【目を覚ます】


思うようにいかないリハビリ。

やってもやっても

びくともしない

右手の指と右手首。

結構うたれ強い私でも

あまりにもかわらない右手をみて

段々ときもちが

おちていきそうになっていた。


治ることがいいことなのではない。

この現実をうけいれよう。

動かないなら

動かない人生を

この先考えていけばいい。

色々思ってみるものの、

やっぱりその奥に

リハビリをしてる分

せめて少しでも良くなる兆しが

ほしいと願う気持ちがあった。


何よりも

孤独だった。


誰かと話すと

心細い自分の本音が

でてしまいそうだった。

そんなこと、人に言ったところだ

どうしようもないことだって

わかっていた。


そんな

ある日のことだった。


気持ちがおいこまれて

限界にきていた私は

ずっとお世話になっている

ヒーラーさんに電話で

遠隔ヒーリングをうけながら

思わず言ってしまったのだ。


「もう、

よくならないような気がするんです🥲」


その瞬間だった。

いつもは穏やかで優しい

ヒーラーのTさんが

強い口調でこう言った。


ずっと

あなたの手を

にぎっているんですよ。

心配しないでください❗️


その瞬間

私はハッとした。


それは、

Tさんの言葉じゃないのが

わかった。


ずっと

周りから取り残されて

孤独だと思っていた。


この手もどうなるんだろうと

どうやってこれから

生きていけばいいんだろうと

未来が不安だった。


ひとりぼっちだと思っていた私の手を


ずーっと握ってくれている

存在があったんだ。



私を見守って

共にいてくれた

存在があったんだ。


私はいつも思ってた。

今まで色々な苦しいことがあっても

必ず私の中に求め続けたら

応えをくれる存在があった。


いつしか私の中にある

いつも私をあきらめないでいてくれる

全てのもとと繋がっている

存在を信じていた。



それなのに、

自分の体が思うように

ならなくなったら

こんなにも簡単に

ひとりぼっちだの、

もう戻らないかも…だのと

思ってしまうのだ。

なんだ…

結局口だけじゃないか!

見えることにとらわれて

そこにのみこまれそうになっていた

自分が情けなかった。


Tさんの一喝は

私の心の目を

覚させてくれた。


その日から私は

自分の身体が欲することを

ただ

淡々とやることを決めた。


身体の声をきく


愛情をこめて

私のかたまって

動かなくなった右手と

向きあった。


そしてそれからは

孤独も寂しさも

一切感じることは

なくなった。