私という人間ができるまで

私の家族
バリバリ働く高給取りの2度目がない父
専業主婦で料理もおやつも手作りする母
そして母の寵愛を一心に受ける姉

長男だった父は母と一緒になるために
一切の遺産を放棄する約束をして
駆け落ち同然で結婚した。
姉が産まれた時、女の子かと落胆されたものの
第一子ということで祖父母も姉を可愛がった。
姉が1歳になる前に婿養子を迎えればいいから、と
姉を跡取りとして祖父母に渡すよう言われた母は
半狂乱で嫌がり、絶対に手放さなかった。
それでも、いつ奪われるか分からない恐怖で
姉から片時も離れず溺愛して一卵性親子になった。

私が産まれた時も母は男を産めない役立たずと言われ
産まれた私も姉に何かあって跡を継げなくなった時の
【予備】としてしか扱われず可愛がられた記憶はない。

正月や盆に祖父母の家へ行った際も
母と私は母方の祖父母の家に泊まり
父と姉は父方の祖父母の家に泊まった。
いつも母と一緒に母方の祖父母宅に泊まる私を
羨ましく思っていた姉からは文句を言われ
何も知らないくせにと思ったこともある。

けれど姉は姉で
父の姉と妹はお嫁にいったものの
第一子に男の子を産んでいたから
第一子である自分が女であることで
肩身の狭い思いをしていたのかもしれない。

今となっては分からないけれど。