『love game 5』




「今日も暑くなりそう」



学校も夏休みになり、お母さんに頼まれて買い物に出掛けたわたしは強烈な日差しに目眩を覚えた


街路樹から降り注ぐ蝉の鳴き声がさらに体感温度を上げていき、歩いているだけでくらくらする


この暑さの中で彼は毎日ボクシングやアルバイトをしているのかと思うと胸がぎゅうっと締め付けられた


ちゃんと、ご飯は食べてるのかな


ぐっすり眠れているのかな


気がつけばわたしの足は買い物を頼まれたスーパーではなく、彼がいるはずのボクシングジムに向かっていた


ちょっとだけ


彼の元気そうな姿を見られたらそれだけでいいから


そう思いながらジムの中を覗いて見たのだけれど彼の姿は見当たらず


「あれっ、もしかして…」


「こ、こんにちは」


入口付近でうろうろしていたら見覚えのあるジムの練習生に声を掛けられた


「あいつならまだ来てないよ、っていうかまたあそこに寄ってんじゃねぇかな?」


「あそこって?」


「この先の交差点のところにあるペット美容室。昨日も見かけたんだよ、色っぽい店員さんだか店長さんだかと店の中で話し込んでるところ」


やっぱり!


この前のあれって見間違いじゃなかったんだ


そんなに何度もあのお店に行ってるの?


「あいつも隅に置けないよな、こんな可愛い彼女がいるのにさぁ」


にやにやと見つめられているのに気がついて慌ててその場から離れようとした時


「きゃっ…」


誰かにぶつかってしりもちをついてしまった


「おいっ、大丈夫か?」


この声は!?


「っていうか、こんなとこで何やってんだよ」


わたしの腕を取って起こしてくれたのは、会いたくて会いたくて仕方なかった彼だった





continue(次回に続きます)↓