2012年9月2日に行われたNeoBallad初ワンマンライブの後、同ユニットのマニピュレーターであるAyatoサンと上領サンとの夕食の席で、上領サンのドラムスタイルが話題になりました。その時の様子をAyatoサンがTwitterで語ってくださいました。(Twitter掲載についてAyatoサンは事前に上領サンから承諾を得ております。)
長い間ベールにつつまれていた上領サンのドラムスタイルが解き明かされた貴重な対談です。
Ayato 氏(以下A): 踊っているかのようなプレイスタイルと極端な配置のドラムセッティング。しなやかで鞭のように柔軟な手首。秀麗で妖艶なプレイ、それでいて鋭く力強いド迫力なサウンドの持主。スタイリッシュなプレイスタイルで『超絶技巧』、『千手観音』という異名で呼ばれる音楽の申し子...
上領氏(以下WK): セッティングとかプレイスタイルは、ドラムプレイを踊っているように見せるためにああしているわけじゃないんだよね。諸説あるようだけど、本当は全然違うんだよ(笑)。
A: シンバルの位置とかはあり得ないくらいギリギリな距離。通常はあの位置では無理があるじゃないですか。美しいドラミングで魅せるためとはいえ、パフォーマンス性を考慮してのことじゃなかったんですね?
WK: そんなこと(美しいドラミングを魅せるため)なんて考えたこともないよ(笑)。ストローク的に良い音を出せる位置を突き詰めて行った結果、あの配置がベストだっただけ。俺にとってはただ単に良い音が出せる必然的な位置なんだよ。
A: でも、疲れそうじゃないですか。そういえば、昨日あれだけライブで叩きぬいてるのに平気なんですか?この前も11曲×2setっていう鬼のレコーディングだったのに、翌日は何事もなかったように爽やかでしたけど。
WK: うん、全然なんともないよ。だってほら。触ってみ? マメとかひとつもないから。ライブの翌日とは思えない、綺麗なもんでしょ?
A: マメなどひとつもなく、しかもゴツゴツもしてない。改めて見ると超きれいな手です。 猫で例えるなら、綺麗なピンク色のプニプニな肉球。あんなに盛り上がったライブでドラムを叩きぬいた翌日とは思えません。 あぁ、これが本物の達人ってやつなんだなぁって痛感しました。なるほどそうか、この綺麗な肉球の秘密は、あのグニャグニャに柔らかく動く手首のなせる技ってことですね。毎朝欠かさず30分以上も入念にストレッチなさってますもんね。いやぁ、さすがです。
WK: 実は基本的に肘から手首は殆ど、というか全くと言っていいほど動かさないね。まるで固定されているかのように。ほんとに動かさない。スナップはもちろん使わないし。もしそういうふうに(スナップの可動が凄いように)見えているんなら、それも完璧に誤解だな。世間では俺のプレイを手首が柔らかいってことで評価してくれている人もいるみたいだけど、実はそれも誤解なんだな(笑)。
A: 僕は鍵盤専門なのでよく知らないんですけど、ドラム教室とかじゃ「手首を柔らかくしてスナップを使いなさい」って言われたりするんじゃないんですか?
WK: あぁ、よく聞くよね、そういう話。でもそれじゃヘナチョコな音しか出ないし、きちんとした正確なビートが刻めないうえにストロークも滅茶苦茶になるから。あと、手首がぶれると当然ながら狙ったところにスティックを落としにくくなるから、おのずと良い音が出るポイントにヒットしない。即ち良い音が出せなくなる。しかも、そんなんじゃスティックすっぽ抜けちゃうし、ロクなことないよね、ホントに(笑)。俺は基本的にステージに3本しか持っていってなかったし(笑)。
A: ステージに3本って...2本使ってるから予備はたったの1本ってことですか??
WK: うん、そう。でも、最近は折れたときのことも考えて増やしたけどね。やっぱ3本はあんまりかな~って思って。それでも全部で5本。ま、若手がこれやったら確実に怒られるだろうけど。ふざけてんのかっ!って(笑)。
A: でも、上領さんのドラムセミナーに来た人とか、最初は戸惑うんじゃないですか?
WK: あぁ、それはないね。だって教えないもん!(爆笑)。いろいろセミナーの依頼とか、教則DVDの企画とか声かけてもらうけど全部お断りしてる。申し訳ないんだけどね。さすがに一般人には無理だから。 だから教えるのはプロの連中だけ。
A: 基本的な資質が養われていないと理解出来ない世界ですからね。
WK: そう。しかも、武道と同じで、実はきちんとしたオリジナルの型(カタ)もあるからね。
A: 型ですか? 上領さんオリジナルの?
WK: うん、もちろんオリジナルの型(カタ)。 生徒は既にプロのドラマーなんだけど、きちんとした姿勢やストロークを体得させるために一日中みっちりと型のトレーニングをやらせる。じゃないと無理なんだよ。だから、スネアを一発も叩くことがなく初日のレッスンが終わる,みたいな感じ。
A: オリジナルの型(カタ)があることにも驚きですけど、それを体得するのも至難の業でしょうね。
WK: 当然だけど、型は単なる基本。その基本がしっかり出来てなきゃ話にならないし、しかも、それから上達するかとか、テクニックを磨くとかはまた別の話。あくまで、型は基本にしか過ぎない。でも、一番重要。そういえばさっき、手首がグニャグニャに見えるって言ってたじゃん? 実はあれの秘密って、指が動いてるからそう見えてるだけなんだよね。手首の動きじゃないんだよ。ストロークに手首は全く使ってない。
A: 全く...ですか?
WK: そう、全く使ってない。実際は、各楽器のポイントにヒットする直前で、指でスティックをコントロールして叩いてるんだよ。
A: 指の動きですか?ドラムロールの時みたいに?
WK: そう。しかも、肘から手首はきちんと固定してるんだけど、ヒットの直前まで手先には殆ど力を入れてない。それはシンバルでもフロアタムでもハイハット群でも全部同じ。それで指でコントロールしてるからこそ確実に狙ったアタックタイミングでヒットできる。
A: なんか、プロじゃなきゃ生徒になれない理由が解ってきました。
WT: 1音たりとも無駄な音や適当な音を出すことは許されないからね。当然ながら、ロールとかゴーストノートとかも、狙った確実なポイントとタイミングでキッチリと鳴らしてる。グラスバレーの頃からそう。もちろん他の楽器でもそう。NeoBalladの制作のときもそうじゃん?
A: そうですね、しかもそれらが全て効果的で無駄の無いノートですからね。それにしても、上領ドラムのプレイスタイルやセッティングがここまで深かったとは...おそらく今まで知られていなかったことが多いんじゃないですか? 上領亘のドラム理論ですね。これ、ホントに上下巻で本にするべき内容ですよね。
WK: たぶんやんないけどね(笑)。書籍を出すより育成している若手達に伝承して行くほうが確実に次の世代のためになるわけだし。AYATOのせいで本書く時間ないし。...(ToT)!!
A: 僕的にはここでの話くらいはみんなに教えたいですけどね。ツイートとかで記事にしちゃダメですか?
WK:
ま、隠してたわけでもないし、ライブでの誕生日祝いのサプライズへの御礼も兼ねて、いいよ。その代わり一言一句漏らさないように!(笑)
でもさ、ライブの時にあんなサプライズがあるなんて思ってもなかったよ。凄くビックリしたし、ホント嬉しかった。ありがたいよね、俺は本当に幸せ者だよ。
ご来場と誕生日お祝い、ありがとうございました。当日来場できなかった方からのプレゼントやお手紙にも本当に感謝しております。日本人である誇りを持って 貰えるよう、僕と若狭さち、NeoBalladチーム一丸となり頑張る所存です。
これからも応援よろしくお願いします。本当にありがとう。上領亘
この日のLiveは、アーティストと観客が心地よいSympathyでつながったとても素敵なLiveでした。
上領さん こちらこそありがとうございました。
上領さんに憧れてドラムを始めたヘナチョコ素人の自分。
いつか、ほんの少しでも近づきたい。“上領型”に。
