「それで‥‥何の用なんだ?」

いきなり核心を突く。
まだ教室でやり残したことがあったため、急ぎたかっただけだが。

「えと‥‥あの‥‥‥たいした事じゃないんですが‥‥」

芥生はしどろもどろになっていた。
焦っているのか、目をさ迷わせて続く言葉を考えているみたいである。
俺はその様子をじっと見ていた。

彼女はようやく言葉を見つけたみたいで、俺の目を見てはっきりいった








「パソコンの使い方を教えてください!!」






「‥‥‥へ?」






突然何を言い出すんだ、この子は。

そのためだけに俺をここへ呼んだのか?

クラスにパソコンが扱えるやつなどたくさんいるはず。
ましてやこの間、情報の授業やったばかりだし。
まあ、機械系は自慢じゃないが元々強い方だから、話し掛けるきっかけと思ってそんなこと言ったのかもしれないけど。

「あの‥‥」

その声に我に返る

「あ‥‥ああ。しかし‥‥何でだ?」

「‥‥‥秘密です」

ニコッと笑いかけながら、語尾に星が付きそうな感じで言った。
昼休みまでの時間、クラス中の視線が痛かった。
おかげで授業にあまり集中できず、ノートもほとんど書けなかった。

芥生の方も視線が集まっていたが、本人は気にしていない様子。
というか、絶対気づいてないな。





昼休み

とりあえず来てみたが、誰もいない。

本当は来たくなかったが、理由もなしに行かないというのはしたくなかった。

まあ、いないということは好都合かな。

踵を返し、帰ろうとすると、芥生が出入口のドアを開けたのが見えた。

‥‥‥しょうがないか


「あ、来てたんですか。すみません‥‥、呼び出しておきながら遅れてしまって‥‥」

少々息が切れていた。

「あ‥‥いや、構わないよ」

「ありがとうございます」

そういうと、彼女は満面の笑みを浮かべた。
だてにあだ名が「天使」と呼ばれていない。
それくらいに芥生の笑みは優しく、温かった。

って、何観察してんだよ。