※このお話にはオリキャラが登場しますのでご理解の上でお読みください




                      girl friend(1)




「せーんぱい、おはようございます。」



学校の門をくぐるとふわふわのポニーテールを揺らして駆け寄って来た下級生に抱きつかれた



「瑠美ちゃん、おはよう。今朝もテニス部の朝練だったの?」



「そーなんですよ。見てください、こーんなに日焼けしちゃって。」



夏の制服になって剥きだしになっている細い腕は確かにわたしと比べれば小麦色に光っている



「頑張ってて偉いなぁ。じゃあ、また放課後ね。」



彼女はこの春に外部からの受験で高等部に入学してきた1年生の瑠美ちゃんというテニスが得意な明るくて可愛い女の子で



なぜか委員会で一緒になったわたしにとっても懐いてくれている



全然悪い気はしないんだけど、日を追うごとにどんどんスキンシップが激しくなってきていてちょっと戸惑っている今日この頃



小学生まで海外で生活していたらしいからその影響かな



お昼休み



ボクシングの試合を間近に控え減量中の彼とお手製ダイエットメニューのランチを中庭で食べて一休みしていると



「前から言おうと思ってたんだけど…」



彼がちょっぴり神妙な顔で話しだした



「な、なあに?」



「俺が減量してるからっておまえまで食べる量減らすのやめろよ、体に悪いだろ。」



うっ、やっぱり気付いてた



「だって、つい。」



毎日過酷なトレーニングとバイトをしながら減量している彼を見ているとわたしも食事が喉を通らなくなる事が多くなってきていて



「いいな、俺を心配させないためだと思ってちゃんと食べろよ。それ以上痩せたら倒れちまうぞ。」



「う、うん。」



その時



「あっ、先輩みーっけ。」



木陰から瑠美ちゃんが顔を出した



「じゃあ、俺は戻るから。弁当美味かった、サンキュ。」



そう言って校舎に向かう彼がちらっと瑠美ちゃんを振り返った時の表情が怒っているように見えたのは気のせい…だよね



「ボクシング部のマネージャーってお弁当まで作るんですか?」



瑠美ちゃんがわたしが抱えているお揃いのお弁当箱を見つめて首を傾げている



「えっと、マネージャーとかそういうんじゃなくて…何て言うか個人的に?」



「もしかして、つきあってるんですか?」



どうしよう



2年遅れで高校に入ったわたし達からしたら今年の1年生は4つか5つ年下だよね



女の子どうしとは言え恋愛トークをするのはちょっぴり抵抗感がある



「まぁ、そんな感じかな。」



照れながらそう答えると



「ふーん。」



瑠美ちゃんはさっきの彼と同じ表情になった



あれれ、なんでだろ?





continue(次回に続きます)↓