ボク人形

マヒル ムラサキ

 

裁判所の 傍聴席で

ついつい うたたね

ふと気が付くと

ボクは証言台に立っていた

紙きれに

「良心に従って、真実を述べ、何事も隠さず、偽りを述べないことを誓います」

 

※ボクは人形

 人の形をした入れ物

 真綿で体あやつられ

 ここに立ってる

 意識は遠く お花畑

 ボクの唇は 知らないことを言う

 

 目を覚ませ

 音楽ならせ

 昔のモノクロ映画で鳴ってたみたいな

 あんな感じの音楽を

 

 

芝居小屋の 後ろの席で

ついつい うたたね

ふと気が付くと

ボクはひとり舞台に立っていた

あんちょこに

「コドクという概念と 水中に死す すべからく魂の やんごとなき平安を守るために」

 

(※repeat)

 

 

君の部屋の 窓辺のソファ

ついつい うたたね

ふと気が付くと

ボクは君の髪を撫でていた

耳元で

「鳥の目に映る 二色(ふたいろ)の毒 華奢(きゃしゃ)なビンの中で とけあい まじわり 永久(とわ)の愛をちかう」 

 

(※repeat)

 

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