むかしむかしの物語、、、
バブルも下火になったものの、まだ「ネズミ講」とか「マルチ商法」とかがあった時代です。
それはもう20年以上前になりますが、友人にハメられて?熊本の某所にて開催された
「潜在意識能力開発セミナー」(3泊4日)に行ったことがあります。
いわゆる「自己啓発」というセミナーがブームになりはじめた頃の話です。
当時から心理学や潜在意識というものに興味のあったわたしに、
高校時代からの悪友Mが
「3万円のセミナー料は、今まであんたにはお世話になったから、お礼をさせて。」
「もしかしてMのやってる化粧品(ネットワークビジネス)のセミナーじゃないの?」
この商品は、アメリカの開発した洗顔石鹸でたしかにいいけど、
生活を抱え、熱く薦めるMのために、
つい付き合いで15万円分も買わされた事があるのでまず警戒したのです。
「ううん、ちがうよ。わたしが今まで嘘ついたことある?
このセミナーでわたしは生まれ変わったの。だからあんたにもぜひ受けてほしくて」
その言葉を信用して、そのセミナーを受けにわざわざ東京から熊本まで飛んで来たのでした。
ところが、Mの大うそつき?!
その化粧品の販売セミナーではないですか!
「この手紙は夜読んでね」と渡された手紙には
「嘘ついてごめんなさい。今頃あなたは怒ってるでしょうね。
でも、こうでもしなければあなたは来なかった。
あなたは今までお人よしすぎていつも人に利用ばかりされてきたのを知ってるからこそ
その力を生かしてほしいと思ったの。
大好きなひろみ、わたしを信じてどうか3日間でいいからそこで過ごしてみてください」
もちろんわたしは激怒してすぐに電話をかけました。
「よくもだましたな~~~!!」
泣きながらMはいいました。
「今まであんたをだましたことある?
だまされたと思って、とにかく3日間は我慢して」
だまされたと思って、、、? すでにだまされてるんですけど、、、(笑)
どうやって帰ったらいいのかわからないし、わたしは我慢してそのセミナーを受けてみました。
まずその商品の歴史から学びます。
「この化粧品は○○年に○○という会社の○○さんが開発し、、、」
興味もないのに覚えさせられる。
人を説得するには数字を使うと効果的、、とどこかで読んだことがあるので
そら、来たぞと鼻で笑ってました。
○○円が、会員になれば20%オフで手に入り、売れば自分の利益になる。
もっとたくさん売ればグレードアップし、その利率は増える。
その前に「原価はいくらなのか?」を誰も疑おうとしていない。
安く買えるどころか、もともと高い定価をつけているだけのカラクリだと気づかないのだろうか。
バカバカしい!
たしかにシステムはすばらしい。
ピラミッド型になっていて、上に行けば行くほどお金が自動的に入るのだとか。
わたしなら、自分が商品を開発したい。
下にいる人ががんばればがんばるほどお金がガッポリ入るのだから、、。
Mめ、それを狙ったな、、、とそこで気がついた。
しゃくだから絶対に洗脳なんかされるものかと、セミナー中は一人でそっぽを向いてました。
「さあみなさん、暗記したらみんなの前で説明しましょう」
一人の女性が指名され、100名くらいの前に立たされました。
彼女はこのセミナーが受けたくて受けたくてやっと家族を交渉してここへ来たのだとか。
ところが緊張したのか、しどろもどるに言葉が途切れる
そこである講師が渇を入れたのです。
「何やってんだ!やる気はあるのか?!」
彼女は泣き出し、そこで吹っ切れたのか急にめざましく饒舌になったのに驚きました。
会場は拍手喝采、少し感動してしまいました。
夜になると、わたしがあまりに反抗的なのでその怒り役の講師に呼び出され怒られた。
「お前は自分の弱さから、逃げている!」
「そうですよ、逃げてますよ。
だってやりたくて来たんじゃないですから、今すぐ逃げたいくらいです」
らちがあかないと思ったのか、別の講師がきた。
今度はおだやかで風格のある、どこかの社長さんでした。
「君はね、僕とそっくりだよ。僕もやんちゃで、そうして反抗してたんだ。
ところがね、今では月収1千万、
君も僕みたいになれる素質があるよ」
ちょっと心が動く(笑)
天丼はでてこないものの、まるで刑事ドラマのなだめ役とすかし役みたいだと思いました。
きっとわたしを落とすために、いろんな手を使ってるのだろう。
この講師たちはうしろ姿を見ただけで、性格を見抜くトレーニングを受けてるとMが言ってたのを思い出し、
そうはいくものか、とわたしは意地でも素直になれませんでした。
「すみません、わたしには別の夢があるんです。」とハッキリ断る。
「今まで一人で生きてきました。今さら誰かの作った組織の中にはいるのはまっぴらです」
当時はニューヨークでブティックをしたいと思ってました。
そして、いつかはハワイと往復しながら、そこで非行少年の更正に関わる仕事をする。
心に傷を負った人たちに、美しい海を見せてあげたい。
そして、いつか南の島で海を見ながら本を書く。
それがずっとビジョンにありました。
化粧品のセールスなんて、やりたいこととはあまりにかけ離れてました。
「この仕事は夢を叶えるための手段と考えたらどうですか」
その社長は言いました。
「わたしは自分の力で稼げます。」
わたしはきっぱりと告げました。
誰でもできる仕事、というのはわたしがやらなくても誰かがする。
ひとりで重い荷物を外国から運び、暑さ寒さにめげずに
路上で店を広げ、お金を稼ぎ、ひとりで生きてきたわたしは
誰かと同じことをするのは、プライドが許さなかったのです。
朝は早くから、ラジオ体操などに参加させられ、
「オレはやるぞ~~!」と合唱。
なんてところに来てしまったのだろう、、、
繰り返し、覚えさせられる商品の説明。
そしてとうとう、わたしの話す番がまわってきました。
バカバカしいと思いながらも
人前でどなられるのは恥ずかしいので、初めて人前で話しました。
ゆっくりと、深呼吸しながら、100人の中の一人ひとりの顔を見ながら、会社と商品の説明をさせられるのです。
目の合う人が、キラキラと微笑んでわたしの言葉に大きくうなずいてくれます。
不覚にも、ん?なんだか気持ちいいぞ、、、と感じてる自分がいました。
3日目、朝の体操時間の出来事です。
とうとうわたしが指名されました。
なんとみんなの前に出て例の「オレはやるぞ~~!」と指揮をとる役です。
こ、こんな姿を知り合いに見られたら、、、(笑)
仕方ないのでヤケクソになって、やってみました。
げんこつを片手ずつ振り上げ、片足を踏み出し
腹の底から、大きな声で叫びます。
「オ、オレは、やるぞ~~~??!」
あれっ?気持ちがいい、、、
「オレは、やるぞ~~~!!!」
いっせいに大きな拍手が起こりました。
うるうると涙する人までいるではないですか!
「よくやった!君は今、1歩前に出る勇気を出したんだ。
ひとつ殻をやぶったんだよ!」
あのこわい講師までが、やさしいまなざしを送ってくれ
「今までの君は生まれ変わったんだよ!」と褒め称えた
おめでとう!おめでとうとみなさんに祝福され
わたしはうれしくなって、顔が上気し、胸が熱くなるのを感じてました。
つづく、、、
バブルも下火になったものの、まだ「ネズミ講」とか「マルチ商法」とかがあった時代です。
それはもう20年以上前になりますが、友人にハメられて?熊本の某所にて開催された
「潜在意識能力開発セミナー」(3泊4日)に行ったことがあります。
いわゆる「自己啓発」というセミナーがブームになりはじめた頃の話です。
当時から心理学や潜在意識というものに興味のあったわたしに、
高校時代からの悪友Mが
「3万円のセミナー料は、今まであんたにはお世話になったから、お礼をさせて。」
「もしかしてMのやってる化粧品(ネットワークビジネス)のセミナーじゃないの?」
この商品は、アメリカの開発した洗顔石鹸でたしかにいいけど、
生活を抱え、熱く薦めるMのために、
つい付き合いで15万円分も買わされた事があるのでまず警戒したのです。
「ううん、ちがうよ。わたしが今まで嘘ついたことある?
このセミナーでわたしは生まれ変わったの。だからあんたにもぜひ受けてほしくて」
その言葉を信用して、そのセミナーを受けにわざわざ東京から熊本まで飛んで来たのでした。
ところが、Mの大うそつき?!
その化粧品の販売セミナーではないですか!
「この手紙は夜読んでね」と渡された手紙には
「嘘ついてごめんなさい。今頃あなたは怒ってるでしょうね。
でも、こうでもしなければあなたは来なかった。
あなたは今までお人よしすぎていつも人に利用ばかりされてきたのを知ってるからこそ
その力を生かしてほしいと思ったの。
大好きなひろみ、わたしを信じてどうか3日間でいいからそこで過ごしてみてください」
もちろんわたしは激怒してすぐに電話をかけました。
「よくもだましたな~~~!!」
泣きながらMはいいました。
「今まであんたをだましたことある?
だまされたと思って、とにかく3日間は我慢して」
だまされたと思って、、、? すでにだまされてるんですけど、、、(笑)
どうやって帰ったらいいのかわからないし、わたしは我慢してそのセミナーを受けてみました。
まずその商品の歴史から学びます。
「この化粧品は○○年に○○という会社の○○さんが開発し、、、」
興味もないのに覚えさせられる。
人を説得するには数字を使うと効果的、、とどこかで読んだことがあるので
そら、来たぞと鼻で笑ってました。
○○円が、会員になれば20%オフで手に入り、売れば自分の利益になる。
もっとたくさん売ればグレードアップし、その利率は増える。
その前に「原価はいくらなのか?」を誰も疑おうとしていない。
安く買えるどころか、もともと高い定価をつけているだけのカラクリだと気づかないのだろうか。
バカバカしい!
たしかにシステムはすばらしい。
ピラミッド型になっていて、上に行けば行くほどお金が自動的に入るのだとか。
わたしなら、自分が商品を開発したい。
下にいる人ががんばればがんばるほどお金がガッポリ入るのだから、、。
Mめ、それを狙ったな、、、とそこで気がついた。
しゃくだから絶対に洗脳なんかされるものかと、セミナー中は一人でそっぽを向いてました。
「さあみなさん、暗記したらみんなの前で説明しましょう」
一人の女性が指名され、100名くらいの前に立たされました。
彼女はこのセミナーが受けたくて受けたくてやっと家族を交渉してここへ来たのだとか。
ところが緊張したのか、しどろもどるに言葉が途切れる
そこである講師が渇を入れたのです。
「何やってんだ!やる気はあるのか?!」
彼女は泣き出し、そこで吹っ切れたのか急にめざましく饒舌になったのに驚きました。
会場は拍手喝采、少し感動してしまいました。
夜になると、わたしがあまりに反抗的なのでその怒り役の講師に呼び出され怒られた。
「お前は自分の弱さから、逃げている!」
「そうですよ、逃げてますよ。
だってやりたくて来たんじゃないですから、今すぐ逃げたいくらいです」
らちがあかないと思ったのか、別の講師がきた。
今度はおだやかで風格のある、どこかの社長さんでした。
「君はね、僕とそっくりだよ。僕もやんちゃで、そうして反抗してたんだ。
ところがね、今では月収1千万、
君も僕みたいになれる素質があるよ」
ちょっと心が動く(笑)
天丼はでてこないものの、まるで刑事ドラマのなだめ役とすかし役みたいだと思いました。
きっとわたしを落とすために、いろんな手を使ってるのだろう。
この講師たちはうしろ姿を見ただけで、性格を見抜くトレーニングを受けてるとMが言ってたのを思い出し、
そうはいくものか、とわたしは意地でも素直になれませんでした。
「すみません、わたしには別の夢があるんです。」とハッキリ断る。
「今まで一人で生きてきました。今さら誰かの作った組織の中にはいるのはまっぴらです」
当時はニューヨークでブティックをしたいと思ってました。
そして、いつかはハワイと往復しながら、そこで非行少年の更正に関わる仕事をする。
心に傷を負った人たちに、美しい海を見せてあげたい。
そして、いつか南の島で海を見ながら本を書く。
それがずっとビジョンにありました。
化粧品のセールスなんて、やりたいこととはあまりにかけ離れてました。
「この仕事は夢を叶えるための手段と考えたらどうですか」
その社長は言いました。
「わたしは自分の力で稼げます。」
わたしはきっぱりと告げました。
誰でもできる仕事、というのはわたしがやらなくても誰かがする。
ひとりで重い荷物を外国から運び、暑さ寒さにめげずに
路上で店を広げ、お金を稼ぎ、ひとりで生きてきたわたしは
誰かと同じことをするのは、プライドが許さなかったのです。
朝は早くから、ラジオ体操などに参加させられ、
「オレはやるぞ~~!」と合唱。
なんてところに来てしまったのだろう、、、
繰り返し、覚えさせられる商品の説明。
そしてとうとう、わたしの話す番がまわってきました。
バカバカしいと思いながらも
人前でどなられるのは恥ずかしいので、初めて人前で話しました。
ゆっくりと、深呼吸しながら、100人の中の一人ひとりの顔を見ながら、会社と商品の説明をさせられるのです。
目の合う人が、キラキラと微笑んでわたしの言葉に大きくうなずいてくれます。
不覚にも、ん?なんだか気持ちいいぞ、、、と感じてる自分がいました。
3日目、朝の体操時間の出来事です。
とうとうわたしが指名されました。
なんとみんなの前に出て例の「オレはやるぞ~~!」と指揮をとる役です。
こ、こんな姿を知り合いに見られたら、、、(笑)
仕方ないのでヤケクソになって、やってみました。
げんこつを片手ずつ振り上げ、片足を踏み出し
腹の底から、大きな声で叫びます。
「オ、オレは、やるぞ~~~??!」
あれっ?気持ちがいい、、、
「オレは、やるぞ~~~!!!」
いっせいに大きな拍手が起こりました。
うるうると涙する人までいるではないですか!
「よくやった!君は今、1歩前に出る勇気を出したんだ。
ひとつ殻をやぶったんだよ!」
あのこわい講師までが、やさしいまなざしを送ってくれ
「今までの君は生まれ変わったんだよ!」と褒め称えた
おめでとう!おめでとうとみなさんに祝福され
わたしはうれしくなって、顔が上気し、胸が熱くなるのを感じてました。
つづく、、、