イヴの時間 劇場版(Huluより)
 

2009年 106分
監督  吉浦康裕

 
・私流のあらすじ
冒頭に下記のようなメッセージが出てきます。
「未来、たぶん日本。“ロボット”が実用化されて久しく、アンドロイドが実用化されて間もない時代。」
とのこと。
 
未来の日本が舞台で、人型アンドロイドが裕福な家庭なら1台?あったりするよ~っていう世界観です。普通の家でもメイドロボットみたいなのは大体いるっぽいです。
で、このアニメにおけるアンドロイドは、外見が人間とまったく一緒で、見分けをつけるためにアンドロイドの頭の上には天使の輪っかのようなリングが表示されています。
このアンドロイドに感情移入し、精神依存する人たちのことを「ドリ系」と呼んで、社会問題とされています。この「ドリ系」の何が良くないのかはハッキリとはわかりませんが、CMなどでこの現象を度々警告しています。犬型や猫型の愛玩用アンドロイドなどは一切出てきません。
 
高校生男子の主人公の家にも、1台のアンドロイド「サミィ」がいます。話しかければ返してくれる、コミュニケーション可能な存在として描かれています。彼女を家電として扱おうとしているのですけど、見た目が美少女なもので男子高校生は色々とお困りの様子。
 
そんなある日、サミィの行動ログから不審な点を発見する主人公。どうやら買い物の時に、命令されていない場所へ足を運んでいるようなのです。
 
これに興味が沸いた主人公は、友達と共にサミィが足を運んでいた場所へと向かいます。そこはビルとビルの隙間、人があまり寄り付かないような場所で、ビルには古びたドアがついていました。とても怪しいです。
勇気を持って中へ入ってみると「イヴの時間」という喫茶店へと辿り着きます。そこではロボットと人間を区別してはならないというルールがあって…というところから物語が展開していきます。
 

・視聴前にこの映画に感じたこと
 
今回はHuluから視聴です。一応交互に選んでいこうとしています(*'ω'*)
普段はあんまり見ない色んなジャンルの映画にトライしてみようと思い立って、劇場版アニメの中から選んでみました。
SFっぽい雰囲気のあった「イヴの時間」、評価もとても高いようだったので、期待して視聴開始です(*'ω'*)
アニメは中学生の時は結構ハマって色々見ていたんですけれど、徐々に見なくなってしまっていました。
Huluに加入してからはいくつか人気そうなアニメシリーズを見たりしています。そのうち良かったものを紹介してみようかとも考えています(#^.^#)
 

・視聴中に思っていたこと
 
・思春期の男子がいる家に可愛い女の子のアンドロイドって…(笑)。家電として扱うのが普通という世界ならば、もう少し性を意識しない作りにすればよいのでは? かなり強い違和感がありました。 
 
・ロボットが勝手に好きな場所に行くことにはおとがめはないんだ(笑)。
 
・10年前のロボットがメカメカしい、一体10年で何が!?(笑)
 
・アンドロイドって涙も出るんですね…( ゚Д゚)
 
 
 
・私の評価
☆2.5/10

Yahoo映画の評価 ☆ 7.8/10.0
IMDBの評価 ☆ 7.5/10.0
 
残念ながら世間の評価とは大きくズレてしまいました( ゚Д゚)
 
 
 
・見終わった直後、フワっとした感想
 
うーーーん、なんだか全然ノレなかったです。
全く異なる文化を歩んできた私たちの知らない星の知らない存在、ということならまだ多少はノレていたんですけど、一応日本の未来が舞台ということみたいなので、違和感が最後までぬぐえず、でした。
 
あれだけ人間と同じ外見に作っておいて、それに感情移入するな、という社会の風潮(?)がまず無理があったのではないでしょうか。これは未来人だから仕方ないの・・・って無理やりに納得しようとするとその後の展開がまた変な感じになっちゃうというか(笑)。
もし仮に未来でアンドロイドが実用されたとして、「私も同じようになっちゃうだろうな~」とは全く思えない物語の作りになっているのが、ある意味で特徴的と言いましょうか。
 
 
 
 
・で、印象に残ったあのシーンについて
 
本作で最も悪夢的なシーンでもある、最初に主人公たちがイヴの時間で仲良くなった女の子が、実はアンドロイドだった、ということがわかるシーンです。
っていうか、ここの世界の人はロボットに感情があるということは知らないという設定なんですよね?
だとするともっと大事になってもいいような気がして、見ていてモヤモヤしました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
・ネタバレ付き感想
 
まず何本かの短編アニメをつなぎ合わせたような変な構成の仕方が、1本の映画として成立していなかったように思えます。「イヴの時間」という喫茶店を舞台に、そこで起きるちょっとしたエピソードがつぎはぎされたような感じです。
どのお話も、ロボット(もしくはアンドロイド)には感情があり人間と等しく何かを感じている、そして彼らは人間のためを思い行動していたということが分かる、というような内容を最後の最後まで繰り返しているような感じです。見ていて、実は~~でした、と言われても、「うん、それはもう分かってますから」と言いそうになってしまいます。
これが本作の決定的なつまらなさに繋がっています。喫茶店を見つけるまでのところまでは結構楽しかったんですけれど…。
 
そしてそれ以前にやっぱり設定というか世界観に全くノレないというのがあります。
その理由としまして、劇中に描かれる『ドリ系』という症候群。
これの何がそんなに悪いことなのでしょう?
ペットが家族になっている現状はもちろん、家にある植物にだって話しかける人がいるし、AIBOっていうロボ犬だってありました、それを踏まえると、会話が可能でしかも見た目が完全な人間となれば、むしろこの世界で言うところのドリ系になっていない人にこそ人間として問題があるのではないか、と思えます。家電扱いできるほうが明らかにおかしいです。
 
その上でさらにアンドロイドに感情がある、というお話であるため、もちろん人間と同等の扱いと言わなくても人のパートナー的存在になっている、という描写が普通ではないでしょうか。
「アイアンマン」でも主人公のスタークがAIと友達のように喋ってますよね。ああいう風になるのが当たり前になるのが自然だと思います。
「her」なんていう映画がありまして、それは声だけのAIに恋をしてしまう男性のお話なんです。こっちは全然感情移入ができました。最近見たSFアニメ「BLAME!」でのロボット・アンドロイド描写は、本作に比べるとなるほど、ありえそう、という納得感がありました。
 
ロボットが人を傷つけてはならない、という原則があってこれはもちろん肉体的に…という意味だと思うんですが、精神的にも傷つけないためには感情が必要かもしれない、という本作の何か歪んだ世界観が全然賛成できないといいましょうか。そこまでロボットを蔑まなくても…。
 
もし本作のようにAIが人間以上の能力や感情を持ったとしたら、それはもう人間の奴隷的な存在ではなく、むしろ良きパートナーのような存在になっているはず…と思うのは私だけではないと思います。
 
温かみのある雰囲気なのに、結局ロボットは完璧な見た目や豊かな感情を持ったとしても、人間のために盲目的、隷属的に動いているというイヤ~なお話でした。だとしたら絶対に感情ないほうがいいでしょ!(笑)
次回作はロボットたちの逆襲に期待したいです(笑)。
 
 
 
#映画レビュー