目を閉じて
目を閉じて目を閉じて、思い浮かべる。たとえば、ひとつの林檎。赤くて、艶があり、ヘタがほんの少し反っている。ぐるりと360度、回転させてみると、見る角度によって、形が変わる。どこからみても、少しいびつだ。アダムとイブが食べたのも、こんな林檎だったのだろうか。ウイリアム・テルが、矢で射止めたのも、こんな林檎だったのか。ニュートンが、木から落ちるのを見たのも、そうだったのか。同じ林檎は、ひとつとしてない。同じ雲も、同じ空も、同じ波も、同じ風も。なにが同じもの?人の卑しい心。嫉妬心。傲慢。卑屈。蔑み。軽蔑。それらは、なぜ、人の心に棲みつくのか。自信のなさ。それはどこからくるのか。生きることは、決断の連続。決断の根拠は、己のうちから生まれ出るもの。借りもので、決断を繰り返して生きた者は、己に自信が持てない。自信を持って生きている者に嫉妬する。ひとつの林檎を別の角度から、見ようとしないようになる。その者は、腐った林檎になる。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーこの文章は創作です。