ようやく、万年筆の話しに。
自分の意志で、初めて買った万年筆は、今回取り上げるペリカン。
実は、この前にラミーサファリを一本、ネット購入しているのですが、所謂”ハズレ”で、実用にする事がなかったため、これはノーカウント。
買って、実用した万年筆一本目が、このペンです。
サファリの失敗の反省から、実店舗で今度は買う事を決め、さて何を買おうか・・・となった時、僕は万年筆の知識ほぼゼロ。
なので、ネットでいろいろ調べてみたところ、やはりまずヒットしてくるのは、モンブランと、国産。
モンブランは、楽々予算オーバーなので(笑)、早々に除外し、そして国産は、理由を忘れましたが、なぜかスルー。
それで、更に検索したところ、ヒットしたのがペリカン。
当然というか、スーベレーンシリーズが、多くヒットしたのですが、これまた予算オーバー。
そして、更に更に調べていくうちに、予算内のペリカンで、M205というのが、候補に上がりました。
僕が好きな色、赤の軸もあるし、これを買おう!と決定。
買うお店は、決めていました。
以前、何回か行った事のある、ステーショナリーショップ。
文房具店というより、ステーショナリーショップと呼びたくなる、店構えも品揃えも、おしゃれなお店。
とはいえ、別におしゃれだからと決めたわけではなく、事前リサーチで、そのお店が一番、万年筆の在庫が多かったのです。
という感じで、いざ買いに。
いつもは入って冷やかし、買う時はお店の人と話す事もなく帰っていたのですが、この日は一直線で、レジカウンターへ向かいました。
「ペリカンの、M205を買いたいのですが」と言うと、いつもいらっしゃる女性店員の方が、応対。
早速に、在庫を全部、ショーケースから出して下さり、「字幅はお決まりですか?」と。
えっ!?
・・・字幅は決めていませんでした・・・。
するとそこで、もう一人の、僕よりちょっと若そうな、店長さんとおぼしき男性・・・やはり店長さんだったのですが、その方が「外国製の万年筆は、少し太めになるんですよ」と、教えて下さいました。
手帳に書き込むのが、主になると思う旨を伝えると、それだったら一番細いEFがいいでしょう、との事。
そこで、205のEFを試筆。
うん、ボールペンとは違う、滑らかな書き味で、書きやすい!
ちょっと太めな気がするけれど、この書き味で書きたい!と思わされ、即購入を決定。
じゃあこれを・・・と言おうとしたら、店長さんが、「書くだけはタダですから、ぜひこれも書いてみて下さい」と、縞模様軸の万年筆を、ショーケースから出しました。
スーベレーンだという事くらいは、当時の僕でもわかりましたが、予算オーバーですから、全然眼中になしでした。
しかし、書くのはタダというわけで、じゃあ書いてみようと・・・店長さんの悪魔の囁きと、”タダほど高いものはない”でした、今にして思えば(笑)。
そして書いてみた、スーベレーンM400・・・うんっ!?205も書きやすかったけど、もっと書きやすい!
ヌラヌラとインクが出てくる感じも、本当にボールペンとはまるで違う、初体験の気持ちいい書き味!
一瞬で、迷い始めました。
予算でいったら205しかない、でも400の書き味が素晴らしい。
現金は、205の分しか持ち合わせていないけど、カードは持ってはいる・・・と、想定外の悩みに入り込みました。
その場で、しばらく考えたのですが、考えがまとまらず、「ちょっとしっかり考えに出て、しばらくしたらもう一回、必ず来ます」と言って、一回退散し、近所の喫茶店に飛び込みました。
そこで、コーヒーを飲むのも忘れるくらい考え込み、小一時間。
そして、お店に戻り、僕の口から出た言葉は・・・
「400を下さい!」
そう、悩みに悩んだ末、400を買う事に決めたのです。
もちろん、カード購入(笑)。
軸色は、何にします?と聞かれ、これまた大いに迷う。
僕の好きな赤系、ボルドー軸もあったのですが、店長さんから「ペリカンといえば、緑縞というイメージ強いですから、ファーストペリカンは、緑が良いのでは?」というお言葉があり、緑縞のEFに決定。
そして、店内にある、お好きなボトルインクを一本お付けします、と言われ、またまた迷う。
たまたま、ネットでインク情報も、ちょっと仕入れていて、パイロットの色彩雫というのが気になっていました。
これが、全色在庫があり、緑縞だから緑系を・・・と思って、松露を頂く事に。
ここから、万年筆とインクの”沼”に、足を突っ込んでしまったわけです(笑)。
さて、そのM400ですが、ポケットサイズの手帳に使うには、やはりEFでもちょっと太い。
なので、ほぼ日のオリジナルに書き込む時に使うのがメイン、といった感じでしょうか。
やはり、デビュー万年筆なので、愛着があるから、常に手元に置いてありますね。
ちなみに今インクは、セーラーの海松藍を入れています。
書いた直後は深緑、時間が経つと黒味が強くなる感じが、気に入っています。
この購入をきっかけに、件のショップの店長さんと、女性店員さん・・・このお二人だけで、お店を切り盛りしておられたのですが・・・とも仲良くなり、それから10日に一度くらいは訪れ、毎回買い物をするわけでなく、時には万年筆やインク、文具のお話しだけして帰ったりもして、すっかり行きつけとなりました。
そんな事が3年ほど経った頃でしょうか、その日は突然やってきました。
お店に行ったら、年中無休のはずが、真っ暗。
そして、入り口に、ここから一切の持ち出しを禁止します、という、裁判所だか弁護士だか名義の張り紙が・・・。
そう、閉店、廃業してしまったのです。
しばらくして、店長さんから手紙が届き、親会社の文具卸業の倒産によって、閉店した事を知りました。
店長さんとは、その後音信不通になってしまいました。
この400を手にする度、店長さんとお店の事を思い出し、ほろ苦さがあったりしますが、同時に万年筆の魅力を、この400によって教えて頂いた事への、感謝も思います。
この万年筆は、そういったいろいろな思いが詰まっていて、きっと一生手元に置くでしょう。
店長さん、お元気だといいな。

