MAGIC★REALISM24

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げん‐じつ【現実】①現に事実としてあること。また、そのもの、その状態。空想に対する実在。実際。②「現実とは何か、と考える瞬間にだけ、人間の思考に現れる幻想だ」(犀川創平)

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2日目>

●仁和寺【世界遺産】

①世界遺産だから。龍安寺とまとめて行けるから。

②観光客がそうしていたので、私も宸殿の縁側に腰を下ろした。

③宸殿、いい。無心で眺めていて飽きないなんて不思議。美しい。十二単のお姫様が出てきそうな廊下とは本当だった。時代劇でこういう廊下あるなあ。




●龍安寺【世界遺産】

①世界遺産だから。石庭が見たかったから。仁和寺とまとめて行けるから。

②縁側に立つと15個の石を同時に見ることはできないが、縁側から少し離れた位置で見るとすべての石を同時に見ることができる。石庭の前の縁側に座っている人たちが半分以上外国人であることに気付いた。

③ガイドのまんまの石庭だ。やっと来られた。石庭の前で一人になってみたい。この石庭の謎はいつか誰かに解いて欲しい。




●京都御所(要許可書で入れず)

①今年の大河ドラマに出てくるから。

②許可書が必要で入れなかった。御所周辺の道が非常に広い。京都御苑をなかなか抜け出せない。

③許可書が必要だなんてもっとわかるように書いて欲しい。せっかく来たのに御苑を簡単に抜け出せないなんて疲れた。これからどこに行こう。午後をどう過ごそう。覆面パトカーに乗せてください。小石が靴の中に入って痛い。




●平安神宮

①京都御所に入れなかったが、せっかくこのエリアに来たから足を延ばして。

②京都に来て初めてお参りした。神苑を散歩した。

③(神苑)蚊に刺されそう。小さな虫が多い。植木の見どころがない。夕方までどう過ごそう。西本願寺まで行く元気がない。




●フランソワ喫茶室

①ガイドを見てレトロ喫茶店が魅力的だったから。

700円のココアに甘くない生クリームが乗っていて美味しかった。本を読もうと思ったら眠くなってやめた。友人に葉書を書いた。2時間くらい滞在した。

③雰囲気がいい場所だ。ココアが700円なんて高いが、京都に来て一番美味しいと感じた。人の目が気にならなくなって来た。今なら一人で焼き肉店に入れそう。無心だ。何にも焦っていない。



3日目>

●京都霊山護国神社

①前日本屋で見つけた偉人の墓の場所のガイドに掲載されていたから。

②坂本龍馬・中岡慎太郎・高杉晋作・久坂玄瑞・木戸孝允らの墓参り。墓掃除のお兄さんが気になる(邪魔)。

③こんなに有名な歴史上人物の墓がまとまっているのに以外と知られてないんだろうな。遺骨は本当に埋まっているのだろうか。なんだか不思議。実感がない。「今の日本をありがとうございます」。蚊に刺されそう。



●幕末維新ミュージアム 霊山歴史館

①興味があるから。護国神社に隣接しているから。

②八重の桜特集をしていた。

③八重の桜、録画して観ていないやつが観たくなってきた。幕末の流れや敵味方関係がいまいちよくわからないから学習したい。




●レストラン まどい

①前日本屋で見た、「森見登美彦ぐるぐる京都案内」に掲載されていたから。リーズナブルだから。バス亭から近そうだったから(アクセスが良い)。

600円の本日のランチを注文。

③若い店員さんは京大の学生だろうか。安いのになかなか美味しい。京都滞在もあと3時間切ってしまった。




●戒光寺(許可制で入れず)

①藤堂平助の墓参りに行きたかったから。

②どこに墓地があるのかわからなかった。Webで調べたら許可が必要だということがわかった。

③せっかく来たのに残念だ…。


以上。どんどん雑になっていっているのには気づかないふりを…。

昨年一人で【世界遺産】平泉を旅して、たいそう寂しい思いをしたものだ。前回は夜行日帰りだったが、今回は2泊3日である。人間はなかなか懲りないものだ。過ちを繰り返すかと思われたが、幸い過ぎてみればあっという間であった。寂しいという感情を持つ以前に、ほぼ無心であったのが不思議である。




一人旅とは実に勝手気ままなものである。誰に許可を得る必要なく、誰に遠慮するでもなく、ただ気持ちの向くままに自由でいられる。一人旅ばかりをしていたら、協調性が欠けていくのではないかと不安になるくらいだ。まるで移動可能なプロテクターカプセルの中にいるようで、店員や拝観受付の人へ発せられた自分の言葉さえも、見えないカプセルの内側で反響しているかのうように思われた。




さて、私はいつか遠い将来に、この京都孤独旅を“初の一人旅”として語ることになるだろう。最近、こういった思い出話ばかりを作りたがっている(荒川土手沿い50km歩行然り)。その時が訪れた際に、私しか知り得ない私のこの3日間を、何かに記しておく必要があると考えた。この間に関東で何か事件が起こったとしたら、私はアリバイを証明できるだろうか…。


無益なことは好むが面倒臭いのは嫌いなので、以下のスタイルで箇条書きに記しておく。

①訪れた動機

②出来事

③感想


1日目>

●上賀茂神社【世界遺産】

①鴨川デルタに向かうためのバスの終点が、上賀茂神社だったのでついで。世界遺産だから。

②出会ったおじさんに10-15分ほど話しこまれた。滑舌が悪くて半分くらい聞き取れなかったが、非常に楽しそうだったので相槌打ちながら聴いていた。

③門の朱色がきれいだった。世界遺産登録の理由がいまいちわからない。


●鴨川デルタ(賀茂川と高野川の合流地点の三角州の部分)

①前回訪れてとても良い場所だったから。森見登美彦氏の小説によく出てくる。

②誰もいなかった。雨が降っていた。風が強かった。

③寂しい感じがした。三角州に一人で立っていると、人に見られている気がして落ち着かなかった。


●百万遍交差点

①森見氏の小説や、万城目学氏の「鴨川ホルモー」などに出てくるから。

②雨が降っていた。就職案内のパンフレットを受け取ってしまった。

③写真を撮りたいが、聖地巡礼がバレるので断念した。


●京都大学(カンフォーラで昼食)

①森見氏の母校。キャンパスを歩きたい。

NO氏おすすめの学食が見つからず、正門前のレストランへ入ることにした。時計台前のクスノキで、“吉田寮祭”というのが開催されていた。築100周年らしい。エネルギッシュな学生が歌を歌ったり演説したりしていた。もっと見ていたかったが、見てはいけない気がした。通りかかった一人の男子学生が、それを見て拍手をしていて温かいなと思った。昼食を摂りながら、ツイッターで“吉田寮”を検索した。

③これが日本2番目の大学か!頭の良さそうな人がたくさんいる!キャンパスが広い!門前の立て看板が熱い!“学生運動”というワードが頭をかすめた。誰に見られているわけでもないのに、この3日間で一番人の目を気にした。


●吉田神社

①森見氏の小説によく出てくる。京大のすぐそばだったので。

②幼稚園児の歌を聴きながら、ベンチで休んだ。

③小さな神社だった。


●銀閣寺【世界遺産】

①哲学の道を歩きたかったので。質素な気分になりたかった。

②銀閣寺キャンデーが定休日だった。

③質素だった。銀閣の2層構造というのはアンバランスではないのか? 修学旅行で来た時の方がしみじみと感じた気がして、どんな中学生だったのかと顧みた。今回は無心で眺めた。向月台は絶対何かで固めているな。それにしてもこんなに高さがあっただろうか? 銀沙灘が美しい。どうやって模様を作っているのだろうか。「金閣寺」(三島由紀夫)いつになったら読み終わるのかなあ。外人がいっぱいだ。


●哲学の道

①哲学したかったから。

②噛み締められず、無心で歩いた。小石がショートブーツに入ってきた。

③哲学できそうにない。何のために来たんだっけ。蚊に刺されそう。桜とか紅葉とかあったら立ち止まったりするんだろうな。南禅寺拝観する時間がなくなりそうだから、法然院はカットしよう。


●水路閣(水道橋)

①ガイド写真がステキだったから。

②観光客が多くてシャッターチャンスを待っていた。橋の上は本当に水が流れていた。

③風情があるな。もっと広いところだと思ったが、そうでもなかった。


●南禅寺(三門)

①水路閣を観たかったので訪れた。門だけで拝観料を取る理由が知りたい。あの門の上に立ちたい。

②階段が急。京都の町が見渡せた。平安神宮の朱色の鳥居の頭が見えた。

③中に神様がいた。神様の住処を覗いたよう。“こんなところにいたの”という感じ。静謐な雰囲気は東寺の金堂に似ている。立派な門だ。登ってみなければこの価値はわからないだろう。


●四条河原町

①夕飯を摂る場所を探すため。

②新京極通、寺町通、四条通と歩いて、決まらなくて京都駅へ戻った。

③夕飯…。どこがいいのかわからない…。先斗町は一人で入る勇気ないな。














去る3月26日に行った、名作に対する議題トークの第2弾について、遅ればせながら記録に残しておく。


題材は予告通り「舞姫」で行った。


双方から持ち寄った議題は以下の通り。


①主人公(太田豊太郎)と自分の共通点はあるか(共感したところ)

②主人公の好きなところ

③主人公の嫌いなところ

④主人公はどこで本来の自分へ引き返すべきだったか(自分だったらどこで引き返すか)

⑤首席の頭脳を持った主人公が、何故このような自体になってしまったのか

⑥最後の段落の意味について

⑦エリスは主人公にとってどういう存在か

⑧エリスは何故壊れたか

⑨なぜこの作品が後世に残ったか

(作品のどんなところが評価されたのか。ドロドロの男女関係?それとも?)

⑩自分が森鴎外だったらこうする。舞姫の結末!


そして、それに対する私の回答が以下である。


①主人公(太田豊太郎)と自分の共通点はあるか(共感したところ)

余所に心の乱れざりしは、外物を棄てて顧みぬ程の勇気ありしにあらず、唯外物に恐れて自らわが手足を縛せしのみ。

 私が面白いお金の使い方を知らない理由に通じるところがある。

②主人公の好きなところ

我が隠しには二三「マルク」の銀貨あれど、それにて足るべくもあらねば、余は時計をはづして机の上に置きぬ。「これにて一時の急を凌ぎ玉へ。」

 換金できるような高価なものを所有している。返済されない可能性も視野に入れていたはずである。

③主人公の嫌いなところ

 エリスとともに生きる道を取るか、社会復帰するかどうか、エリスにも相沢にも大臣にも相手が望む回答をする、流されたような性格。ただし、そのすべてにおいて行動が伴わないだけで、主人公の本心に嘘はなかったように感じられる。

④主人公はどこで本来の自分へ引き返すべきだったか(自分だったらどこで引き返すか)

主人公が免官されたのは、次の誤解をされたことが原因である。

余と少女との交漸く繁くなりもて行きて、同郷人にさへ知られぬれば、彼等は速了にも、余を以て色を舞姫の群に漁するものとしたり。われ等二人の間にはまだ痴騃なる歓楽のみ存じたりしを。

 上記の誤解を解消するすべがないのであれば、誤解を生じる状況そのものを作るべきではなかった。

a)エリスと出会った日、エリスを家まで送り届けるが、家に上がるべきではなかった。

b)エリスにエリスの父の葬式の工面をしたところで終わりにするべきだった。

⑤首席の頭脳を持った主人公が、何故このような自体になってしまったのか

 “余は一週日の猶予を請ひて、とやかうと思ひ煩ふうち、我生涯にて尤もつとも悲痛を覚えさせたる二通の書状に接しぬ。この二通は殆ど同時にいだしゝものなれど、一は母の自筆、一は親族なる某なにがしが、母の死を、我がまたなく慕ふ母の死を報じたる書ふみなりき。余は母の書中の言をこゝに反覆するに堪へず、涙の迫り来て筆の運はこびを妨ぐればなり。

→主人公の母親は自殺したのではないかという説があるらしい。母親と親戚からの手紙がほぼ同時に書かれたものであることから、母親からの手紙の内容は主人公を諌めるものであったと考察されている。母親は自らの死をもって、主人公に元のまっとうな道を歩んで欲しい(実際はこの時点で主人公は道を踏み外しておらず、すべては誤解が招いたことだった)ことを訴えた。主人公が母親からの手紙の内容を明かさない(思い出すと辛くて記すことができない)ことも前記の内容に矛盾しない。親戚からの手紙は、本文に書かれている通り母親の死を伝えるものだった。

 上記の仮説を受けて、以下のように考える。

 故郷日本で、自分の活躍を一番に喜んでくれていた母親の死。誤解を解くにも時すでに遅く、自分は異国の地で仕事を失った。何もかも失くした主人公に、唯一人自分を求めてくれるエリスに流れていくのは、仕方のないことだったように思う。挫折を知らないエリートだからこそ、打たれ弱く落ちるときは一気に落ちていった…。主人公にとってエリスは恰好の逃げ場であったのではなかろうか。

⑥最後の段落の意味について

嗚呼、相沢謙吉が如き良友は世にまた得がたかるべし。されど我脳裡に一点の彼を憎むこころ今日までも残れりけり

 この物語が主人公の手記であることを感じられる一文である。

その言葉の通り、主人公が社会復帰できるよう取り計らってくれたことも、エリスが病に罹ったのちの世話をしてくれたことも、主人公は相沢に対して大いに感謝している。しかし、ドイツで起こった出来事がどうしようもなく過去になっていったとしても、エリスを置いて日本へ帰国すること、その状況をああいった形で作った友人を、その一点にかけて“憎む”心が残ること、すべて納得した帰国でないことを書き記している。

始めにある文にも通じるところである。

げに東ひんがしに還かへる今の我は、西に航せし昔の我ならず、学問こそ猶なほ心に飽き足らぬところも多かれ、浮世のうきふしをも知りたり、人の心の頼みがたきは言ふも更なり、われとわが心さへ変り易きをも悟り得たり。

 物語はすべて過去の出来事となったのちに書き始められたものである。小説を最後まで読んだのちに、この手記の書き出しを再読すると面白い。

⑦エリスは主人公にとってどういう存在か

我足音に驚かされてかへりみたる面、余に詩人の筆なければこれを写すべくもあらず。この青く清らにて物問ひたげに愁を含める目の、半ば露を宿せる長き睫毛に掩はれたるは、何故に一顧したるのみにて、用心深き我心の底までは徹したるか。

この行ありしをあやしみ、又た誹る人もあるべけれど、余がエリスを愛する情は、始めて相見し時よりあさくはあらぬに、いま我数奇を憐み、又別離を悲みて伏し沈みたる面に、鬢の毛の解けてかかりたる、その美しき、いぢらしき姿は、余が悲痛感慨の刺激によりて常ならずなりたる脳髄を射て、恍惚の間にここに及びしを奈何にせむ。

 主人公によると、エリスはたいそう美しいらしい。薄幸なイメージはあるが、主人公にとって輝かしい存在であることがわかる。

⑧エリスは何故壊れたか

彼が相沢に逢ひしとき、余が相沢に与へし約束を聞き、またかの夕べ大臣に聞え上げし一諾を知り、俄に座より躍り上がり、面色さながら土の如く、「我豊太郎ぬし、かくまでに我をば欺き玉ひしか」と叫び、その場に僵れぬ

 主人公の心変わりを、相沢が都合のよいように解釈した想像ではなく、主人公の実際の言葉としてエリスに告げている。エリスは嘘だと疑う余地がない。主人公に裏切られたと思い発狂した。もともと精神不安定になりやすい気質があったのかもしれない。

⑨なぜこの作品が後世に残ったか

(作品のどんなところが評価されたのか。ドロドロの男女関係?それとも?)

 文学者がどう評価するかわからないが、個人的な意見を以下に述べる。

a)森鴎外の処女作であること。

b)森鴎外のドイツ留学を元に書かれていること(現実と創造の境を読者が想像できる)。

c)主人公がドイツで数年間を過ごしたことを一貫して感じられ、一つの物語としてリアリティがありまとまっている。どの場面も脳裏に映像として起こすことができ、当時のドイツの空気を感じる気がする。この雰囲気を出せるということは、情景描写が優れているということなのだろうか。

d)この物語が文語体で書かれたことを魅力的に感じる。もし口語文で書かれていたとしたら、普通の日記のような感覚になってしまっただろう。

e)物語が主人公の手記として書かれていることで、主人公が自らの感情や記したいことの取捨選択を行っている。全体的にクールに事実だけを書いているように思われるが、ところどころ感情が差し込む箇所があり、主人公にとって重要な部分であることを読み取れる。

⑩自分が森鴎外だったらこうする。舞姫の結末!

 ほかの結末を考えようとしたが、議題に取り組んだことで『舞姫』はこれで一つの世界だと感じるようになってから、別の結末は考えられなくなった。


文語体で書かれた文章が特徴的で、今回は本文の抜出が多い。まるで現代文の試験のようだが、楽しく抜き出しているのだから不思議なことだ。


私は今回もあえてこの「舞姫」についての専門的な評価や位置づけを取り入れずに、自ら感じたままに考察した(⑤以外)。ちなみにSTK会長は、この作品が書かれた時代背景から調査し、この時代の作品の特徴として「自我の確立」を挙げ、すべての回答に対してその前提を元に考察していた。さすがである。


次回は中島敦の「山月記」。今のところ現代文の教科書掲載作品を渡り歩いている。「山月記」はたいそう短く話も単純明快なので、現時点でお互いすでに読み終えているのだが、何しろ議題が思いつかず滞っているところである。まあ、近々行われることでしょう。楽しみだ。