前編のおさらい

善良なピロ婆さんは、寒さに凍える地蔵さまたちに売れ残りの傘などを差し入れました。
地蔵さまたちは大層喜んで、ピロ婆さんに金銀財宝を運んで恩返しをしました。
しかし、ピロ婆さんの隣に住むユニ婆さんが金のにほひを嗅ぎつけてしまったのです。




ユニ婆さん「匂うぞ・・・金のにほひが!邪魔するよ!」



ピロ婆さんは震え上がりました。
なんせユニ婆さんは「すべての物は俺のもの」という信条なのです。
あのジャ○アンよりもタチが悪いのです。

ユニ婆さん「どうしたんだい、この金銀財宝は!」

ピロ婆さん「こ、これは・・・おそらくだけど、地蔵さまが恩返しにきなすったんだと思う・・・。」



ピロ婆さんはことの顛末を話して聞かせました。
地蔵さまが寒そうだったので笠をかけてあげ、自分は身ひとつで帰ってきたことを。

ユニ婆さん「なんだって、あの地蔵さまたちそんな御利益があんのかい?」



ピロ婆さん「正月も迎えられそうにない私を哀れんでくださったんじゃないかな・・・。」

ユニ婆さん「こんな金銀財宝、わしもほすぃ!」

ピロ婆さん「聞いてる?」

ユニ婆さんの耳にはもう何も聞こえません。
ただ「地蔵にお供えをすると金銀財宝がもらえる」という情報だけで、
浮かれ気分でロッケンロールでした。



ユニ婆さん「ほんじゃあ、地蔵にお供えすっからこの金銀財宝もらってくね。」

ピロ婆さん「えっ!」

ユニ婆さん「元手が要りまんがな。イーヒヒヒヒ。」

ピロ婆さん「そんなっ、それじゃあ正月が迎えられない!」


ユニ婆さん「しょうがないねえ、じゃあ半分でいいよ。」

ピロ婆さん「なぜ上から・・・。」

ユニ婆さんはピロ婆さんがもらった金銀財宝の半分をごっそり持って行きました。
そして、金買取センターに持ち込んで現金に換えたのです。

ユニ婆さん「100万円のものをお供えすれば倍返しで200万円・・・そしてそれをまたお供えして・・・。」

ユニ婆さんの夢は膨らみます。



そして翌日・・・。

ユニ婆さん「ばたふりゃーい、きょおは~いままーでの~どんなユニよーり美しC~音譜

足取り軽やかにユニ婆さんがやって来ました。

ユニ婆さん「お返しが来ると思うと、こんな山奥に来るのだって平気だねえ。まだまだあたしゃイケるよ!」



ユニ婆さん「これがピロ婆さんがつけてあげた笠かい。こりゃあったかそうだ。」

ユニ婆さんはお供えをするそぶりもありません。
なぜなら、ユニ婆さんは換金した現金を使って、カジノで豪遊してしまったのでした。

ユニ婆さんのお財布はすでにすっからかんでした。

ユニ婆さん「というわけだから、ちゃっちゃと恩返ししとくれよ。可哀想な婆さんなんだからね!」



ユニ婆さん「しっかし寒いとこだねえ。自慢のふわふわヘアーが凍ってしまうよ。」

ユニ婆さんの自慢は、そのミステリアスな色合いのヘアカラーを施したパーマヘアでした。

ユニ婆さん「そもそも石なんて寒さ感じるわけないんだ、笠はアタシがもらってくよ!」



マホ地蔵「(ヒイー、なんてひどい婆さんだ!)」



ユニ婆さん「サイズもピッタリラブラブまるであつらえたようだわ。」

マホ地蔵さんはすっかり身包みを剥がされました。



ユニ婆さん「えびふりゃー、きょおはータルタールで~そしてあしたはウスターで~音譜

ユニ婆さんはお供えをするどころか、地蔵さまたちの笠をすべて剥いで持って行きました。


マホ地蔵「ピロボ地蔵、無事かっ!」

ピロボ地蔵「ぶ、無事ロボー。さ、さぶいロボー。」

マホ地蔵「私ばかりかピロボ地蔵の笠まで持っていくとは・・・一体何にするつもりなんだろう!」

ピロボ地蔵「許せないロボー。仕返しするロボー!」

マホ地蔵「あたりきよ!それもとっておきの100倍返しでな!」

ピロボ地蔵「ひゅー!」



ユニ婆さんはあのあと町に行き、笠を売り払って戻ってきました。

ユニ婆さん「小銭にしかならなかったわ!はやくお返しに来てくれないとやんなっちゃう!」



ちなみにユニ婆さんの背後に居る犬は、花咲かじいさんから奪ってきたポチです。

ユニ婆さん「この犬もいっそもココホレって鳴かないし、タダ飯ばっかり食いやがって。」



ユニ婆さん「はやく来て・・・私の王子様・・・むにゃむにゃ・・・。」

ユニ婆さんは待ちくたびれて眠ってしまいました。



ユニ婆さん「・・・いただけません・・・こんな大金・・・ウフフ・・・。」

入れ歯が合っていないのか、歯軋りの音が強烈です。


と・・・そこに地蔵さまたちがやってきました。
マホ地蔵さんは手にバールのようなものを持っています。



マホ地蔵「買い置きのトイレットペーパーが無くなったら、さぞ困るだろうね・・・イヒヒヒヒ・・・。」



ピロボ地蔵「ピロボパワーアーム起動!こんな茶箪笥はポーイだロボ!」



眠っているユニ婆さんの横で、部屋をめっちゃくちゃにする地蔵さまたち。



マホ地蔵「これに懲りて、ピロ婆さんたちにいじわるをしないようになりなさいよ!」

ピロボ地蔵「んだー!また悪さしたら来るロボよー!」



ユニ婆さん「ウーン・・・むにゃむにゃ。」

謎の赤い生き物「オイ オキルノダ」

ユニ婆さん「ん?」



ユニ婆さん「ハッ、こ、これは一体?」

謎の赤い生き物「キサマ ハ コレカラ ワレワレ ノ テシタ トシテ ハタラクノダ」

ユニ婆さん「えっ!?はっ!?」

謎のクモ男「ヒーハー!ウェルカム ツー アンメーーーリカーーー!」

ユニ婆さん「ひいい!」

地蔵さまたちの神通力で、ガラクタたちに命が宿ったのです。



ユニ婆さん「せ、洗濯物が真っ黒になってる!」

謎の赤い生き物「アラッテモ マタ ヨゴシテヤル エイエン ニ センタク シツヅケルノダ」

ユニ婆さん「いやあっ!」



謎の石「タスケテ・・・。」

ユニ婆さん「り、リアルに怖いぃいい!」



ユニ婆さん「これはまさか・・・地蔵の仕業かい!?」



謎の石「それではここで一曲歌って頂きましょう、天城越え!」

ユニ婆さん「急に流暢~!」

謎のクモ男「カクシーキレナイーHOOOO!」

ユニ婆さん「お前が歌うんかい!」



居てもたっても居られず、ついにユニ婆さんは家を飛び出しました。

ユニ婆さん「だ、だれか~!」


駆け込んだのはピロ婆さんの家でした。

ユニ婆さん「ピ、ピロ婆さん、助けて!」



ピロ婆さん「ドシタノっ!」

ピロ婆さんはお地蔵さんにもらった鮮魚を選別している所でした。



ユニ婆さん「じ、実はかくかくしかじか・・・!」

ユニ婆さんは今あった出来事を順番に説明しました。

地蔵さまにお供えするどころか、笠を奪って売り払ったこと。
そして、家に魑魅魍魎(ちみもうりょう)がやって来たことを。



ピロ婆さんは慌てて家を見に行ってあげましたが、妖怪の姿なんてありませんでした。

ピロ婆さん「何も居ないじゃないの。」

ユニ婆さん「でも、ペーパーの買い置きが無くなってるんだよ!」

ピロ婆さん「使ったんでしょ。」

ユニ婆さん「うぬぬ・・・!たしかに不気味なのがウジャウジャ居たのに・・・。」



ユニ婆さん「・・・ところで、ピロ婆さんは一体何をしてるの?」

ユニ婆さんはすこし落ち着きを取り戻しました。

ピロ婆さん「ああ・・・地蔵さまにもらった魚なんだけど・・・。」

ユニ婆さん「ええのう・・・私も欲しいのぅ・・・。」

元気になったらすぐコレです。



ピロ婆さん「・・・すこしあげようか?」

ユニ婆さん「エッ、いいの?」

ピロ婆さん「お正月に食べる魚が必要なんでしょう?」

ユニ婆さん「・・・アタイ・・・あんなに意地悪したのに・・・。」

ピロ婆さん「私とあなたの仲じゃないの。(本当はちょっと酸っぱいにおいがするからだけど)」

ピロ婆さんの心の声はさておき、ユニ婆さんは喜びに打ち震えました。

ユニ婆さん「・・・ピロ婆さん・・・ありがとう・・・。」

ピロ婆さん「困ったときはお互いSUMMERよ。」



ユニ婆さん「ピロ婆さんの優しさ・・・忘れないよ・・・グスン。」

ピロ婆さん「水臭いわねぇ。」

美しい友情の涙でした。



ユニ婆さん「ほいじゃ、こんぐらいもらっても良いよね?」

ピロ婆さん「エッ!」

ユニ婆さん「ピロ婆さんはまだ金銀財宝があるんだろ、アタシャ持ってないんだからね。」

強欲ユニ婆さん復活です。



ピロ婆さん「傷んでないやつまで持ってくなんて・・・チッキショー!」

















しかし、お地蔵さまたちはすべてを見守っていました。
そしてユニ婆さんにさらなるお仕置きをしたのです。

翌日・・・。



ユニ婆さん「ちょっとーーー!誰かーーー!」

ピロ婆さん「ドシタノッ!」

現れたユニ婆さんの頭から、自慢のおぐしが消え去っていました。


ユニ婆さん「今朝起きたら・・・自慢のフワフワヘアーがマルガリータになってたんだよ!」

ピロ婆さん「マルガリータ、カコイイ!」

ユニ婆さん「カコヨクナイ!女の命がぁー!」

ピロ婆さん「プークスクス!」

ユニ婆さんはこれで懲りて、ようやく改心してお地蔵さまにお詫びをしに行ったとさ。




みんなもお友達を大切にしようね!




おしまい


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