早すぎた合格体験記(合格妄想記) | magaterの予備試験勉強記録

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とある予備試験受験生の勉強記録です。
受験仲間に競争心と仲間意識とやる気と勇気を!
※合格してないので格好良い法律記事は書き(け)ません。

!CAUTION!

この記述は作成者の勉強指針として掲げるものです。未合格者のものであり合格に関する部分は妄想です。


私の司法試験合格作戦2015年版 (YELL books)/エール出版社
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1.はじめに

 この合格体験記は、平成27年2月10日に原案を書き上げたものです。私は、この合格体験記をエール出版の『私の司法試験合格体験記』にのせて実現させることをひとつの指針として、目の前の勉強をこなしていました。


(1)受験生になった経緯

 私は大学卒業後、ある会社の法務部に配属となり、弁護士の助言を受けながら会社の歯車として働いていました。しかし、弁護士の仕事を目の当たりにして、その法律関係の先の先を読み、会社の意思決定にも大きな影響を与えるその姿に尊敬と憧れを抱くようになりました。

 いつしか、私も弁護士として活躍することを目標として、働きながらの勉強をすすめるようになりました。ですが、受験は早いほうがよいという周りの助言もあり、思い切って会社を辞めて勉強に専念することとしました。


(2)26年予備試験敗退

 その後、26年予備試験の論文式試験を受験しましたが、1300番台で不合格となりました。

 その年の論文対策は、予備試験と旧司法試験の過去問の答案構成と、当時LECの講師であった工藤講師の論証集を暗記することがメインでした。また、答練や模試も受験していましたが、その年は合格圏内に達することができず、予備試験の高い壁を身をもって知りました。


 その時点で感じたことは圧倒的な基礎力不足です。条文の読込と百選の読込は短答対策として人並みにやっていたつもりではありました。しかしながら、条文と具体的事例の背景にある趣旨・目的・制度理解が不足しており、少しひねられた問題ではそのような背景に遡って検討するということができていないことを実感しました。


(3)基礎力の向上戦略と合格

 そのため、次の「2.私の勉強方法」で紹介する勉強を愚直に繰り返すことで、徹底的に基礎力を強化しました。その結果、翌年の予備試験に合格することができました。以下、私の勉強法を紹介します。なお、基礎力を身につけることに特化しており、テクニック強化の参考にはならないと思います。



2.私の勉強方法

(1)7回読み勉強法

 基礎知識を充実させるべく実践したのは、山口真由美氏の提唱する7回読み勉強法でした。ちなみに使用した通読教材は次のものです。この他に、各判例百選の事案と判旨、主要条文の通読も繰り返して行いました。


 憲法:憲法Ⅰ・Ⅱ(高橋、高見、中村、野中)

 行政法:行政法Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ(塩野)

 民法:民法の基礎Ⅰ・Ⅱ(佐久間)

     担保物権法(松井)

     債権総論・債権各論Ⅰ・Ⅱ(潮見)

     家族法(窪田)

 商法:商法総則講義・商行為法講義(森本)

     会社法(リーガルクエスト)

     手形・小切手法(早川)

 民事訴訟法:基礎からわかる民事訴訟法(和田)

 刑法:講義刑法学総論・新論点講義シリーズ刑法各論(井田)

 刑事訴訟法:刑事訴訟法(上口)

 民事実務基礎:民事裁判実務の基礎 上巻・下巻(大島)

 刑事実務基礎:ハンドブック刑事実務基礎(辰已法律研究所)


 ただし、3~4回目くらいまではざっと読みましたが、その時点でそれほど内容が身についていないと感じました。これでは7回が読み終わっても、内容を試験に応用できないと思ったため、ざっと読むのはやめて5回目以降は教材を全て暗記するつもりで読みました。


(2)体系整理勉強法

 私の勉強法として、おそらくもっとも特徴的なことは、一日の勉強時間の最低10分の1をこの体系整理作業に投資したことかと思います。

 これはどのような作業かというと、パソコンのエクセルを使って、合格に至るために必要な、あらゆる項目を統合する体系図・樹形図を作成するという作業です。


①具体的内容

 具体的な内容としては、まず、合格答案作成能力を頂点において、これを①知識、②技術、③意志、という三つの要素に分解します。そして、①知識についても、(ⅰ)法的基礎知識、(ⅱ)法的思考、(ⅲ)事案分析、という三つの要素に分解し、更に、その中の(ⅰ)法的基礎知識、についても(a)基本書、(b)判例集、(c)条文、と分解し、(a)基本書を、a.憲法、b.行政法、c.民法、d.商法、e.民事訴訟法、f.刑法、g.刑事訴訟法と分解し、・・・というように、とにかく項目の分解を繰り返して、個別の知識・項目まで細部に至るような体系・樹形図を作成します。

 (※実際に見てみたい方はメッセージください)


②ポイント 

 分解のポイントは、個数に縛りをかけることです。私の場合は3つ、または7つに分解する、と決めていました。3つに分解する理由は法律にまつわることは3つの要素を持つことが多いと感じたためです。例えば、三権分立、三審制、法的三段論法などです。7つに分類する理由は、人の並列記憶の限界は7つだということを本で学んだためです。


③効果

 分解を限定することの効果としては、知識喚起がしやすく、また、漫然と分解するでなく実質に踏み込んで考えられることです。

 実質に踏み込んで考える、とはどういうことか具体例で説明します。例えば、民法の制限行為能力者は通常、①未成年者、②被後見人、③被保佐人、④被補助人、の4つに分解できると思います。しかし、分解に3つという限定を加えることで、ここで思考を終わらせるでなく、どこで切り分けるのか、よく考える必要がでてきます。

 ひとつの分解の仕方として、(ⅰ)未成年者、(ⅱ)被後見人(ⅲ)被保佐人と被補助人、という分け方があると思います。

 しかし大枠をくくりだして、(ⅰ)制限行為能力者概説、(ⅱ)未成年者、(ⅲ)精神障害による制限行為能力者、という分け方もあり、これであれば、(ⅲ)精神障害による制限行為能力者を、さらに(a)被後見人、(b)被保佐人、(c)被補助人、の3つに分解することができます。

 このように項目のひとつをとっても、独力で法的性質を考えたり、概念を統合したり、具体化したり、抽象化したり、と多面的に、踏み込んでの検討が求められ、記憶を強化することができます。


 また、体系図・樹形図を作成する効果としては、知識が引き出しやすくなる、積み重ねたものが視覚化されて自信につながる、勉強範囲が固定化し、あらゆる教材に手を出すことなく目の前の課題に集中できる、などがあります。

 更に、体系図・樹形図は試験勉強の地図のようなもので、自分が現在どの位置にいるのかがよく意識できるようになります。


(3)過去問勉強法

 予備試験の論文式までは予備試験の過去問と旧司法試験の過去問で、答案思考過程を鍛えました。旧司法試験の演習書として使用した教材は『スタンダート100』シリーズです。ただし、このシリーズの行政法は、公務員試験の問題を多く採用しており予備試験対策としては不適切と思いました。そのため、行政法は司法試験に定評のある『事例研究 行政法』でその思考過程を鍛えました。

 問題を解くときの手順は次のとおりです。


 ①事実関係⇒法律関係

 まず事例をざっと見ながら、(ⅰ)どんなことが論点か、(ⅱ)その知識が自分の頭の中にストックされているかを考えます。その後に、(ⅰ)であたりをつけた論点について、基本書・判例集に立ち返って必要そうな知識をマーキングします。 

 この作業の意味は、事例を見た瞬間に知識を引き出す瞬発力を高めること、基本書・判例集に自分の勉強の軌跡を残すこと、過去問に沿って知識を記憶すること、です。


 ②法律関係⇒出題趣旨

 次に、上記の作業でピックアップした知識を基礎として答案の全体像を検討しながら、出題趣旨を考えます。そして、自分の考える趣旨が、司法試験委員の出題趣旨とどのくらいずれているかを確認します。出題趣旨とずれているようであれば、ずれている箇所について、基本書・判例集を確認します。

 この作業の意味は、試験委員が求めることを感覚的に身につけること、です。


 ③出題趣旨⇒答案

 最後に、答案に落としますが、そこで意識したことは、法的三段論法を愚直に守ることとは勿論のこと、できるだけ文章を短くまとめることです。書き終わった後にも、これ以上削れる箇所は無いかを意識して探し、削れる箇所は削って、できるだけコンパクトに答案をまとめます。

 この作業の意味は、重要度の低い箇所を論じずに、答案作成の時間対効果の意識を身につけること、です。



3.心理面

 試験合格を目的に、我慢に我慢を重ね、辛い勉強に耐え、最後に合格を勝ち取る方がたくさんいるのが司法試験だと思います。私も、そのような方を尊敬しますし、並々ならぬ精神力であると思います。

 しかし、私は、精神的に弱くて、すぐに逃げたくなります。そのため、勉強を愚直に続けるためには、心理面の仕組みづくりが必須でした。


(1)発想の転換

 試験勉強とは、合格を目的に、その手段として日々粛々と勉強することが一般的イメージであると思います。私も26年の予備試験の不合格まではそのように思って頑張っていたつもりです。

 しかし、そのように人生の目的を先の先に置くと、そこだけに価値が集中してしまい、日々の法律を学ぶ機会に価値を見いだせなくなってしまいます。また、試験の合格以外まるで価値の無いものと考えるようになってしまいます。

 そのため、私は発送を転換し、試験合格は勉強をするための指針であり手段であって、目的はいま、ここで勉強をすることだと考えるようにしました。つまり、いま、ここでしている勉強にこそ価値があるものだと考えるようにしました。


(2)行動を伴わせる

 勉強していることに価値があると感じるためには、私が勉強することで他者の役に立っている感覚を結びつける必要があると思います。

 行き着いた結論は、勉強を頑張っている姿をあえて開示することで、①それを見た人が自分も頑張ろう!と思うように影響を与えること、②合格を志す受験生のライバルとして不足の無い存在となること、③得た知識を惜しげなく共有すること、でした。

 そこで、私がとった行動はインターネットを活用し、ブログで勉強時間や勉強内容を開示することでした。 また、学んだことから正誤問題を作成して開示したり、論文の答案を開示しました。ついには、未合格であるにもかかわらず、合格体験記を作成して開示してみたりもしました(笑)

 これが客観的にどれだけ意味があったかはわかりません。ただ主観的には、知識を共有している感覚、他者と共に勉強をする感覚、他者から監視されている感覚を得ることができ、これがモチベーションにつながったため、私にとっては合格に必須の過程であったと思います。



4.さいごに

 なんだかんだと述べましたが、とにかく合格するには、合格するに充分な時間を勉強に投資することが必須であると思います。

 上記のとおり私は受験生時代、毎日ブログで勉強記録をつけていました。具体的にどのように進捗して合格に至ったかは、そのブログに譲りたいと思います。ざっとだけ見たい場合は、週毎、月毎、四半期毎のまとめも書いておりますので、そちらをご覧下さい。

 ご高覧、ありがとうございました。深刻にならず真剣になって、今日も勉強頑張りましょう!

平成27年2月10日作成