属人性の高い仕事をしている人なら誰でも一度は思うこと、「尖ろう」。
ビジネス用語では「差別化」とか「differentiation」とか言われるやつですね。
確かに大切なことだと思います。
我々パーソナルトレーナーであれば、猫も杓子も筋トレだのダイエットだのであれば「同じやったら安いとこ行こかな」と思われてしまいますし、ここ最近はそういう現象が見られます。
その中で何かしらの強みを全面に打ち出してやっていこうというのは、ある意味ではまともな感性と言えるでしょう。
しかしパーソナルトレーナーと一口に言っても、本当に色んな人がいます。
免許や資格がなくても「パーソナルトレーナーです」と自称してしまえばパーソナルトレーナーになれてしまう実情。
アカデミックに学んできた(そして学び続けている)人から、趣味の延長線上で何となくやっている人まで、全て「パーソナルトレーナー」なのです。
ぶっちゃけた話、本当に無知で雰囲気だけでやっている人がかなり多いと思います。
偉そうに言えた立場ではありませんが、解剖学も生理学もまるで分かっていなくて、ただ自分のボディメイク経験だけで無茶苦茶やっている人が散見されます。
そしてそういう無知な人たちは、ちょっとYouTubeとか SNSで学んだ(学んだとは言えないが)ことで、「これはすごい」とか何だとか言って舞い上がって、それの二番煎じ、否、出涸らしみたいな発信を、キラキラSNSでやってしまうわけですね。
「ダニング・クルーガー効果」で言うところの「馬鹿の山」。
そんな人で溢れかえっているらしい。
その中で「尖ろう」とするならば、「真っ当に仕事をし続ける」他ないのではないでしょうか。
突拍子もないことをしたり、ちょっと目立とうとして派手なことをやったり、物議を醸すようなことを言ったりする必要は別にない。
真っ当にやっていけばじゅうぶん「差別化」できると思います。
また我が国におけるメディアの歴史を紐解いてみると、発信されてきたことというのは決して真っ当とは言えないことが多くあります。
この辺りのについては、江藤淳氏の『閉ざされた言語空間』なんかをご参照下さい。
端的に言えば、本来まともである言論が封印されてしまったのが戦後日本ということです。
更には、発信内容の優劣よりもそれによって儲かるかどうか、つまりスポンサー様のご機嫌を伺う様な発信が強化されていくわけですね。
そういう人たちの不利益になる様な発信も封殺されてしまうのは、現代だってまったく同じことです。
ここ数年のコ〇ナ禍における情報統制を見ればそれは何となく分かること。
こうなってくると本来真っ当であるはずのものが尖ったものになるという、逆転現象が生じます。
そんな状態ですから、繰り返しになりますがこの業界で「尖ろう」と思うなら、馬鹿の山に立って舞い上がったキラキラ発信をするでもなく、金の匂いのする何某に迎合するでもなく、「真っ当に仕事をし続ける」だけでいいはずです。
お客様の為に、選手の為に、日々勉強して、心を込めて仕事をする。
それでじゅうぶんですね。