『love game 6』
「見つかったんですか?飼ってくれる人」
あの日から数日間、子猫のことが気になってジムへ行く前に様子を見に行くのが日課のようになってしまい
さすがに動物に詳しい人に世話をしてもらっているだけあって、数日で見違えるように元気になり引き取り手も見つかったと聞いてほっとした
「良かったな、住むところが見つかって」
そっと抱き上げて頭を撫でると気持ち良さそうに目を閉じた子猫に思わず話しかけてしまう
「あの、これ少しだけどこいつの餌代にしてください。元はと言えば俺が最初に見つけたんだし」
用意してきた封筒をポケットから出して差し出すと店主の女性は驚いた顔をして
「そんなのいいのに。最初にあなたを見た時、怖そうな人だなぁって思って声を掛けるか悩んだんだけど…見かけによらず優しいのね」
見かけが怖い、のはその通りだが
「べつに優しくなんか…とにかくこれは受け取ってください」
「そこまで言うなら」
「いろいろ、ありがとうございました」
子猫に別れを告げて急いでジムに向かうと
「きゃっ!」
入り口の前で突然、彼女がぶつかって来て驚いた
「おいっ、大丈夫か?」
しりもちをついて倒れてしまった彼女の腕を引いて起こそうとすると、瞳にうっすら涙が浮かんでいるように見えて
「こんなところで何やってんだよ、ていうか怪我したんじゃないのか?」
久しぶりに触れる彼女の感触に、指先に焼け付くような熱さを感じた
彼女はまるで涙を零すまいとするように目を大きく見開いて首を横に振り
「ううん、大丈夫。近くまでお使いに来たからちょっと顔が見たくて寄っちゃったの」
「そうか。」
「ごめんね、もう行くね…練習頑張ってね」
「えっ?」
ちょっと待て、という間も無く炎天下の中を小走りで去って行く彼女の後ろ姿を
ただ呆然と見つめていた
continue(次回に続きます)↓