私が小学校4年生の時、

お父さんが大きな決断をしました。

 

お店を移転させるのです。

 

 

移転先は、今の店から150mほど先。

位置的にはほとんど変わりませんが

今と同じカウンターが15席ほどと、お座敷6組分ほどがついた

大きなお店です。

 

厨房も広くなり、かなり大掛かりなお引越しです。

 

 

慣れ親しんだ小さなお店を離れるのはこの上なく寂しかったですが、

新しいお店に移ることに私はワクワクしていました。

 

 

しかし、このころからお父さんとお母さんは

あまり話をしなくなりました。

 

 

小学校4年生ともなれば、ある程度のことはわかります。

私は成長が早く、見た目も心も少し老けていました。

子供ながらに、何かあったことは肌で感じていましたが

何か聞くわけでもなく、二人の間を取り持つように

笑顔で生活していました。

 

 

そんな時、祖父母が家を出ていくことになりました。

 

 

もともと、お堅い性格だった祖父母は

母はもちろん、父とも性格が合わなかったように思います。

(なぜあんなにまじめな親から父のような陽気な人間が育ったのかいまだに謎です)

 

 

 

祖父母は今の家から車で20分ほど離れたアパートへ引っ越しました。

 

 

私たちだけとなったこの家で、

母はやっと羽が伸ばせるを嬉しそうする母。

 

 

険悪なムードの二人でしたが、

もちろん毎日がそうではなく、

昔のように楽しく家族の時間を過ごす時間のほうが多かったです。

クリスマスや誕生日には必ずプレゼントを用意してくれたし、

ケーキも買ってくれました。

ラーメンが食べたいといえば食べに連れて行ってくれたし、

休みの日はお出かけすることもありました。

 

 

でも、私は気づいていました。

 

 

おうちにだんだんと黒い影が近づいてきていることに。