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無題

いろいろと

タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫SF)/早川書房

¥798
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☆内容紹介
時空を超えたあらゆる時と場所に波動現象として存在する、
ウィンストン・ナイルズ・ラムファードは、神のような力を使って、
さまざまな計画を実行し、人類を導いていた。その計画で操られる最大の受難者が、
全米一の大富豪マラカイ・コンスタントだった。
富も記憶も奪われ、地球から火星、水星へと太陽系を流浪させられるコンスタントの行く末と、
人類の究極の運命とは?
巨匠がシニカルかつユーモラスに描いた感動作を訳も新たにした新装版。
(解説 爆笑問題・太田 光)

☆感想

タイタンの妖女は、私にとって初めて読んだと言ってもよい海外SF作品。
カート・ヴォネガットの著書を読むのも初めて。

これまでSFというと、スピルバーグ映画のような、叙情表現は少なく、「未来」「宇宙」というモチーフを使って展開されるエンターテイメント寄りの作品というイメージがあった。

しかし、タイタンの妖女は私のそんな偏見を良い意味で裏切ってくれた。

あとがきに爆笑問題の太田光が、私のような人間にとっては読みにくい作品かも、
というようなことを指摘していたが、そんなことはなかった。
(確かに取っ掛かりの部分は理解しにくかったけれど・・・・・・・)

というのも、物語が冒険、宇宙旅行、といた明るいお話ではなくて、宗教や戦争、孤独、裏切り、追放など終始切ない、というかかなり主人公にとってシビアなお話だったからだ。

とにかくこの物語で一貫しているのは、決して逃げられない不条理であると思う。

でも不条理な災厄に見舞われた人たちは、それを受け入れ、意味のようなものを見出していく。
生きるための希望とまではいかないが、それぞれが自分自身を温める陽光を見つける。

主人公を含む登場人物たちに降りかかる仕打ちは容赦ないのに、救いのない話ではなかった。
誰かに必要とされて、利用されて幸福だと思える人間たちは美しかった。

たとえ他者の欲望を満たすことや、夢を叶えるコマとして使われたとしても、
自分がそこに存在し、何かをしたということは消えてなくなるわけではなく、
無意味ではないのかもしれない。

いろいろ思うことがありすぎて、うまくまとめられないけれど、
ラムファードの作った宗教はおもしろかったし(良いという意味じゃない)、
サロという機械の自殺や火星人たちの自殺、みんなが一連して誰かに利用されていたことなんかは本当にすごい、よく考えたなーすごい!という感想。

生まれ変わったらハーモニウムになりたい。