帰宅してからずっと部屋で伏せっているわたしを心配して弟がドアのすき間から顔を出した
単純に昼間の暑さで体調を崩したのと、何だか良く分からない最近の彼の行動とすれ違いの日々に心が少し疲れてしまったのかもしれない
せっかく久しぶりに会う事が出来たのに逃げるように帰って来てしまったわたしを彼はどう思っただろう
「お母さんがご飯出来たって言ってるよ。」
「ありがとう、すぐに行くね。」
炎天下の中を走ったせいかまだ少し気分が悪かったけれど、弟に心配掛けたくなくて起き上がって部屋を出ると
「あのね、内緒って言われてたんだけど」
廊下で弟がわたしのTシャツの裾を掴んで話し始めた
「なあに?」
「僕、お兄ちゃんに頼まれてたの。しばらく忙しくて会えないからお姉ちゃんが寂しくないように相手してやってくれって」
「えっ?」
それでこの子は毎晩のようにわたしと遊びたがっていたの?
「それからもうひとつ…」
「な、なあに?」
「お姉ちゃんの誕生日にデートしたいから予定を入れさせないようにしろって言われたんだけど、どうしたらいいかわからなくって」
「!」
泣き顔になったわたしとは正反対に弟は悪戯っぽい笑みを浮かべてウインクした
「『朝9時に迎えに来るから姉貴をちゃんと起こしとけ』だってさ。自分で言えばいいのに、僕のこと頼り過ぎだよね」
ほんとに、ずるいよ
いつも肝心なことは言ってくれないくせに
気がつけばまた、ルールの良く分からないゲームの中で負けてしまいそうな気配が漂っていた
continue(次回に続きます)↓